A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (16)
第16話 3階層への準備と妹萌え?
LV10に到達しBP25となった俺は2階層での成長限界を感じていた。
以前はあれほどの恐怖を感じていたゴブリンだが、今は俺と同程度の強さであると認識している。
仮にシルフィーの助けがなくても、すぐにやられてしまうという事はないだろう。
3階層に向かうという事は、確実にゴブリンやスケルトンを超える強さを持つモンスターが相手となるという事だ。
俺にとっては一度も踏み入れたことのない未踏、未知の領域だ。
未知の領域だがもちろん情報はある。
2階層まではモンスター単体でしか出現しなかったが、3階層からは複数体でも出現するとのことだ。
つまりシルフィーがモンスター 1体にかかっている間に、俺も本格的に戦闘を行う必要があるという事だ。
今の俺では、レベルやBPは3階層への挑戦権を得る段階に到達したとはいえ、圧倒的に一人で戦う術が不足している。
「シルフィー、今日からしばらく一人で2階層に潜ろうと思う。」
「わたし何か悪いことしましたか?ご主人様を怒らせるような事をしてしまったのでしょうか。私はもう必要ないですか?」
「い、いや違う。シルフィーは何も悪くないんだ。実は今度3階層への進出を考えているんだが、今のままで
はシルフィーに頼りっきりになってしまう。3階層でお荷物にならないように少し鍛えたいんだ。」
「ご主人様がお荷物なんてありえません。でもそこまで考えられてるなんて、やっぱりさすがです。」
「ありがとう。」
「それともう一つ。俺はシルフィーのことを本当に信頼しているし感謝している。サーバントというより
頼りになる妹のように思っている。 これからもっといい関係を築きたいと思ってる。 」
「まず手始めに呼び方をシルフィーからシルにしようかと思うんだけど、どうだろう。」
「ありがとうございます。そんな風に思ってくださってうれしいです。」
シルフィー いやシルは大きな青い目を潤ませながらまっすぐ俺を見て
「こんなに私のことを思ってくれるご主人様に会えてシルは幸せです。」
俺は自分で言い出したことではあるがシルの反応を見て照れまくってしまった。
普通に可愛い。
異常に可愛い。
破壊力が半端ない。
こんな妹がいたらなんでも買ってあげそうになるだろう。
これが『シスコン』というものだろうか?
いや世に聞く『妹萌え』というやつだろうか?
今日一日1人で頑張れそうだ。
それから俺は一人でゴブリンとスケルトンへ挑んだ。
前回の失敗を教訓に挑んだ。
ゴブリンを発見すると、出来るだけ遠くからボウガンで一撃かました。やはり急所に命中することはなく、肩口に命中したが前回と同じように「グギャー」と怒り狂いながら突進してきた。
前回と違うのは俺だ。
ボウガンからシールドとタングステンの棒に持ち替え、 まずシールドでゴブリンの勢いを殺した。
「ドガッ」
凄い衝撃が来たが、以前の戦闘時と違い押し負けずになんとか耐えれている。
ここ数日寝る前に、脳が擦り切れるほどシミュレーションしてきた。
焦らず、盾の隙間からゴブリンのむこう脛に思いっきりタングステンロッドをぶちかましてやった。
「グゥワーッ」
「ガツン」
と手ごたえ十分だ。続けて、もう一本のむこう脛にもかましてやった。
「ギャーッ」
これで勝負は決まった。俺は、動けなくなったゴブリンにとどめをさした。
3匹目にしてようやく余裕を持って狩ることができた。
「次はスケルトンだな。」
俺はスケルトンを探し、今度は最初からシールドとロッドを持って、猛然と突撃した。
シールドでスケルトンの動きを封じてゴブリンの時と同じように、むこう脛にぶちかます。
「ゴキン」
とスケルトンの足が折れた。
骨は鉄ほどの強度を持つと言われるが、タングステンは鉄よりもはるかに硬い。
レベルアップした俺の膂力と合わさり、会心の一撃となった。
あとは頭蓋骨を破壊して戦闘は終了した。
はじめて1人でスケルトンを狩ったが、俺の装備とは思いの外、相性が良かった。
その後一週間俺はゴブリンとスケルトンを一人で狩り続けた。
少しだがソロでの戦闘にも慣れてきた。
遂に明日 俺は3階層へ挑む。