A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (141)
第141話 第4のカード
俺は今9階層で休憩している。
激闘を終え、パーティメンバーの回復を行なってからちょっと休憩中だ。
ただ、俺は低級ポーションを飲んでHPは完全に回復したが、異常に身体が重い。どうやら悪魔スキルのせいか、HPやMPとは違う疲労があるようだ。
休憩してみても回復しなさそうなので、地上に戻ろうと思うが、その前に、オルトロスと士爵級悪魔のドロップを確認しなければならない。
まずオルトロスが消失した跡を見たが魔核が残されていた。
しかしただの魔核ではない。大きさが今までで一番大きくしかも色が深緑色をしている。
こんな色は初めてなので高額買取かもしれない。おまけに大きさが俺の頭ぐらいある。色付き魔核でこの大きさ、以前700万で売れたものより高額な気がする。ちょっとやばいかも。
「何ニヤニヤしてるんだよ。気持ち悪い。」
しまった。顔に出ていたらしい。ルシェも目ざといな。
真顔に戻してから士爵級悪魔のいた所に目をやると
「おおっ。あれってあれだよな。」
「それ以外ないだろ。」
そこには、シルとルシェを顕現させたのと同じサーバントカードが落ちていた。
普通に考えたら、あの士爵級悪魔がカード化されたのかなとは思うが、スライムからシルとルシェがドロップされた事を考えると、そこに因果関係はないのかもしれない。
できる事なら次は天使とかがいい。ドラゴンでもいいけど。
俺は他のメンバーも集めてから、カードを手にとって見る事にした。
頼む。
出てくれ。
うう〜。
このやり取りも3回目となるが俺は思い切って手にとったカードを見た。今まで2回は大当たりだった。
「ああ・・・」
周りのメンバーからもため息が漏れた。
そこに映っていたのは、先程まで戦っていた士爵級悪魔だった。
種別 士爵級悪魔
NAME ベルリア
Lv1
HP 70
MP 85
BP 90
スキル ダークキュア
装備 魔鎧 シャウド
「あれっ?」
ステータスは、シルやルシェには劣っているがそれでもLV1でこの数値はかなりのものだろう。
問題はそこではない。明らかにおかしい。
なぜかスキルがダークキュア1つしかない。俺達との戦闘では他のスキルも使っていたはずだ。
おまけに武器を装備していない。騎士なのに剣を持っていない。これは俺が武器を破壊したからか?
武器を持たず、回復系スキルしか持たない。おっさんのくせに完全に支援系じゃないか。
そもそもこのダークキュアって人間に使っても大丈夫なスキルなんだろうか?
なんか名前だけ見ると、悪魔以外に使うと毒にでも侵されそうだけど。
周りを見ると、みんな考えている事は同じのようで、一様に微妙な表情を浮かべている。
「みんな、このカードどうする?売った方がいいかな。」
「私は海斗が決めるのがいいと思う。この悪魔を倒したのも実質ルシェ様と海斗だからな。」
「私もサーバントはスナッチがいるから必要ないし、海斗に任せる。」
「わたしはちょっと自分では使えないのです。生理的に厳しいです。海斗さんが使ってみればいいのでは。」
どうやら、みんなは積極的に使いたい訳ではないらしい。
おそらく、このおっさんの風貌と、やられかけたトラウマにも似たものが忌避感を生んでいるのかもしれない。
俺としても悩みどころだ。サーバントカードはそもそも希少だ。ルシェには劣るとはいえ士爵級悪魔、戦力的には申し分ない。
「う〜ん」
支援職と化した士爵級悪魔のおっさん。悩んでしまう。
シルとルシェの時は金額がどんなに高額であってもそれ以上にビジュアルに魅力を感じてしまい、顕現させて今に至っている。
しかし、数千万円とこのおっさん悪魔を比較した時にシル達の時のようなトキメキと期待感が薄い。
スキルを使用したルシェ以外は歯が立たなかったので、レベルアップすれば超強力なのは間違いないが。
「う〜ん」
どうしたものだろうか。やっぱり売るか。売るしかないか。売ってしまっちゃうか。売ろう。