A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (178)
第178話 おみくじ
俺は今初詣にきている。
お詣りを済ませてお願いもしっかりしておいた。
「海斗、せっかくだからおみくじを一緒に引いてみようよ。」
「うん、いいよ。」
おみくじか、小学生の時以来かもしれない。昔は単純にくじとして楽しむ為に引いていた気がする。
自動販売機っぽいおみくじの機械に100円を入れると、おみくじが出てきた。昔引いたのは、棒みたいなのをガラガラ引いた記憶があるのでちょっと、微妙な気分になったが、縁起物なのでよしとしよう。
春香もおみくじを引いたので同時に開封する。
俺は・・・『末吉』
末吉。正直微妙すぎる。凶よりはいい気がするが、吉の中では1番下だ。
学業・・・結果に拘らず励む事。
恋愛・・・困難多し。一途に励む事。
なんだこれは。おみくじって良いことを書いてるんじゃなかったっけ。これを見るとどちらともダメっぽい。たかがおみくじされどおみくじだ。結構ショックがでかい。
「海斗どうだった?私は大吉だったよ。」
春香が満面の笑みで聞いてくる。
「さすが春香だね。俺は末吉だったよ。内容も微妙・・・」
「そっか、でも末吉も吉だからね。これからどんどん良くなって行くんだよ。」
「ああ、そうだと良いんだけどね。」
やっぱり春香は優しいな。お互いのおみくじを見せ合うと春香のおみくじには
学業・・・励めば必ず成就する。
恋愛・・・意中の相手と結ばれる。
なんだこれは。大吉と末吉でこんなにも違うのか?これが運と人間力の差というものなのだろうか?
軽くショックを受けながらも、必ず運命を乗り越えてやると心に誓い、2人でおみくじを結ぶ紐に結んでおいた。
気を取り直して帰る途中の出店で買い食いをすることにした。子供の頃は300円から500円程度の食べ物が結構あったと記憶しているが全部500円から1000円になっている。
しばらく利用しない間に値段が上昇していたようだが、今の俺ならこのぐらいは問題ない。
「春香、なにか食べたいものある?」
「それじゃあね、あれがいいかな。」
春香が指差したのは、焼きそばを割り箸に巻きつけて揚げた今、若者に大人気という触れ込みの食べ物だった。
「おじさん、2本ください。」
「1600円だよ。」
おじさんにお金を払って春香に渡すと、お金を返そうとするので、奢りだよと言って受け取るのを拒否しておいた。
2人で並んで食べてみたが、パリパリする食感と焼きそばの味がしてかなり美味しい。駄菓子がパワーアップしたイメージだ。
しかし春香が食べている横顔がなんとも言えずかわいい。振袖で可愛さが3割増しで、ただ食べているだけで無茶苦茶かわいい。
「次は何を食べようか?」
「なんでもいいよ。海斗の食べたいので。」
もうお昼なので結構お腹が空いている。鏡餅風のミニ団子に生クリームとチョコチップが振りかけた串があったのでそれを頼むことにしたが、お正月価格なのか1000円と結構高額だ。
「はい。これ春香の分。」
「お金払うね。」
「いやいや、クリスマスの代わりだから俺に出させてよ。」
「じゃあ、今日はご馳走になります。次は私が出すね。」
和風の団子と洋風の味付けスィーツで思ったよりもかなり美味しい。まあ、初詣の雰囲気込みの味だと思うが、春香がいる事で味も完全に3割増しになっている。
しばらく、人混みの中を歩いているとクラスメイトの女の子達のグループに声をかけられた。
「春香、あけましておめでとう。ふ〜ん。高木くんと2人で初詣か。仲睦じい事で羨ましい限りです。私達は元旦から女ばっかり3人だよ。高木くんも春香を大事にするんだよ。」
「いや、普通に仲良くしてるだけだけど、変な言い方するなよ。他の2人に誤解を与えるだろ。」
冬なので寒いのは当たり前だが、なぜか一段と寒さが増した気がする。
「誤解って。誰も誤解なんかしてないよね。春香も大変だね。高木くんも頑張ってね。」
何を頑張るのか良くわからないような別れ方をしたが、流石に初詣には知り合いも来ているらしい。他にも誰か来ているかもしれない。
しばらくして人混みを抜けると、春香が
「はい。これクリスマスに渡せなかったから。」
おおっ。まさかクリスマスプレゼントか?
渡された袋の中を見ると手編み?のミトンが入っていた。
「春香、これって・・・」
「初めてだから上手く出来なかったところもあるんだけど、我慢してね。」
やっぱり、手編みか。手編みのミトンなのか。テレビでしかみた事のない手編みのプレゼント。
末吉?いやいや大吉だろ。超吉でもいいな。