A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (148)
第148話 オルトロスの魔核
俺は今ギルドに来ている。
土曜日になったのでパーティメンバーと一緒にオルトロスの魔核を売りに来たのだ。
いつものように日番谷さんの列に並んで
「おはようございます。魔核の買取お願いします。これなんですけど。」
俺はオルトロスの大きな緑色の魔核をカウンターに取り出した。
「高木様。ちょっとお話しがあります。中の方へ移動して頂いてよろしいでしょうか。」
「えっ?別にいいですよ。」
そう言うと有無を言わせずにメンバー毎、奥の部屋へ連れていかれた。
恐らくオルトロスの魔核に引っかかったのだろう、上司の人を連れてやってきた。
「高木様、ちょっと確認よろしいでしょうか?」
「はい、いいですよ。」
「この魔核は一体なんでしょうか?」
「え?9階層で取ってきたんですけど。」
「9階層にこのような魔核は存在しません。赤色の魔核でも珍しいのに、この魔核は緑ですよ。緑。わかりますか?緑です。」
「はい。見ればわかります。緑ですね。しっかり緑です。」
「いえ、そうではありません。緑の魔核などほとんど世に出回ることのない種類のものです。一体何のモンスターからドロップしたのですか?」
「えっと、あの、大きな犬です。」
「犬ですか?大きなってどんな犬ですか?」
「いや、あの、頭が2つくらいあったかな。」
「頭が2つくらいある犬ですか?そんな犬いませんよ。本当の事を言ってください。」
「いや、本当に頭が2つあって、尻尾に毒があるんですよ。」
「だから9階層にそんなモンスターはいません。」
「ちょっといいかな。高木くんの言っているモンスターの風貌だけ聞くとオルトロスっぽい気がするんだけど、まさかそんなことは無いよね。」
上司の人が探るように聞いてきた。
「あの、多分、初めてなんでよくわからないですけど、オルトロスかな。多分そうかな。」
「オルトロスですか?冗談でも洒落になりませんよ。オルトロスですよオルトロス。そんなモンスターが9階層にいるわけないじゃ無いですか。」
いや、今あなたがオルトロスかって聞くから、そうだって答えたのに。
「高木様本当でしょうか。本当にオルトロスの魔核なんですか。」
「たぶんそうなんじゃ無いかな。ははは。なあみんな。」
「「「たぶん」」」
みんな厄介事の匂いを嗅ぎつけたのか、一様の反応を見せる。
「パーティの皆様も間違いないのでしょうか?」
「「「たぶん」」」
「高木様。オルトロスは超レアクラスのモンスターです。9階層に出るはずのないモンスターですが、オルトロスのものであれば、この緑の魔核も説明がつきます。」
「ああ。それならよかったです。」
「全く良くありません。まず第1にオルトロスが9階層にいたのであれば大問題です。事実確認をして、9階層を封鎖しないといけないかもしれません。第2にオルトロスは失礼ですが皆様で倒せるようなレベルのモンスターでは無いはずです。以前も大型恐竜の魔核をお持ちいただいていましたが、あれですら皆様のレベルをはるかに超えているはずです。どう言うことでしょうか。」
「いや、どう言うことと言われましても、たまたまですよ、たまたま攻撃が死角からヒットして運良く倒せたんですよ。なあみんな。」
「「「ええ、まあ。」」」
「高木様、K-12のメンバーは高木様のブロンズランクを筆頭に皆様アイアンランク以上で、若手パーティとしては非常に有望であるとは認識しております。」
「あ、ああ。ありがとうございます?」
「ですが、今回の件はあり得ません。オルトロスですよ。オルトロス。神話に出てくるレベルのモンスターですよ。皆様が嘘をついてない限りあり得ないんですよ。」
「あ、じゃあ俺の勘違いだったのかも。ちょっと大きな奇形の犬だったのかも。」
「高木様。何か隠してませんか?隠してますよね。」
ついに日番谷さんが核心をついてきた。どうしよう。