A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (145)
第145話 衝撃の事実
俺は今探索を休んでいる。
火曜日にベルリアの検証をする為にダンジョンに潜ったものの、本調子とはいかないので水木金の3日間は、放課後の探索を休む事にした。
ベルリアだが、強いのは間違いないが、どうやら騎士のくせにもともと前衛ではなく、初期段階ではそこまで強力ではない。ただし唯一のスキル『ダークキュア』は俺にも効果があった。
最初はHPが回復するものとばかり思っていたので『暴食の美姫』と合わせてMPが続く限り無限ループで使用できるかもと密かに期待していた。 だからといって『暴食の美姫』の使用時の苦痛とその後の言い表せない倦怠感があるので、もともと頻発させられるものでもないのだが、残念ながら当ては外れてHPは微弱に回復するだけだった。そのかわり、どうやら怪我や傷が治るようなのでこれは素晴らしい効果だった。まだ大怪我には試してないのでいまいち真価はわからないが、低級ポーションの使用をかなり抑えられると思われる。もしかしたら怪我の治癒に関しては中級ポーションに届くかもしれない。
ただしスキルを使用するとシル達同様お腹が空くようで魔核を消費する必要があった。
とりあえず、週末にメンバーに話してベルリアも使って見ようかと思っているが、能力云々ではなくちょっとベルリアの必死な感じとキャラクターにシンパシーを感じてしまった。
正直今の状態のベルリアが努力して、あの強さまで至った事に尊敬の念と憧憬の念さえ覚えてしまう。
そして最大の理由がサーバントカードを1度使用してしまうともう売り物にならない。もう俺にしか使えなくなってしまっている。
完全に忘れてしまっていた。
激闘で舞い上がっていたのか、そもそも頭の中でサーバントカードを手放すという概念がなかったのか、完全に失念していた。
昨日の夜、その事に気がついて思わず叫んでしまった。
やってしまったものは仕方がない。時間を巻き戻せない以上ベルリアにもしっかり活躍してもらうしかない。
木曜日になり学校に来ている。
「おう。」
「「おう。」」
いつものように真司と隼人に挨拶を済ませて、最近日課となっている
「春香おはよう。」
「うん。海斗おはよう。今日も元気にいこうね。」
はい。もちろん元気いっぱいでいきますよ。本当はちょっとだるいけど。
「真司、そういえばダンジョンの方結構潜ってるのか?」
「ああ、隼人とほぼ毎日潜ってるぞ。最近調子も出て来て楽しいんだ。海斗は今どこらへん?」」
「ああ俺は今9階層に潜ってるところだよ。ちょっと体調不良で今週は休んでるけどな。」
「9階層か。やっぱり進んでるな。さすがだな。」
「それはそうとお前ら今どの辺なんだよ。3階層には行けたのか?」
「ああ、3階層はだいぶん前に卒業してな、今は6階層で探索しているところだ。」
「え?6階層?マジで言ってる?お前ら2人だけで6階層まで行ってるの?」
「ああ、なんか3階層行ったらコツをつかんだみたいでその後は結構サクサク行けるようになってな。」
「そ、そうなのか。ちなみにレベルは幾つなんだ?」
「今2人とも13だよ。」
「レベル13!?お前らちょっとすごくないか。俺と潜ってからどれだけも経ってないだろ。何でそんなに急激にレベルが上がってるんだよ。」
「いや、たまたま2人ともLV5の時に経験値系のスキルを手に入れてな。それからは結構サクサクレベルも上がって順調なんだ。」
経験値系のスキル。2人ともそんなチートスキルを手に入れたのか。別に2人を妬むつもりは一切無い。無いが、自分には無いチートを手に入れ、急激に自分の位置に近づいて来ている2人を目の当たりにして正直羨ましい。羨ましすぎる。俺も欲しい。経験値系のスキルが欲しい。
「良かったら今度一緒に潜ってみてもいいか?2人がどこまで成長しているのか見せてくれないか。」
「もちろんいいぞ。よかったら今日にでも行くか?いいよな隼人。」
「もちろんいいぞ。成長した俺らの姿を見せられるいい機会だからな。張り切って頑張るぜ。」
「ああ、じゃあ今日の放課後お願いするよ。」
体調不良の休養を完全に無視して返事をしてしまった。
2人の今の力が気になって仕方がなかった。もしかしたら、すぐに追いつかれるかもしれない。
ちょっとした焦りと、もしかしたら一緒に探索を進められるレベルに近付いて来ているかもしれないと言う期待を胸に放課後を待つ事にした。