A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (135)
第135話 士爵級悪魔
俺は今士爵級悪魔と対峙している。
正直少し舐めていたかもしれない。ルシェが子爵級悪魔なので、ルシェよりも格下の士爵級は問題ないだろうとたかをくくっていた。
しかし、こいつは何だ?なんで俺たちだけではなく、ルシェの攻撃もノーダメージなんだ?子爵の方が強いんじゃないのか?
疑問に思いながらも、攻撃の手を緩めるわけにはいかないので、攻撃を継続的に行う。
「ルシェ、こいつノーダメージっぽいんだけど。やばくないか。」
「ああ。ちょっとやばいな。シルにも攻撃してもらうしかないだろ。」
確かに俺たちの攻撃が効果がない以上、一番攻撃力の高いシルに頼るしかない。頼るしかないが、シルを攻撃参加させると『鉄壁の乙女』がなくなってしまう。
目に見えない程の攻撃をしてくるあいつ相手では悪手に思えてくる。
「海斗、シル様に攻撃参加してもらってくれ。私たちは大丈夫だ。その間ぐらいは弾幕でなんとかする。あいつの太刀筋も早いがなんとか出来るレベルだ。」
あいりさん。あいつの太刀筋見えてるんですか。俺全然見えなかったんですけど、やっぱりあなたもすごいじゃないですか。
「シル、攻撃に参加してくれ。みんなは、弾幕張りながら出来るだけ距離を取ってくれ。」
「かしこまりました。」
『鉄壁の乙女』の効果が切れるタイミングを見計らってシルが
「神の雷撃」
それに合わせて俺とルシェもそれぞれ攻撃を加える。
「嘘だろ」
3人の合わせ技をくらった悪魔は特にダメージを受けている様子もなく、平然とそこに立っていた。
「先ほどまでよりは、ましな攻撃でしたが所詮はこんなものですか。やはり幼女の攻撃など私に効くわけがないのです。」
「シル、神槍だ。ぶっ放してやれ。」
「我が敵を穿て、神槍ラジュネイト」
「ドガガッ」
こいつ、シルの一撃を剣で受け止めやがった。
「ほう。この一撃はかなりのものですね。ただ私は士爵。騎士にそんな攻撃は通じませんよ。」
「ルシェ、『侵食の息吹』だ。」
「ウォーターボール」
俺自身も魔氷剣を出して攻撃力を上げる。
斬撃を連発させるべく、十字に斬って斬撃を飛ばす。
「ふうっ、時間の無駄のようですね。こちらから行きますよ。」
悪魔はゆっくりと歩いてきて、俺の目の前まで来ると持っている剣を一閃した。
「ガキィン」
「海斗しっかりしろ。斬られたら死ぬぞ。」
すんでのところで、あいりさんのなぎなたが伸びてきて、敵の攻撃を防いでくれた。
「ファイアボルト」
ヒカリンが攻撃をかけてくれる。
危なかった。剣筋が見えないうえに、集中力が一瞬途切れてしまった。
再度全員攻撃をかける。
シルまでを含めた全員での一斉攻撃、これに勝る攻撃は出来ない。
「ふうっ。痛いですね。好きにやらせすぎました。順番に潰しますよ。」
嘘だろ。本当に軽くダメージは入ったようだが、それだけだ。全く倒せる気配などない。
「ガキィン」
今度は再びあいりさんに向かって剣を振るい、あいりさんがふきとばされてしまった。
「ううっ」
外傷はあまりないようだがダメージは受けており、戦線復帰は難しいかもしれない。
今の動きを見ると『アースウェイブ』も機能していないようだ。
残りのメンバーで再度総攻撃をかける。遠距離に関してはあいりさんが欠けても威力はそれほど落ちない。
「またですか。ちょっと煩わしいですね。次はあなたですね。」
そう言うと同時に俺の目の前に現れ上段から斬りつけてくるが、目を離さないように集中していたのと何度か太刀筋を見ていたせいで辛うじて受け止めることができた。
受け止めた瞬間、破裂のイメージを複数回繰り返して魔氷剣に乗せた。
「バキィーン」
高音の金属音とともに悪魔の武器が粉々に砕け散った。
やってやった。