A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (143)
第143話 ベルリア検証
俺は今ダンジョンマートにきている。
放課後に使い果たした低級ポーションを補充しにきているが、念の為4個購入した。週末にオルトロスの魔核を売却予定であるとはいえ、かなり痛い出費だ。
今日はこのまま帰って明日、ベルリアの能力をダンジョンで試してみようと思うが、万が一変な効果があってはいけないので、一人で潜ることにした。
普段はすぐに眠れるのだが、ちょっと緊張して眠れなかった。もしもやばい呪いにかかったら、シルとルシェになんとかしてもらうしかない。『暴食の美姫』で成長したルシェならきっとなんとかしてくれるはずだ。きっとそうに違いない。そうであってほしい。
悶々としながらも次の日の朝を迎えたので学校に向かって、眠気を振り払いながら授業に集中する。
最近ダンジョンで今までよりもレベルの高い戦いを繰り広げている影響で集中力が増しているのか、成績も若干上向いてきているので今の生活を続けていきたい。
放課後を迎えて遂にベルリアの検証の為に9階層にきている。
「ベルリア、それじゃあ今日はお前の力を見せてくれ。」
「あのですね。武器を賜れないでしょうか。これでも騎士なので無手で殴りあうのはあまり得意ではないので。」
「そういうこともあるかと思って用意しておいたぞ。どちらでも使ってくれ。」
「こ、これは一体なんでしょうか?」
「ああ、俺が以前使っていたものだけど遠慮なく使ってくれ。」
「は、はあ。大変有り難いお言葉ですが、これは一体・・・」
「俺の愛用していた木刀とタングステンロッドだよ。」
「あの、もう少し剣のような武器はないのでしょうか?」
「ああ、これしかないんだ。どっちがいい?2刀流でもいけるなら、両方使ってもいいぞ。」
「そ、そうですか。それではその金属棒でお願いします。流石に木剣は難しいので。」
「そうか。じゃあこれ渡しとくな。頼んだぞ。」
タングステンロッドをベルリアに渡してシルに敵を探してもらう。
「そういえば、お前って敵の探知って出来ないのか?」
「申し訳ございません。探知できませんが必ずお役に立ちます。」
やっぱり、妙にアピールしてくるな。まあ悪い感じはしないのでとりあえずスルーしておく。
「ご主人様、先にモンスターが2体います。」
「ベルリア、一体は俺が受け持つからもう一体をお願い出来るか?」
「いえ、通常のモンスター如き私一人で大丈夫です。マイロードはゆっくり後方で見物しておいてください。」
「本当に大丈夫か?まあ何かあったらすぐ手伝うから。」
「ありがとうございます。それでは早速倒してまいります。」
そう言うとベルリアが敵に向かって駆けていく。
「ん?」
普段シルの速攻を見ているせいか、少し遅いような気がする。まあそれでも俺よりは、速い気がする。
後方からついていくとそこには、ホブゴブリンが2体いた。
敵もベルリアに気付いて斬りかかってくる。ベルリアも敵の攻撃をタングステンロッドで受け止めて、一体に向けて薙ぎ払う。
タングステンロッドなので斬れる事はなく、ホブゴブリンが少し弾き飛ばされた。
「ん?」
普段シルの神槍での攻撃を見慣れているせいか、なんか迫力に欠ける。まあ俺ではタングステンロッドでホブゴブリンを吹き飛ばす事は出来ないだろうから俺よりは凄いな。
ベルリアはそのまま追撃をかけホブゴブリンの頭を粉砕して1体撃破した。
もう一体のホブゴブリンの攻撃をいなして連撃を加える。
軽やかに5連撃を放ってホブゴブリンを消滅させた。
「ん?」
確かに素晴らしい攻撃だったが、5連撃共に俺でも認識できた。
一昨日戦った時は全くと言っていいほど、剣尖が見えなかったので明らかにスピードが遅くなっている。それに、タングステンロッドとはいえ倒す迄に5撃はちょっとかかりすぎている気もする。
「マイロード、いかがでしたでしょうか?お役に立てる事が証明できたと思います。是非これからも私をお使いください。貴方の剣となって戦います。」
ちょっと戦闘力は微妙な気がするが悪い奴ではないような気がするな。