A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (10)
第10話 2匹目のゴブリン
翌日学校から帰ってすぐにダンジョンに潜った。
昨日の考察を検証するためだ。
まずはシルフィーの 神の雷撃の燃費と 使用回数の確認だ。
「昨日と同じように、ゴブリンを探して神の雷撃で倒してみてくれ。」
「かしこまりました。 」
すぐにゴブリンと遭遇したので
「神の雷撃」「ズガガガーン」
昨日と全く同じ光景が目の前に広がっていた。
俺は急いでシルフィーのステータスを確認する
種別 ヴァルキリー
NAME シルフィー
Lv1
HP120
MP 80/90
BP 170
スキル 神の雷撃 鉄壁の乙女
装備 神槍 ラジュネイト 神鎧 レギネス
思った通りMPが減っていた。10減っているので最大で九発撃てるということなのなのだろう。
昨日と同じように
「お腹が減りました」
といってきたのゴブリンの魔核を与える。
再度ステータスを確認すると
種別 ヴァルキリー
NAME シルフィー
Lv1
HP120
MP 89/90
BP 170
スキル 神の雷撃 鉄壁の乙女
装備 神槍 ラジュネイト 神鎧 レギネス
思った通りMPが9回復していた。
サーバントにとって魔核はマジックポーションのようなものなのだろう。
大量に魔核を持ち歩けば無制限にスキル使用ができるのかはまた今度検証することにした。
次にレベルアップだ。
昨日はゴブリンを15匹狩ったがレベルアップすることはなかったので、とにかくシルフィーにゴブリンを
狩り尽くしてもらうことにする。
途中初遭遇のスケルトンも出てきたがシルフィーの 「神の雷撃」「ズガガガーン」で瞬殺だった。
今日も15匹を狩り 3800円を手に入れた。
それから一週間同じように狩り続け100匹以上撃退したが予想通りLVが上がることはなかった。
おそらくサーバントが倒した場合俺に経験値が一切入ってこない。
となれば、試してみる選択肢は2つ
一つは前回と同じように俺一人でゴブリンかスケルトンを倒す。
これは間違いなく経験値が入り、そのうちLVアップするとは思うが、前回勝てたのは、まぐれだ。
二度目は無い。
なのでこれは実質、手詰まりだ。
もう一つの選択肢はサーバントとの共闘である。
どの程度俺が参加すれば良いかは不明だが、経験値が俺にも入ってくる可能性がある。
現実的に選択できる唯一の方法である。
もうやってみるしか道はない。
ただし今の1500円の木刀ではあまりに厳しい。
ここのところ殆ど稼げていないので、以前の稼ぎの残りの10万しかないが、これで武器を揃えるしかない。
ひとまず俺はダンジョンを切り上げてシールドを買ったマーケットに向かった。
前回と同じおっさんを見つけ
「こんにちは。10万円まででゴブリンかスケルトンにも通用する武器は、なんかないですか?」
「ゴブリンに初心者でもいけるのはピストルクロスボウガンだな。ただスケルトンには効かねーから超硬質タングステンの棒も必要じゃねーか?」
「両方で10万円で足りますか。」
「クロスボウの矢を20本付けて10万で足りるぜ」
「わかりました。お願いします。 クロスボウの使い方がわからないんですが。 」
「簡単だ。矢をセットして狙いをつけてトリガー引くだけだ。一応射程は10mから20mだが慣れるまでは5mから10mぐらいからじゃないとなかなか当たらないぜ」
「ありがとうございます。助かりました。」
お金を支払ってすっからかんになった俺は再びダンジョンに戻って、レベルアップの検証をすることにした。
シルフィーの「神の雷撃」はオーバーキルすぎて共闘のしようがない。
となると今まで試したことのないもう一つのスキル「鉄壁の乙女」を使用してみるか。
「シルフィー 次に敵を見つけたら『鉄壁の乙女』を使用してみてくれ。」
「はい。かしこまりました。ご主人様」
5分足らずでゴブリンに遭遇したので
『鉄壁の乙女』
シルがスキル名を言った瞬間 シルフィーの周囲2mほどが淡い光に包まれた。
ゴブリンがこちらに気付いて攻撃しようとしてくるが、光の壁に阻まれて全く効果が無いようだ。
光の円の中にいる俺にも効果があるようだ。
これは、いわゆる防御系スキルだな。
問題は効果時間と中から外に向かって攻撃可能かどうかだ。
「試してみるか。」
まずは効果時間
「効果が切れたらもう一度かけ直してくれ。」
「かしこまりました。」
とりあえず何もせずに効果が切れるのを待ってみる。
ちょうど1分ぐらいで光の円が揺らめいて効果が切れた。
間髪入れずに『鉄壁の乙女』を発動すると再び光のサークルが発生する。
継続時間はおよそ1分だな。
次に光のサークルの中からゴブリンを攻撃してみる。
まずは安全の為近づかずにボウガンで打ってみる。
「ギャー!」
なんと腹に刺さってしまった。
慌てて3連射した。
あっさり頭と肩に刺さってゴブリンは消失してしまった。
「え!? まじで・・・」
2匹目のゴブリン狩り。嬉しいか嬉しく無いかと言われたら勿論嬉しい。
だが、しかし、ちょっと前に 命までかけて倒した相手がこんなにあっさり倒せていいのか?
俺の覚悟と努力は一体なんだったのだろう・・・・
2匹目の最強ゴブリン狩りは 俺の中でゴブリンが最強ではなくなった瞬間であり、嬉しさとやるせなさの混在した なんとも言えない奇妙な後味を残した。