A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (111)
第111 帰還
俺は今7階層を歩いている。
8階層での恐竜との戦闘を経て、4人とサーバント3体で帰路についているところだ。
無事に帰ってきているのはいいのだがちょっと様子がおかしい。
なぜか、あいりさんが真ん中でシルとルシェが左右、そしてシル側にミク、ルシェ側にヒカリンが横並びになって手をつないで、歩いている。
俺とスナッチが一緒に後ろからついて行っている。
一体これは何だろう?
後ろから見ると一見、幼女をお姉さん達が面倒を見てお散歩にでも行っているような風景だが、これは明らかに違う。
ダンジョンなのに手つなぎで後ろから見ても3人から幸せオーラが滲み出ている。
ただしちょっと異様な感じなので思うところはあるが口出しできない。
ピクニックか何かと勘違いするような状況のままなんとか地上まで戻ってくることができた。
「海斗、ずっと怪しいと思ってたけど、あんな2人を隠してるなんて、ちょっと酷くない?」
「ごめん。ちょっと言い出しづらくて。」
「じゃあ今後はずっと、ご一緒できるのよね。」
「いや、それなんだけど、シルとルシェはちょっと目立つし、強すぎてみんなのスキルアップにはなかなか繋がらないから、難易度が高い時だけ喚ぼうと思うんだ。」
「え〜っ。ずっと一緒が良い。シル様と一緒がいい。絶対それがいい。良いったらいい。」
ミクさんキャラが完全崩壊してますよ。ただの駄々っ子になってる。
「気持ちはわかる。わかるけど、俺を見てくれ。半年ぐらい前までずっとLV3だったんだ。それがシルとルシェに出会って急速にレベルアップしてBP60にもなったけど、こんな感じなんだよ。自分なりには頑張ってるけど、本当の意味での強さは足りないんだ。だからみんなにはそうはなって欲しくないから。もちろんこれからは、難易度が高い場合は早めにシルとルシェを喚ぶから今までよりスムーズに探索は進むと思うから。」
「うー。わかったわよ。じゃあ、早く難しい所に行きましょう。」
「早く9階層に行くのです。」
「私も早くシル様とルシェ様の勇姿が見たい。」
みんな、言ってることがおかしいですよ。本末転倒とはこの事じゃないだろうか。まあやる気になってくれたと思えばいいのか?
「とりあえず、魔核の売却と報告にギルドに行こうと思うんだけど大丈夫かな?」
「ギルドに報告ね。そうねそれがいいわね。」
「お願いがあるんだけどシルとルシェの事は内緒にして欲しいんだけど。」
「当たり前じゃない。ルシェ様もシル様も私達だけのものなんだから。」
「そうです。当たり前なのです。」
「うん。それがいい」
いや、シルもルシェも俺のサーバントなんだけど。まあいいけど。
そのままギルドに行って、日番谷さんの列に4人で並んだ。
「すいません。魔核の買取お願いします。」
カバの魔核10個と恐竜の魔核3個を取り出し並べた。
「高木様。この魔核は一体?」
カバの魔核はともかく、恐竜の魔核は前回よりも更に大きく、女の子の拳大ほどもあった。
「いや、パーティで8階層を探索していたんですけど、前回より大きい恐竜みたいなのが3体同時に現れたんですよ。前回のより大きくて鎧みたいな外皮をしたやつでした。」
「パーティの皆様、先ほどの話は本当でしょうか?」
「はい。間違いないです。」
「う〜ん。本当だとは思うのですが信じられません。前回の1体だけでもイレギュラー中のイレギュラーだったのですが、更に大きい個体が3体も出現するとは。それにしても魔核をお持ちになったと言う事は、撃退されたのですか?」
「ああ、もうほんとうにやばかったんですけど、全員で協力して命からがらって感じでなんとか倒せたんですよ。ほんとうにやばかったですよ。ははは。なあみんな」
「えっ?そうです。そうなのです。間違いないのです。死ぬかと思いました。」
「そうなんですね。本当にご無事で何よりです。通常ですとこのレベルのモンスターはゴールドランク以上相当かもしれません。もしかしたら皆様のパーティのポテンシャルは素晴らしいものがあるのかもしれません。とにかく上司に確認して来ますので、お待ちください。」
そう言って日番谷さんは奥の部屋に消えていった。