A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (174)
第174話 10階層突破
俺は今10階層を探索している。
先週の土日も10階層に潜っていたが、サーバントの力を借りることにしたのと、ヒカリンの『アイスサークル』による冷却効果のおかげで、あれだけ苦戦していた10階層の探索がどんどん進んでいる。
ただ、平地に比べると砂に足を取られるので体力的な消耗度は高い。土曜日までのマッピング具合で、今日中には10階層を突破できるかもしれないところまで来ている。
「ご主人様、モンスターです。4体来ます。注意をお願いします。」
警戒していると前方から忍者トカゲが2匹向かってきているが残り2体が見当たらない。
カメレオン型か、土の中からの攻撃だろう。
「シル『鉄壁の乙女』を頼む。ルシェ、トカゲを1体任せた。俺とヒカリンでもう1体を、残りの2体が出てきたら、残りのメンバーで頼む。」
ルシェは最近速攻で倒してしまうので残り1体に集中する。
素早く動くトカゲに向かってカオリンが『アイスサークル』を発動して氷漬けにする。氷漬けのトカゲに向かってバルザードの斬撃を2回飛ばして撃破する。
残りの2体は、カメレオンとミミズだったようで、光のサークルによって弾かれたようで、現れたモンスターに対して、スナッチが『ヘッジホッグ』、ミクが魔核銃、あいりさんがなぎなたでの直接攻撃をかけて撃破する事に成功していた。今回もベルリアの出番はあまりなかったようだ。
「ヒカリン『アイスサークル』をお願い。」
出現した氷の柱にみんなで張り付いて涼を取るが、やっぱり砂漠エリアはこれに限る。
おかげでクールダウンしてみんなで再度探索に臨む。
10階層のモンスターもそこまで種類が多くはないのでかなり手慣れてきて、どんどん倒して行く。
ただ、遠距離攻撃のないベルリアの出番が思ったよりも少ないせいで、本人はアピールの場を奪われたような妙なストレスがあるらしく、いつもよりも元気が無いように見えたが今だけの事かもしれない。
「みんな、おそらくなんだけど後少しで11階層への階段まで辿り着ける気がするんだけど、このまま進んじゃう?どうしようか。」
「マイロード、もちろん11階層に進むべきだと思います。絶対にそうすべきです。」
「他のみんなはどうかな。」
「ちょっと早い気もするけどいいんじゃない。」
「そうですね、進んでもいいと思うのです。」
「任せるよ。」
まあ、ベルリアがやたらと積極的なのを除いても概ね進む事に賛成のようなので行ってしまう事に決めた。
そこから30分程度で下層への階段を発見した。
「ご主人様ご注意を。モンスターの気配があります。」
階段を見つけてテンションが上がった瞬間にシルが冷静な声で告げてきた。
周囲を見渡してみるが全く見つからない。
階段を見つけて気を抜いたところを襲うつもりなのかもしれないので油断ならない。
警戒してしばらく待機してみたが何も現れないので向かってみるしかなさそうだ。
「みんな、多分待ち構えていると思うけど、待ってても来なさそうだから思い切って行ってみようか。シル『鉄壁の乙女』を頼む。全員俺から離れないようについてきてくれ。」
俺は『鉄壁の乙女』を発動したシルを抱えて階段までゆっくりと近付いて行くが、階段の手前10mぐらいの位置まで来た瞬間、光のサークルに向かって何らかの攻撃が加わったのが認識出来た。それと同時にすぐ手前にアリ地獄とミミズのモンスターが2体出現した。見えない攻撃はカメレオン型だと思われるので10階層の隠密モンスターが勢揃いした感じだ。
ただ『鉄壁の乙女』を展開しておいたおかげでみんな無事なので余裕を持って応対できる。
「べルリア、ミミズ型を頼む。1体は俺が受け持つ。ルシェはアリ地獄を、残りのみんなでカメレオン型を仕留める為に一斉に射撃してください。」
俺は声をかけると同時にシルをその場に立たせてからミミズ型のモンスターに向かって駆け出した。
これを倒すと11階層だと思うと自然とテンションが上がってしまい、遠距離攻撃だけでもよかったのに、自分からモンスターに近付いていってしまった。
もう1体はベルリアが相手をしてくれているので自分の相手にだけ集中をする。
ミミズ型の動きを見て、攻撃を予測して避ける。避けた瞬間にバルザードを横腹に突き刺して破裂のイメージをのせる。
「ボフゥン」
炸裂音と共にミミズ型の胴体を分断して消滅させる事ができた。
調子に乗って痛い目を見ることもあるが、砂地に慣れてきた事もあり今回は何事も無く倒すことができた。
ベルリアもミミズ型を滅多斬りにして消滅させていた。ルシェも戦闘を終了しているので残っているのは、カメレオン型のみだ。
俺も魔核銃を手に参戦してみるが、敵の居場所がよくわからないのでシルに確認するとまだ居るとの事なので、攻撃を継続している。
「どこかに隠れているんだと思うけど、このままだと埒があかないな。ベルリア場所の特定が出来ないか?」
「わかりました。ちょっと集中させてください。」
そう言ってベルリアは剣を鞘に戻して神経を集中させ始めた。
「はっきりとはわかりませんが、彼方の端の方から生き物の気配らしきのを感じる気がします。」
ベルリアの指差す方向にみんなで一斉に攻撃を再開すると、本当にモンスターが隠れていたようで、攻撃がモンスターの形に命中しているので、追撃をかけ無事に消滅させることができた。
「無事倒すことが出来たようだから、ちょっとだけ11階層に降りてみようか。」
俺達は遂に11階層へと踏み入れた。