A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (154)
第154話 10階層
俺は今10階層への階段の前にいる。
これを降れば遂に10階層に到達だ。
「みんないいかな。行くよ。」
パーティメンバー全員で階段を降りて行くと、そこには5階層にもあったコンビニをさらに小さくした様な売店があった。恐らく5階層よりも利用者が少ないせいで小さいのだと思うが、ミネラルウォーター500mlが650円となっている。
高い・・・
恐らく高度の高い山と一緒で奥に行けば行くほど高くなって行くのだろう。出来る事ならマジックポーチが欲しい。ダンジョンを下降しているのに、逆に物価はどんどん上昇していく。
そして、今までになかったブースがある。
それはシャワーブースだ。水をどこから引いているのかわからないが1回5分で1000円と書かれている。ミネラルウォーターに比べると随分良心的だが、貼り紙で飲料水には使用できませんとの記載があった。
ダンジョンでお腹を壊すリスクは避けたいので、飲むのは控えようと思うが、特に女性には喜ばれるブースだろうと思う。
「みんな、売店とシャワーブースがあるみたいだから、機会があったら利用してみようか。」
「もしかして海斗はどうして10階層にシャワーブースがあるか知らないの?」
「え?何か理由があるのか?」
「もちろんあるわよ。10階層からは砂漠エリアになるのよ。ダンジョンで太陽は無いはずなのに、灼熱のエリアもあって気温が40度を超えるエリアもあるのよ。だからシャワーがあるの。熱中症対策も必須だから。」
「ああ、砂漠エリアなのは知ってたけど、そこまで暑いエリアがあるとは思ってなかった。地面が砂なんだろうぐらいに思ってたよ。それじゃあ、ちょっとこのまま臨むのは無茶かもしれ無いな。」
「長時間は無理だけどせっかくだから、ちょっとだけ進んでみましょうよ。」
「まあ、それがいいかもしれないな。みんなそれでいいかな。」
「はい。」
「ああ。」
「それじゃあシル、初めてのエリアだから特に気をつけて進んでいく様にしよう。」
「かしこまりました。」
俺たちは好奇心に駆られて10階層の探索を始めたが、すぐに汗が滝の様に流れ始めた。
暑い。とにかく暑い。真夏の炎天下を歩いている様な感じだ。
しかも足元が砂地の為足を取られて思いのほか進みが遅い。
他のメンバーを見ると同様の状態だが、サーバントたちはなぜか平然としている。
「シル、ルシェ、お前たち暑く無いのか?」
「もちろん暑いですが、この程度であれば特に問題ありません。」
「魔界にはもっと過酷なところもあるからな、これぐらいだったら問題ない。」
サーバントと人間ではそもそも違うのか、もしくは育った環境の違いかサーバント達はみんな大丈夫な様だった。
「ご主人様、モンスターの反応が2つあります。ご注意ください。」
シルの声で気を引き締め直して、臨戦態勢に入る。
どこだ?目視出来る範囲には見当たらない。前方に注意を払いながら進んでいくが何もいない。
「マイロード、避けてください。」
ベルリアの声に身構えたがどこに何を避けていいかわからず動けないでいると、俺の足元の土の中から突然巨大なミミズの様なモンスターが現れて俺に巻きついてきた。
ううっ、苦しい・・・
突然の地下からの急襲になすすべなくやられそうになっている俺に向かってベルリアがタングステンロッドで連撃を加える。
ベルリアの連撃に弱ったミミズ型モンスターは俺を離し、土の中に逃げようとしたところを、スナッチが『ヘッジホッグ』でしとめた。
「マイロード避けてください。」
再びベルリアの声がしたので今度は躊躇なく横方向に飛び退いた。飛び退いた瞬間今までいた場所からもう一体が出現したが、ベルリアとスナッチで挟み撃ちにして討ち取った。
今までに無い下からの攻撃は驚異的だったが、正直常に足下に意識しながら戦う事は難しいので、ベルリアに期待するしかない。
思ったよりもベルリア使えるな。