A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (161)
第161話 模擬訓練の続き
俺は今1階層でベルリアと訓練をしている。
正直ベルリアとの訓練は心が折れそうになる。
何度も攻撃をくらってとにかく痛いのだ。手加減してもらっているのだが、とにかく痛い。
あまりに痛いので時々『ダークキュア』で治してもらうのだが、その時の痛みは消えるものの、やっぱり攻撃をくらうと新たな痛みが発生して痛い。
俺もバカではないのでやられてばかりではない、ベルリアの攻撃を避けた瞬間にバルザードの飛ぶ斬撃をかましてやった。
流石に近距離だったので多少はダメージを与えられたようだ。
「マイロード、今のはズルです。今はスキル等無しの剣術練習です。使用しての訓練は次のステップですので今のは、無しです。」
ええ?俺のはズル?
「ああちょっとせこいな。いくら敵わないからってそれはないな」
ルシェ、お前まで。
「ご主人様、今のはちょっと・・・」
シルお前もか。
「わかったよ。俺が悪かったよ。剣だけな剣。」
その後も20分ほど訓練を続けたが、そこまでが限界だった。
実剣を使った訓練がこれほど大変だとは思わなかった。とにかく集中力を要するし、体力の減りも尋常ではない。素振りとは全く違う疲れ方だ。
ただ、今までやったことの無い本格的な訓練に充実感も感じている。当面平日はこのルーティンで臨もうと思う。
土曜日を迎え、パーティメンバーで10階層に本格的に臨む事となったが、合流時に俺の格好の事を色々指摘されてしまった。
ブーツは結構評判が良かった。
マントは、見た瞬間に何かにかぶれてしまったのかと心配されたが、エアコン内蔵なのを聞いてみんな納得してくれた。むしろ探索者っぽくていいんじゃないかとも言ってくれた。
問題はヘルメットだが、春香も微妙な反応を示したが、パーティメンバーの3人も微妙な反応を示した。
ファン付きで涼しい事を説明してもなお、微妙な反応だ。
探索者というより冒険者っぽいとのことだった。まあ、冒険者がヘルメットをかぶっているイメージがあるから仕方がないかもしれない。
みんなもそれぞれ装備品が更新されているが、ヘルメットではなく帽子をかぶっているのと暑さ対策はハイテク下着で体温を調整しているらしいので、表面上はそれほど変化がなかった。
10階層に行くと、ゲートポイントでもあるので他の階層に比べて他の探索者パーティもちらほら見かけるが、一様に俺の事なのか、パーティ全体なのかは不明だが見られている感がある。
俺の新装備がそんなに目立つのか、他のパーティメンバーが目立つのかはよくわからないが注目されているのはわかる。今までにあったのは、ライフジャケットを装着していた時以来なのでちょっと新鮮な感じではあるが、そんなに見ないでおいてほしい。
遂に10階層エリアに本格的に乗り出したが、まずブーツだが重いもののスニーカーよりは歩きやすいし砂も入ってこないので、ジャリジャリ感もなく快適だ。
暑さも前回に比べると劇的に改善している。
みんなの方も見てみるが特に変わった感じもないので問題なくいけているようだ。
「ご主人様、前方から敵が高速移動してきます。」
なんだ?どこから来る。また地下か?
そう思って足元に注意していたが実際には前方から急速に猿っぽいモンスターが飛んできた。文字通り飛んできた。 あまり大きくはないがチンパンジーほどの大きさに羽が生えている。天使の先祖か?とバカな妄想 に耽る間もなく高速で上空から迫ってきたので全員で一撃目を回避する。
「みんな機動力はあっちが上だから遠距離から仕留めよう。ミクとあいりさんは魔核銃、カオリンは『ファイアボルト』ベルリアはみんなを守れ。」
俺もバルザードを構え飛ぶ斬撃を発動させるが、今までの敵に比べると小さいのと思いのほか移動速度が速い為なかなか当たらない。おまけに上空からなにかを投げつけてきたがベルリアが撃ち落とす。
なんだ?なにを投げてきているんだ。
「マイロード、恐らく魔法です。魔法で毒物を射出してきていると思われます。」
「毒物?お前大丈夫なのか?」
「私は耐性があるので問題ありません。皆さまをお守りします。」
今までより小さい風貌にちょっと舐めていたかもしれない。上空から魔法で毒物を射出してくる。遠距離攻撃を持たなければ手詰まりになるような強力な攻撃じゃないか。
とにかく撃ち落とすしかない。
何度か繰り返すが、上空の動く敵がこれほど厄介だとは思わなかった。
当たらない・・・