A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (114)
第114話 モンスターミート
俺は今高級フレンチの店にきている。
ウーパールーパーのモンスター肉がドロップした後、まず俺が困ったのは、この肉をどうやって持ち帰るかだ。このむき出しの生肉をどうやって持ち帰ればいいんだ。
「ミク、この肉どうやって持ち帰ればいいんだ?いざとなったら俺のリュックに入れてもいいけど腐らないかな。」
「何言ってるのよ。マジックポーチに入れるに決まってるでしょ。マジックポーチの温度は一定だからすぐには傷まないんだから。」
ああ、マジックポーチですね。そんな便利なものがあるのをすっかり忘れていました。
マジックポーチに収められたモンスターの肉は、地上に出た後すぐにミクの行きつけの店に持ち込まれた。
「み、みくさん。ここですか。大丈夫ですかね?俺大丈夫ですか ?入っても大丈夫ですかね?」
「当たり前じゃない。大丈夫よ。ここのオーナーさんとパパが友達だからよく来るのよ。」
連れてこられたのはTVでも見たことがある超高級フレンチの店だった。
ミクさんはよく来るんでしょうが、俺はこんな店来たことないよ。こういう店ってドレスコードとかあるんじゃないのか?俺、デニムパンツにTシャツなんですけど。
緊張のまま個室に通されて、しばらく待っていると料理が運ばれてきた。
ナイフとフォークが大量に置かれている。使ったことはないが俺だってこのぐらいは分かる。外から使っていけばいいんだ。
最初はアミューズというものが出てきた。アミューズって何だと思ったがなにやらビスケットのような物の上に野菜っぽいのがのっている。これをナイフとフォークで食べるのか?
ちょっと無理じゃないか?ちょっと格闘してみたが無理そうだったので手でとって一口で頬張った。
うまい。なんか食べたことの無いソースがかかっているがうまい。
次にオードブルが出てきた。
オードブルはわかるが正直アミューズとオードブルの違いがわからない。
こちらも、はまぐりのなんとか仕立てなんとか風味と言われたが良く聞き取れなかった。
小さいグラスに入っているのでこちらも一口で頬張る。
うまい。普段食べているあさりの味噌汁とはまた違った貝のうまさがある。
次に出てきたのはアスパラガスの冷製ポタージュ。
流石に聞いたことがある単語で構成されているので俺でも理解できたが、ポタージュといえばコーンポタージュしかイメージがなかったのだが、飲んでみると大人の味がした。多分おいしい。
次にメイン料理が出てきた。
ウーパールーパーのパイ包探索者風だ。
もう生肉の時の原型は見て取れない。どこからどう見てもフレンチにしか見えない。言われなければ気付かず食べていたかもしれない。なのに名前はもっとどうにかならなかったのだろうか?ダイレクトすぎないだろうか。
見た目と裏腹の名前に圧倒されてナイフとフォークが止まってしまった。勇気が無い。
躊躇しているとメンバー3人がさっさと口をつけている。
「おいしいね。」
「うんおいしいのです。」
「うん。やっぱりモンスターの肉は格別だな。」
やっぱり食べれるらしい。
う〜ん。ここまで来て食べないわけにかない。
息を止めて口の中に運ぶ。これは鶏肉?いや白身の魚か?うまい。
白身魚のあっさりとした味わいとモンスターならではのしっかりとした食感、噛めば口の中に広がる、えもいわれぬ味わいと幸福感。なんだこれ、うまい。ウーパールーパーってうまいのか?いやウーパールーパー型のモンスター肉だからうまいのかもしれない。今までに食べたことのない、まさにファンタジーな味わいだ。人間、現金なもので旨いとわかってしまえば、その後はなんともなく食べれてしまった。
その後はデザートのケーキと紅茶が出てきて終了だった。
かなり満足感があったが、これでカジュアルコースらしい。フルコースってどれだけ料理が出てくるんだ?
本当に美味しかったが、食べ終わってから気がついてしまった。お金は一体いくらかかるんだ?
「ミクさん。お金っていくら必要なんでしょうか?」
「え?残った肉を渡すことにしたからお金は必要ないわよ。」
無料、タダですか?
ちょっと冷や汗が出たが、結果うまさ倍増で大満足だった。今後も、もし肉がドロップしたら一応どんな生き物でもトライしてみようかな。