A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (153)
第153話 9階層踏破
俺は今9階層に来ている。
先週魔核が完全に尽きたので、放課後は1階層で魔核狩りに励んでいた。お陰で200個程度の魔核を手に入れることができたので、これで当面探索には困らないだろう。
土曜日になったのでパーティで9階層の探索を進めている。
いつもと違う点はベルリアがいる事だろう。
当初、召喚せずに進もうかと考えていたのだが、ベルリアがしきりにアピールして頼んでくるのと、矢などの遠距離攻撃を防げる可能性が飛躍的に上がるので、安全策をとって一緒に探索を進めることにした。
パーティメンバーのレベルアップとベルリアのおかげもあって劇的に探索スピードが上がっている。
完全にノーダメージで敵を撃破していっている。
「ガキーン」
ベルリアは、ほぼ確実に矢を防いでくれている。まぐれではなかったようなので本当に良かった。
「ベルリア、あいりさん、敵に突っ込みますよ。」
ベルリアを先頭に3人で敵に突撃をかける。
シルバーオークを俺とあいりさんが斬り伏せ、ベルリアはリザードマンの攻撃を素早く避けてタングステンロッドで連撃をかける。
即座に敵3体を仕留める事に成功した。
ちょっと困った事は、前衛がスムーズになったせいで、後衛の2人の活躍の場が減ってしまった事だろう。
贅沢すぎる悩みだが、なかなかバランスが難しい。
そんな調子でサクサク進んでいると一日で9階層のかなりの部分までマッピングが終わってしまった。この調子で行くと明日には9階層を突破してしまいそうだ。
「みんな、明日には9階層を突破できそうなんだけど、どうする?ちょっと早すぎる気もするけど、10階層に行くのも悪くはないと思うんだけど。」
「私は10階層にゲートがあるから早く行きたい。」
「わたしも10階層に行った方が効率がいいと思うのです。」
「まあ、今の感じだと10階層も問題ないんじゃないか。」
「そうですね。わかりました。明日頑張って10階層に行ってみましょうか。」
明日の方針を決めてから家路についた。
流石に10階層となるとちょっと、熟達してきた気がしてワクワクしてくる。装備も少しはレベルアップして臨む必要がある。まだ到達もしていないのに入学式前の中学生の様に、そんな事ばかり考えてしまう。
日曜日の朝になりいつも以上に張り切って9階層に臨む。
昨日と同様のやり方で進んで行っているが、全く問題なく出来ている。
遠距離攻撃してくる敵以外には積極的にミクとヒカリンにも戦闘参加を促して、新スキルの練習もしてもらっている。
みんなの新スキルだが9階層でもしっかり効果を発揮している。
スナッチとヒカリンで手数が増えた事は非常に有用だ。
早々に昨日までのポイントにたどり着き、未踏破エリアを進んでいく。
途中でモンスター5体の群れに遭遇したが、ヒカリンの『アイスサークル』とミクの『幻視の舞』で敵を足止めしている間に、スナッチ、俺、あいりさん、ベルリアの4人が攻撃を加える事で、あっさりと撃破する事に成功した。
新しいスキルのおかげで、パーティとしての連携がうまく取れるようになってきた。
ほぼ最大数の5体を難なく退けた事で全員にも余裕が出てきて、いい感じでその後もモンスターを倒せている。
ルシェの出番は全く無く、シルも探知のみに活躍している状態だ。
マッピングを続けて行くと、遂に10階層に続く階段まで到達した。
「みんな、ようやく10階層への階段だ。どうする、思い切ってこのまま降りてみようか。」
「当たり前でしょ、ここまできて引き返せないじゃない。10階層にはゲートがあるのよ。帰りが断然楽チンでしょ。」
仰る通りです。ちょっと慎重になって聞いてみただけで、俺も降りる選択しかなかった。
みんなの顔を見回してから、10階層へと降りる為に進んでいった。