A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (130)
第130話 パーティで9階層
俺は今9階層に潜っている。
「みんな初めての9階層だから慎重に行こう。一体ずつはそこまで強くないけど、武装してるから注意が必要だよ。防具をつけてる奴は魔核銃も効きにくいから特に慎重に行こう。あとかなり知能が高いし連携攻撃なんかもしてくるから。最後に探知範囲外から突然矢とか石が飛んでくる事があるからとにかく前方には常に気を配っておいてほしい。ないとは思うけどスタンピードが起きたら撤退するからそのつもりでいてほしい。」
「ちょっといい?最後のスタンピードってどういう事?」
「ああ、モンスターが大量発生する事だよ。」
「それはわかるんだけど、どうして急にスタンピードを注意したのかって意味よ。」
「それは、木曜日に9階層でスタンピードにあったんだ。ちょっとやばかったんだよ。」
「スタンピードが起きたなんて今までもほとんど聞いたことがないんだけど。」
「まあ、たまたまだろうけど、一応気には止めておいて。」
それから探索を開始して20分ほどで
「ミュー、ミュー」
「みんな。臨戦態勢をとってくれ。」
しばらく進むと武装したハイゴブリン3体と遭遇した。
「魔核銃で牽制しながら、俺とあいりさんで仕留めましょう。ヒカリンは『アースウェイブ』を頼む。」
まず3人で魔核銃を撃ちながら足止めをする。スナッチはホブゴブリン相手に『かまいたち』を連発する。
相手が頭部をガードしながら突っ込んで来ようとするところを絶妙のタイミングで『アースウェイブ』が発動して敵の一体をその場に縛り付ける。残った一体にはミクが魔核銃で応戦している間に俺とあいりさんが足止め中の1体の元に急行して前後から挟み撃つ。あいりさんのなぎなたも確実にダメージを与えているが俺はその隙に背後へと回り込みバルザードで一突きして消滅させる。
もう一体に目をやると既に『アースウェイブ』にはまってミクの魔核銃により手負いとなっている。
そのまま、あいりさんとスライドして仕留める。今度はあいりさんが、なぎなたで一閃して仕留めた。
最後の一体は、スナッチが単体で仕留めていた。
久々にこのメンバーで連携をとって敵を撃破した。
気持ちいい。メンバーの連携も以前より遥かにスムーズになっており、シルとルシェと組むのとは違った感覚がある。
「海斗さん。なんか武器が違うのです。新しいのに変えたのですか?前のよりも大きくなっているのです。」
「いや、同じ武器なんだけど、なんか進化したみたい。」
「進化したのですか?それって凄くないですか?」
「うん。多分凄いんじゃないかな。」
バルザードを褒められるとなんか自分が褒められてるみたいで嬉しい。
そのまま、継続して探索をしていると、突然前方から石が飛んできた。
特に注意していたのでなんとか被弾せずに済んだが、危なかった。どうやらスナッチは感知できていなかったようだ。シルでも矢は無理だったが、投石してくる距離は感知できていたので、スナッチの方が感知範囲が狭いようだ。この飛び道具が突然飛んでくるのは本当に危険なので少しでもリスクを減らしたい。
何かあってからでは遅いので、次からシルを探知役として召喚しよう。
とにかく今は敵を倒さなければならないので、盾を構えてから
「俺が突っ込むから援護を頼む。」
そのまま俺は敵に向かって突っ込んでいったが、後方から左右を魔核銃のバレットが通過していく。
しっかりと牽制になっているようで、ほとんど石が飛んでこないまま敵までたどり着いた。
2体のジャガーマンがいたので、バルザードを振るい斬撃を飛ばす。
それぞれのモンスターに2撃づつ放った時点で爆散して消失した。
ヒカリンが後ろからついて来ていたようで
「海斗さん。魔剣を振るったら、離れた敵が吹っ飛んだのです。一体何をしたのですか?」
「いや、この手袋なんだけどマジックアイテムで理力の手袋って言うんだけど、この前ドロップしたんだよ。なんかこれのおかげで剣戟を飛ばせるようになったみたいで。」
「海斗さん。完全に魔剣士じゃないですか。すごいです。飛ぶ斬撃なんかアニメでしか見た事ないです。達人じゃないですか。」
「いや、そんなんじゃないんだけど。」
謙遜しながらも、普段人から褒められることがあまり無い俺としては、密かに嬉しかった。