A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (125)
第125話 我慢
俺は今我慢している。
昨日のモンスターの大群を退けてからすぐに低級ポーションを買いに行きたかったが、遅くなってしまいダンジョンマートは閉店している時間だった。
おまけに今日は金曜日で学校がある。おそらくリザードマンの一撃を食らってしまった左腕は骨折している。しているが、授業を休むわけにはいかないので、放課後まで我慢することに決めた。
なんとしても王華学院に受かるべく授業は欠かせない。
ただ痛い。授業への集中を妨げるほどに痛い。
救いは体育の授業がない事だろう。
「海斗、今日のお前なんかおかしくないか?全然喋らないし、顔色もちょっと悪い気がするけど」
「ああ真司、鋭いな。ちょっと腕が折れたんだ。」
「はっ?ちょっと腕が折れたって、どういう意味だよ。」
「いや、多分左腕が折れてる。」
「折れてるって、病院はどうした。」
「放課後に低級ポーション飲んで治すから大丈夫だ。」
「お前、それ大丈夫じゃないだろ。ちょっと骨折って、骨折はちょっとじゃないぞ、重症だぞ、しかも大丈夫って、お前今大丈夫じゃないだろ。」
「まあなんとか我慢できるから。」
「我慢の問題か?なんかお前感覚がおかしくなってないか?前は転んであざ作っただけで折れた、折れた騒いでたのに、おかしくなったのか?大丈夫か?」
「いやだから大丈夫だって。」
「う〜ん。わかった。」
その後なんとか授業を6時間目まで受け切って帰ろうとすると春香が声をかけてきて
「海斗大丈夫なの?真司くんから付き添ってくれって頼まれたんだけどね、腕が折れてるって本当なの?」
「ああ、多分。でも大丈夫、低級ポーションですぐ治るから。」
「大丈夫な訳ないでしょ。すぐ買いに行きましょう。どうして今日休まなかったの。」
「いや、授業休めないと思って。」
「そのぐらい、言ってくれればノートとか貸してあげれるから、今度もし同じことがあったら絶対言ってね。」
あれ?なんか肌寒い。でもやっぱり春香は天使だな。真司も余計なお世話をありがとう。
「ああ、ありがとう。今度はお願いするよ。」
そのまま、ダンジョンマートに直行して速攻で低級ポーションを購入して、その場で飲み干した。
やっぱり低級ポーションは最高だな。
しばらくすると左腕の痛みがなくなったので骨が修復したのだろう。
そのままおっさんの店に行って
「すいません。マガジン5個とバレット300個ください。」
「おー。坊主か。最近魔核銃の売れ行きが急に伸びてるんだよな。」
「ああ、それ多分、買っていったの俺のパーティメンバーです。」
「パーティメンバーって、お前、買って行ったのは全員女・・・」
昨日の件で疲れたのだろうか、なにやら得体の知れないフォースを感じる。以前感じた雪原系ではなく、どちらかというと砂漠だろうか?空気がカラカラに乾いているような錯覚を覚える。
「あッ、ああ、女、そう年配のおばさんとそういえば坊主ぐらいの男も買っていったな。いや最近忙しくてな。物覚えが悪くなっちまってな。ははは。」
なぜかおっさんがあたふたしているが、大丈夫なのか?このおっさん。
「メンバーは安く売ってもらったみたいなんですけど、俺も安くしてくれませんか?」
「それは在庫処分できたからだぜ。需要と供給だからな、買う人が増えれば、値引きは減るもんだぜ。」
「おじさん、なんとか安くならないかな。お願い。ねっ。」
「お嬢ちゃんに頼まれたら仕方ねえな。それじゃあバレット100個はおまけしてやるよ。」
おい、おっさん。気持ちはわかるが、春香と俺の違いはなんだよ。
「ああ、そうですか。じゃあそれでお願いします。」
俺は代金を払ってから、ギルドに行くために、春香と別れることにした。
「おまけしてくれてよかったね。」
「ああ、助かったよ。また買い物の時お願いするかもしれないけど。」
「いつでも、言ってくれれば大丈夫だよ。」
ああやっぱり、天使がここにいる。
ただ、今回出費がかさんだので魔核を売らないといけない。