A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (147)
第147話 スキルの成長
俺は今1階層に潜っている。
昨日真司と隼人の実力を見させてもらったので、今日は昨日のアドバイスを実践するために3人でいつもの訓練スペースに来ている。
「海斗、いつもこんな所で練習してたのか?一人でよくやってこれたな。」
「ああ、本当にすごいな。なかなか1人で訓練なんか出来ないぞ。」
「そうか?普通だと思うけどな。」
「いや、普通ではないだろ。」
まずは、真司の『アースバレット』を色々試してみる。
「真司、まず一番簡単なのがスピードの調整だから、とにかく遅く飛ぶようにイメージして打ち出してみてくれよ。」
『アースバレット』
少し飛ぶ速度が遅くなった気はするが、いまひとつだな。
「もっと、遅いイメージを持って飛ばしてみてくれ。」
『アースバレット』
「おおっ。やった。」
今度は明らかに遅くなった。
「じゃあ、今度は速く撃ってみてくれ。」
『アースバレット』
コツを掴んだのか明らかにスピードが増している。
それじゃあ今度は形だな。
「尖ってる方が有効な場合が多いから見ててくれよ。『ウォーターボール』」
「俺の魔法も元々玉だったんだけど、今は槍状になってるんだ。真似してみてくれ。さっきの氷の槍の形状を頭で強く思い浮かべてから放ってみてくれ。」
『アースバレット』
玉ではなくなっているが形成が不十分だ。
「イメージが足りないんだ。もっと鮮明に思い浮かべてから放ってくれ。」
『アースバレット』
ちょっと尖ってきた感じがする。
「海斗、そろそろMPがきつい。あと1発で終わりたいんだけど。」
「ああごめん。それじゃあ、形は後日特訓してくれ。このままやればすぐにできるようになると思うから。最後は硬度を変えてみようか。『アースバレット』は俺の『ウォーターボール』と扱い方が似てるからここまではスムーズだったけど、次は俺ではダメだったやつだ。氷と水の俺は無理だったけど、土と石なら可能性があると思う。金属も石とか土の仲間だからもしかしたら、金属並みの硬度が出せるんじゃないかと思うんだ。」
「まじか。石が金属になるのか?どうすればいいんだ?」
「俺も出来なかったから合ってるかはわからないけど、高硬度のとりあえず鉄を思い浮かべて、溜めるイメージで意識をしばらく集中させてから放出してみてくれ。」
「う〜。『ア〜ス〜バレ〜ット〜』」
溜め方が独特だがちゃんと魔法は発動した。
壁に向かって飛んで行ったいびつな形の石の玉は壁にぶつかって霧散した。
「どうだった?もう無理だぞ。」
「う〜ん。正直壁相手だったからよくわからなかったけど、なんとなく強化されてるような気もするな。」
「まあ、コツは教えてもらったから土日で特訓してみるよ。」
次に隼人の特訓だ。
『必中投撃』だがMPの消費は1しかないらしく、かなり使える気がする。
まずは使える武器の検証だ。
拾った石、購入してきたパチンコ玉と投げナイフと針をそれぞれ投げてみた。
結論からすると全部投げて命中させることができた。
流石に後ろ向きで投げると外れたが、意識を集中してある程度、的を見ながら投げると全部命中した。
次に威力だが一応投げる強さに影響されるようで、ふんわり投げると威力は弱まっていた。
最後に狙いだが今までは槍を投げていたせいでそこまで狙いを限定していなかったようだが、練習してみた。
「隼人、的を小さくするから狙ってみてくれ。」
「ああやってみる。」
「必中投撃」
パチンコ玉が的に当たったがど真ん中ではない。
何度かやってもらったが徐々に的の真ん中に近付いて来ている。
どうやら習熟度と集中力で精度が上がるようだった。
「隼人、武器が切れたら、その辺の石とかでもいいと思うけど、鈍器よりも鋭利な物の方が、圧倒的に効果が高いと思う。可能なら投げナイフをMPと同じ本数は欲しいな。最悪針でも急所を狙うことができれば仕留めることができるから、念のため持っておいた方がいいな。」
「おお、なんかイメージ湧いてきた。やっぱり海斗に頼んで良かったよ。指導してもらうと自分で考えるのと全然違うな。」
「それは良かった。想像以上に2人ができるからびっくりしたよ。もうちょっとしたら一緒に潜るのもいけると思うから楽しみだな。」
「すぐに追いつくから待っててくれよ。」
「ああ。ただ1つだけ忠告な。説明書は隅から隅まで読んでくれ。これだけは絶対だ。」