A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (113)
第113話 ドロップアイテム
俺は今8階層に潜っている。
先週は危なかったが、結果としてかなりの大金が入ったのでちょっと嬉しい。
おまけにシルとルシェの機嫌も思ったよりもかなりいいように見えるのでパーティメンバーの事も気に入ってくれたようだ。
お金は手に入ったが、魔核は増えて無いので今週はずっと1階層でスライム狩りに励んでいた。お陰で5日間で200個近くの魔核を手に入れることができたので、当分は余裕を持って探索できるだろう。
土曜日になりまたパーティメンバーで集まって8階層に挑戦する事になった。
「ねえ、早くシル様を喚んでよ。」
「ルシェ様も喚んでください。」
「お二方とも早くお会いしたい。」
「いやいや、先週言ったでしょ。極力自力で頑張るって。危なくなったらすぐに喚ぶから。それまではダメです。」
「え〜っ。ケチ」
いやケチとかそう言う問題じゃないんだけど。
ちょっと3人からの不満を買いながらも探索を開始した。
「キュー、キュー」
スナッチが反応したので臨戦態勢に入る。
出現したのはお馴染み感のあるウーパールーパー型が3体だった。
パーティメンバーも手馴れたもので出現と同時に魔核銃を一斉掃射してあっさりとかたがついた。
「ん?あれは、もしかして」
俺はウーパールーパー型のいた跡に、魔核以外のものが落ちているのを発見した。
これはもしかして念願のドロップアイテム。
「なあ、みんなあれってドロップアイテムだよな。」
「当たり前じゃない。それ以外にあんな物が落ちてるわけないでしょ。」
「時々出るのですよ。海斗さんはあんまり見たことないのですか?」
「ああ、俺スライム以外からのドロップって初めてなんだよ。しかも通常のドロップアイテムって初めてかも。」
「スライムからしかドロップした事ないのか?そんな事聞いたこともないが。」
「海斗ってやっぱり普通じゃないのかも。」
ミクの失礼な発言はスルーしてドロップアイテムに意識を戻す。
地面に落ちているそれは白っぽい色合いで30cm角ぐらいの塊で、妙に生っぽい。
う〜ん。あれはもしかして・・・
「なあ、あれってもしかして 」
「もしかしなくてもモンスターの肉に決まってるでしょ。」
や、やっぱりそうか。あれが噂に聞くモンスター肉なのか。
しかし、今の戦闘でドロップしたという事は、もしかしてウーパールーパーの肉なのか?
そもそもウーパールーパーって食べれるのか?
あの風貌でこの白っぽい肉・・・
あまり食欲がそそられない。
「もしかして海斗ってモンスターの肉を見るのは、初めてなの?」
「いや、お店で売っているのは見たことあるんだけど、ドロップしたのを見るのは初めてなんだ。」
「モンスター肉って滅多に手に入らないから、結構希少だし、美味しいのよ。」
「モンスターの肉食べた事あるの?」
「パパが結構好きだから時々食べに行くのよ。」
「結構美味しいのです。」
「私も好きだな。」
みんな食べた事あるのか。
しかし床に落ちているこれがそんな美味しい物とは認識できない。どうしてもウーパールーパーが思い浮かんで、抵抗感が発生する。
しかも生の状態で床に落ちてるし、これ食べるのか?いや売った方がいいんじゃないか?絶対売った方がいいな。
「海斗、今日ダンジョン終わったら行きつけのお店があるから調理してもらおうよ。」
「それがいいです。」
「うん。それはいい考えだな。」
3人とも食べる気なのですね。俺の感覚がおかしいのだろうか?やっぱり庶民と彼女達の住む世界が違うのか?食べるものまで違うのだろうか?
「あ、あのう。これって食べて大丈夫ですかね。お腹壊したり、毒があったりしないですかね。そもそもウーパールーパーって食べれるんですかね。無理じゃないですかね。」
「何言ってるのよ。これはウーパールーパーじゃなくて、ウーパールーパー型のモンスターの肉なのよ。大丈夫に決まってるでしょ。初めてだったらきっと感動するわよ。ちょっと早めに切り上げていきましょう。決まりね。」
言ってることはわかる。これはあくまでもウーパールーパー型のモンスターの肉だ。ウーパールーパーではない。わかるのだが厳しい・・・