A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (172)
第172話 ギルドの噂
俺は今ギルドに来ている。
日番谷さんのところに行ってみるが平日なので空いていた。
「こんにちは。ちょっといいですか?」
「はいなんでしょうか?魔核の買取でしょうか?」
「あのですね。いくつか聞きたいことがありまして。」
「はい。私にわかることであれば。」
「実は、最近噂になっている『黒い彗星』って知ってますか?」
「はい。超絶リア充『黒い彗星』ですよね。先週ぐらいから急に噂が広まったようなのですが、私も把握はしております。」
「ああ、やっぱり日番谷さんも知ってるんですね。」
「まあ、普段あまり変化の無いダンジョンで突然現れたホットな話題ですからね。私の元にも噂が流れてきております。」
「どんな風に聞いてますか?」
「なにやら不思議な装備の黒いヘルメットにかぶれたマント、異常に不細工なのに美女ばかり7人もはべらかして、幼女まで何人も引き連れているそうです。女の敵のような存在と聞いております。」
「はい!?」
おいおい、なんか話が変わってると言うかデカくなってる。美女ばかり7人?幼女も何人も?しかも異常に
不細工?いったいなんなんだ。
噂って怖い・・・ あっているのが装備だけじゃないか。
「あのですね、日番谷さん。ちょっと相談があるんですけどいいですか。」
「はいなんでしょうか?」
「あのですね、多分その『黒い彗星』俺です。」
「はい?なにをおっしゃっているのか意味がわからないのですが。」
「あの、超絶リア充『黒い彗星』俺です。」
「いえ、高木様おっしゃっている意味がわからないのですが。」
「だからその噂の『黒い彗星』俺のことです。」
「高木様。からかうのはやめていただけますか?高木様のパーティは女性は3人だけですよね。しかも高木様は異常に不細工ではなく至って普通では無いですか。それに何人もの幼女などどこにもいないでは無いですか。」
「あのですね、その噂なんですが俺の聞いたのより大きくなっています。俺が聞いたのはヘルメットとマント、美少女3人に美幼女が2人と男の子のパーティです。」
「え?でもそれが高木様だと言われるのですか?」
「そうです。最近10階層に潜り始めたんですけど、確かに周りの視線を感じてはいたんです。でも俺に対してだとは思っていなかったんですよね。新しい装備とか他のメンバーに対してかなと思ってたんですよ。それが今日友達から『黒い彗星』の話しを聞いてびっくりしてしまって、どうしていいかわからずここに来たんです。」
「高木様、美幼女と男の子というのはもしかして。」
「はい。この前見せたサーバントです。レベルが初期化されたのと同時に幼児化してまして。俺どんな風に思われてるんですかね。やばい感じですかね。」
「噂を聞く限り、羨ましいというのが大多数なのでは無いでしょうか?異常に不細工というのもやっかみかと思います。」
「あの、幼女趣味とか変態とかっていうのは大丈夫ですかね。」
「今のところそのようなニュアンスの話は聞いておりません。あくまでも超美幼女に対して羨ましいという感じでは無いでしょうか。」
「そうですか。少し安心しました。」
「高木様。失礼ですがそのような趣味がおありなのですか?」
「あるわけないじゃ無いですか。俺はノーマルです。どノーマル。同級生にしか興味はないんです。」
「ふふっ。冗談です。あまりに真剣なのでからかってみたくなっただけです。申し訳ありません。」
「冗談になってませんから。」
「すいませんでした。」
「それはそうと、俺どうすればいいですかね。リア充でもないのにそう言われるのに抵抗がありまして。」
「いえ、高木様は私からみても普通にリア充だと思いますが。」
「なっ!? 日番谷さん、リア充って女性にモテている人のことですよね。」
「まあ一般的にはそうでしょうね。」
「俺、全くモテてないんですけど。多分普通よりもモテてないです。彼女もいたことないですし。」
「高木様、お言葉ですが、パーティメンバーは皆様、可愛い方ばかりではないですか。」
「いやいや、パーティメンバーが可愛いのは俺がリア充だからじゃないですよ。しかも、彼女達とも一切、男女の付き合いはないんですよ。パーティメンバーがたまたま可愛い女の子達だっただけです。」
「ああ。そんな感じなのですね。高木様よく、円滑にパーティを組まれていますね。」
これは褒められているのか?
「なんとかならないですかね?」
「そうですね。マスクとかかぶってみてはいかがでしょうか。」
「本気で言ってますか?余計怪しくなるだけじゃないですか。」
「申し訳ございません。冗談です。ただ噂も75日と言いますのでその内収まるのではないでしょうか。ギルドから個人情報が漏れることもありませんので、高木様個人の特定は難しいと思われます。開き直って有名人になったぐらいの気持ちでいればいいのではないでしょうか。」
「そんな気持ちの余裕はないんですけど、何か対策はないですかね。」
「ギルドには様々な噂が入ってきますのでそれに対して個別に対応することは難しいのが現状です。ただ、他の方達が羨むようなパーティメンバーなのですから自信を持って臨めばよろしいではないですか。私も一度サーバント達を拝見してみたいものです。」
「そんなものですかね。」
結局ギルドでも根本的な解決には至らなかったが、日番谷さんに言われて少し気が楽になった気がする。1番の懸念だった変態扱いされるどころか、今の所羨ましがられていると聞いて、ほっとした。
今後も気を抜かずにこれ以上目立たないように75日を過ごしていきたい。