A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (121)
第121話 モンスターパレード
俺は今モンスターの波に飲み込まれようとしている。
泳げない俺はこのまま溺れてしまうのだろうか。
モンスターの数はおよそ50体。それ以上の数はちょっとわからない。
今日も昨日までと同じ様に放課後に9階層に潜っていた。
昨日のようにバルザードを中心に使って敵を倒して回っていたのだが、突然シルが
「ご主人様。まずいです。数えきれないぐらいの敵です。正面の奥から一斉にこちらに向かっています。今までにない数です。逃げるのも間に合いません。迎えうちましょう。」
えっ?数え切れないほどのモンスター?魚群の時もそんな言い方はしていなかった。やばいんじゃないのか?
「シルとにかく『鉄壁の乙女』を頼む。ルシェ、敵が目視できたら片っ端から『破滅の獄炎』で焼き払え。」
しばらくすると地響きと共にモンスターの集団がこちらに向かって押し寄せてくる。
「うおっ」
モンスターが集団で駆け寄ってくる事自体が異例なので、魚群とは全く違った圧力を生んでいる。
第一陣が『鉄壁の乙女』にぶち当たる。
その瞬間俺も魔核銃を連射し始めたが、隣ではルシェも『破滅の獄炎』を発動し始めた。
前列のモンスターから順番に消失していくが、明らかにおかしい。
この階層のモンスターは総じて知能が高かったのに今押し寄せているモンスターは、知性など感じない。
目を血走らせてひたすら突進してくる感じだ。よく見ると息も上がっている個体もいる気がする。
そもそも一直線に押し寄せてきたので俺らが目的なのかもわからないような状態だが、今となっては遅い。
確実に立ちはだかるターゲットとして認識されてしまっている。
「シルとにかく『鉄壁の乙女』だけは切らせないでくれ。防御が切れたらやられる。」
「はい。大丈夫です。安心してください。」
俺はルシェに指示を出しながらもひたすら魔核銃を撃ち続ける。
どう考えても50発じゃ足りそうにないがとにかく撃ち続けるしかない。
ルシェを見ると『破滅の獄炎』を連発して順調に敵の数を減らしてくれているようだが、ルシェのMPも無尽蔵にあるわけではないので、いつか尽きてしまう。
敵の数とパーティの残存資源と我慢比べの様相を呈しているが50体程度ならなんとかいけるはずだ。
マガジンの3個目が尽きたので、素早く4個目に入れ替える。
大体近接状態から撃っているので2発で1体を倒せているので既に10体以上は倒している。
「ルシェ、大丈夫か?頑張ってくれ。」
「誰に言ってるんだよ。余裕に決まってるだろ。」
更に4個目のマガジンを交換して最後のマガジンを使用する頃には、ルシェの頑張りもあり敵の数もかなり減って来ており、終わってはいないが、もう大丈夫というところまで来ていた。
「最後まで気を抜かずに行くぞ。」
「はい。」
「当たり前だろ。」
なんとか魔核銃の弾切れ寸前に全ての敵を殲滅することができたが、どうやら60体近くいたようだ。一体これは何だったんだろうか?今までにこんな事は初めてだった。早く帰って日番谷さんに聞いてみようと考えていた瞬間だった
「ご主人様まずいです。第2陣が来ます。先程と同数程度の敵が奥から向かって来ています。」
おいおい、俺もう弾切れなんだけど。
しばらくすると、遠くから大挙して押し寄せるモンスターの足音と気配がしてきた。
これはやばい。本格的にやばい。
今までにないぐらいやばい状況だ。どうする。どうすればいい。この状況で俺に何ができる。
判断ミスが死に直結する。そんな不吉な考えがよぎりながら俺は決断した。
これしかない。