A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (162)
第162話 10階層の壁
俺は今10階層で戦っている。
天使の先祖ではなく、空飛ぶ猿、名前がわからないので、飛猿と名付けるが、攻撃が当たらない。
今まで大きい系のモンスターが多かったので攻撃自体は難なく当たっていたが、こいつには当たらない。
地上の敵であれば、連射でなんとかなるのだろうが、空から立体で攻められるとこんなに厄介だとは思わなかった。
連射性能が高い魔核銃が数発当たっているようだが、致命傷には至っていない。
バルザードの斬撃はスピードが遅いのと、狙いが大雑把になってしまうので諦めて魔核銃に持ち替えている。
ヒカリンも魔法が当たらないので魔核銃を手にしており、4人で魔核銃スタイルになっている。
しかし当たらない。ライフルか何かがあればちょっと違うかもしれないが、短銃スタイルの魔核銃では相性が悪い。
スキル『必中投撃』がほしいところだが一方的に空から攻められるのもよくないので
「シル『神の雷撃』を頼む。」
「かしこまりました。『神の雷撃』」
「ズガガガガーン」
いつもの爆音と共に飛猿が消失した。
「「「「さすがです」」」」
いつもより、声が多いと思ったらベルリアもシルを称えていた。
「本当は、シルに力を借りる気は無かったけど、このまま行くとジリ貧で被害が増えてもまずいから。やっぱり10階層だけあって、なかなか厳しいと思う。今後も厳しい場面では、シルとルシェには手伝ってもらおうと思うんだけど、いいかな。」
「「「「もちろん」」」」
なぜお前も混じってるんだベルリア。
自分たちだけで探索を進めたかったので不本意だが、みんなの安全には代えられないので、今後はシルとルシェにも場面、場面で参戦してもらう事にした。
その後も探索を続けているが、思ったほど進まない。
砂地で歩くことがこんなに困難だとは思わなかった。足がとられて重い上に、デザートブーツを履いていても戦闘では予想以上に足を取られる。
参ったのは、ベルリアとステップの訓練をしているのに砂上ではステップが踏めない。最小限の動きで避けるように訓練したが、極力大きく動いて避けなければ、自分の感覚以上に可動域が狭くなっている。
「ご主人様、敵が5体です。正面からです。」
5体はこの階層では今までで1番多い。
正面から、直立したトカゲのようなモンスターが迫ってくる。
早い。
リザードマンではない、水上を走るバシリスクのような感じで砂の上を難なくかけてくる。
どう見ても俺らよりも機動力が上だ。
「シル、『鉄壁の乙女』を頼む。みんなサークル内に入って各自攻撃してくれ。」
「プシュ」 「プシュ」
魔核銃で狙い撃つが、鱗に守られているのか効果が薄い。
「ヒカリン、『アースウェイブ』を順番に頼む。ミク『幻視の舞』で足止め頼む。スナッチも攻撃を。」
「アースウェイブ」
ヒカリンが『アースウェイブ』を発動するが御構い無しに飛び越えてくる。
砂場だから『アースウェイブ』が有効だと踏んだのだが、砂走りとでもいうべき走り方には無効だったようだ。
「すまないヒカリン、『アイスサークル』に変更して。」
最初の1体がサークルまで到達して攻撃を仕掛けてくる。
ベルリアが直ぐに斬り倒したが、それを見た残りの4体は方向転換し一定の距離を保ってこちらを伺っている。やはりそれなりの知能があるようだ。
1体を『アイスサークル』が捉える。それとほぼ同時に2体が奇妙な動きを見せ始める。
ミカの『幻視の舞』にかかったようだが1体は逃れたようだ。
「ベルリア、あいりさん、行きますよ。無傷の奴に注意してください。」
3人で飛び出して、まず『アイスサークル』にはまっているモンスターを撃退しようとするが、なぜかベルリアだけが速い。俺とあいりさんが砂に足を取られて移動速度が落ちているのに対して、特に普段と変わらない速度で走っている。なぜだ?悪魔って砂は問題じゃないのか?
結果ベルリアだけが先に到達したので1人でモンスターを斬り伏せた。俺とあいりさんは、それを見てターゲットをふらふらしている2体に切り替えて攻撃する。
あいりさんも『斬鉄撃』を発動しているようで一撃で撃破した。
俺も飛び込んでバルザードを突き刺して敵を爆散させた。
残る1体は走り回りながら攻撃を伺っているので斬撃を飛ばすが、なかなか当たらない。
その直後俺の横をスナッチがすり抜けて行き敵めがけて『ヘッジホッグ』を発動して、串刺しにしてしまった。
全員の連携で無事に5体を倒すことが出来たが、やっぱり手強い。10階層のモンスターは特別強い感じはしないがそれぞれが特徴を備えており、うまく噛み合わないとなかなか苦戦してしまう感じだ。まだまだこれからなので気を抜かずに進んで行きたい。