A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (103)
第103話 回復
俺は今、学校の教室にいる。
昨日あれだけ苦しかったのが嘘のように元気になった。薬が劇的に効いたようで、あの先生はやぶではなかったようだ。
「そういえば、隼人達パーティ組むとか言ってなかったか?あれってどうなったんだ?」
「あ〜あれね。まあ一応仮パーティは組んではみたよ。」
「仮パーティ?それからどうなったんだよ。」
「いや、やっぱり女の子って難しいな。俺は男同士のパーティの方がいいかもしれない。」
「俺もそう思う。女の子は俺たちではちょっと荷が重かった。」
「どうしたんだよ。あんなに張り切ってたじゃないか。」
「ああ。最初は楽しくやっててよかったんだけど、だんだん荷物が重いから持ってくれとか、お腹が空いたからなんか買ってきてとか・・・」
「俺も戦闘の時には完全に盾にされたり、うまく行かないと文句が多くてな。当面2人でやった方が気楽だから、相談して断ったんだ。」
「そうか、お前らもなんか大変だったんだな。また今度一緒に潜ろうな。」
「おお、心の友よ。」
「やっぱり男同志が一番だな。」
くだらない会話をしていたら、授業が始まったのでとにかく集中する。王華学院目指して集中する。
放課後ダンジョンに潜るが今日は1階層だ。思いの外、8階層での魔核の消費が激しいので、しっかり1階層で稼いでおかなければならない。
週2〜3日は1階層でスライムスレイヤーとなり、残りの4〜5日を8階層へのアタックに回そうと思う。
「ルシェ、ちょっと聞きたいんだけど、お前って泳げるのか?」
「き、きゅうになんだよ?別に、ど、どーでもいいだろ。」
「いや、先週8階層で溺れそうになったから、ルシェは大丈夫かなと思ってな。」
「お、泳ぎ?そんなの大丈夫に決まってるだろ。」
「ルシェ、魔界ってプールってあるのか?」
「そんなのあるわけないだろ。」
「じゃあどうやって泳いでたんだ?」
「ど、どうやってって、生まれた時から泳げるんだよ。あ、当たり前だろ。」
「ルシェ。本当のこと言ってみろ。怒らないから。」
「な、何言ってるんだよ。嘘なんか言ってない。」
「ル〜シェ。俺も泳げないんだ。だから泳げないことは恥ずかしい事じゃないんだぞ。」
「う〜。わかったよ。」
「いや、俺がわからないんだけど。」
「お、お、泳げない。」
「一緒じゃないか。仲間だな。」
「一緒にするな。魔界では誰も教えてくれなかったんだよ。」
「俺も8階層で溺れそうになったから、お前も気を付けていこうな。」
「あ、ああ。わかったよ。気をつける事にする。」
なんとなく気になって声をかけてみたが、やっぱりルシェは泳げなかった。隠そうとしていたようだがバレバレすぎて笑ってしまいそうになったが、ちょっと可愛かったのでまあOKだ。とにかく俺と一緒に溺れないようにしないといけない。今度子供用のライフジャケットも見に行ってみようかな。
「ご主人様、先週溺れそうになったのですか?」
「ああ、ちょっと飛ばされて・・・」
「どうして、そんなに危ない目に遭っているのに私を喚んでくださらないのですか」
「いや、喚ぶ間もなく沈んでしまって。」
「沈むって大変じゃないですか。今度から、少しでも危ないと思ったら私を喚んでください。」
「ああ。すまない。今度から危ない時にはおねがいするよ。」
「絶対ですよ。約束ですからね。」
俺の事をこんなに心配してくれるなんてシルは本当に優しいな。ちょっとやり取りの間中、変なプレッシャーを感じたが、どこかにスライムの大群でもいたのかもしれないな。やはりシルは俺の心のオアシスだな。