A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (14)
第14話 学校生活
今日も俺は学校に来ている。
俺の通っている高校は、まあ普通ぐらいの難易度の高校だ。
結構人数は多くて1クラス40人で10クラスある。
成績順に1組から順番にクラスが分かれており、俺は4組。
4組の中でも中間ぐらいの成績だ。
毎日探索者として潜っているわりには、頑張っている方だろうと自分では思っている。
朝クラスについて、自分の席について友人と呼べる2人、大山 真司 と 水谷 隼人の2人にだけ、
「おう」
と声をかけ 二人からも
「「おう」」
と返ってくる。
よくスクール物にあるような 教室に入ると同時に全員に「おはよう」 と声をかけるような爽やか青春キャラではないが、全くのボッチの陰キャラでもない。
良くも悪くも目立っていない。
クラスメイトA的なポジションの俺だ。学校でも 正にモブステータス通りのポジションだ。
学校の授業は結構真面目にノートを取って聞いている。
流石に家では勉強しないので、学校では真面目にやらないとテストがやばい。
探索者をする条件で親から学年200位以内という条件を課されているからだ。
昼休み 、真司と隼人の3人で昼飯を食べるのが日課となっているが
「海斗、探索者の方はどんな感じ?」
「うーん。まあまあだな。」
「まあまあか。スライムいっぱい倒してんの?」
「いや。スライムは卒業したよ。」
「え?探索者やめたのか?」
「違うって。2階層でゴブリンとスケルトン狩ってるんだって。」
「え!? まじで? 」
「うん。まじ」
「おまえすげーな。おい」
「どうやって倒したんだよ。」
「いやまあ、実力だよ。」
「は〜?何言ってんの?」
真司も隼人も俺と同じ時期に探索者になったが、2人とも1階層で挫折して、半年で辞めた経緯を持つので、俺が探索者を続けていることに、半分呆れて半分はリスペクトしてくれている。
なので、ある程度、以前までの探索者としての俺の状況は把握しており、2階層へのジャンプアップは半信半疑なのだろう。
俺もシルフィーの事は、なんとなく言い難いので、ぼやっとさせながら答えてしまっている。
数少ない友達の2人であれば、伝えても多分大丈夫だとは思うが、ゴッズ系のサーバントカードの所持者とはあまり知られたいものではない。
おまけにサーバントが、可愛い幼女とくれば、周りに知られれば、どんな噂が立つか、考えただけでも恐ろしい。
モブキャラどころか、社会的に抹殺される危険性がある。
少なくとも学校での今の俺のポジションは吹いて飛んでしまうだろう。
「そんなことより、彼女欲しーなー」
「またそれか。普通に無理でしょ。」
「無理じゃないって。」
「ただでさえモテないのに年中ダンジョン潜ってたら絶対無理でしょ。」
「ぐっ」
ちなみに俺たち3人とも彼女はいない。
というか人生イコール彼女のいない年数の3人だ。
モテないからと言って、女性の興味がないわけではない。むしろ年相応以上に興味はあり、好意を寄せる子もいる。
「葛城さん かわいいなー」
「さっきちょっと俺の事見てたんだよなー」
「ないない」
「完全に妄想入ってるな」
「葛城さん彼女になってくれないかなー」
「「それは絶対にない」」
と、いつもの不毛な会話が続く。
俺は葛城春香 さんの事が好きだった。 葛城さんとは小学生から同じ学校で、何度かクラスも一緒になった事がある。広義的に言えば幼馴染と言えなくもないが、特別仲が良かった訳ではないが、小学校の低学年の頃はそれなりに会話もあった。
それが思春期に近づくにつれて全く話さなくなった。
ただ、小学校の5年生の時に起こった衝撃的な出来事を経て、今は完全に惚れている。
あくまでも、陰ながら、一方的にだが。
決してストーカーではない。
葛城さんは彼氏がいたことはないはずだが、結構人気がある。
時々告白されているが、付き合ってはいないようだ。
もしかしたら俺の事を待ってるのか?
なんていう少し気持ち悪い妄想もはいっているが
高校生活もあと半分になってしまった。
今のところ告白する勇気も接点もないが、なんとかならないものか日々考えている。
探索者としてゴブリンスレイヤー(仮)にランクアップできたように、私生活でもランクアップできないものだろうか。
ランクアップアイテムである私生活でのサーバントカードが欲しい。
実際にはそんなものありはしないのだが。
夢とロマンの探索者として成功して英雄になりたいのと同じぐらい葛城さんと付き合いたい。
ダンジョンライフでは、すでに命をかけた絶対に負けられない戦いを経験済みなのに、スクールライフでは一切命をかける戦いをする素振りも、勇気もない俺だった。
以前は、ダンジョン2階層に行けたら告白しようと心に決めていた。
2階層に到達した今は、3階層に到達したら今度こそ告白しようと心に決めている。