A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (179)
第179話 幸せのお正月
俺は今初詣に来ている。
春香から手編みのミトンを渡されて猛烈に感動している。
「よかったらつけてみて。」
「ああ、もちろん。」
早速手にはめてみたが、理力の手袋とは全く違う感動が湧き上がってくる。
「どうかな。サイズ大丈夫?」
「ああ、もうぴったりだよ。測ったようにぴったり。もう言う事ないよ。ありがとう。」
そういえば感動で失念していたが、春香がプレゼントをくれたのに俺は何も用意してない事に今気付いてしまった。
クリスマスもどこに行こうかと予定ばかり考えていて、プレゼントを買うのを完全に忘れてしまっていた。
まずい・・・
「あの〜。プレゼントもらった後でちょっと言いにくいんだけど、俺春香のプレゼント買うのを忘れてました。ごめんなさい。クリスマスプレゼントを買ったことがなかったから、頭から完全に消えてました。よかったらこれからすぐ買ってきてもいいですか?」
「そんなのいらないよ。もう十分もらってるから。」
出店の食べ物の事か?
「いやいや、それじゃあ、俺だけ得してる感じがして気が済まないよ。」
「だって、これもらったでしょ。」
そう言って春香は左手首につけているブレスレットを見せてきた。
振袖姿に気をとられて全く気がついていなかったが、春香はこの前プレゼントしたサファイアのついたブレスレットをしてくれていた。気がついてしまうと振袖と合わさって本当によく似合っている。しかも、しっかり身につけてくれているので気に入ってくれたのかもしれない。
ただ、手編みのミトンは、ブレスレットのお返しだったようなので少しだけ残念な気がした。
「ああ、でもそれは、この前のお礼だから。クリスマスは別のプレゼントを用意しないと。」
「もう十分なんだけど。」
「やっぱり、何か用意するよ。何がいいかな。」
「う〜ん。それじゃあ、クリスマスの代わりに一緒に映画に行こうよ。」
「わかった。じゃあこれから映画に行こうか。予定は大丈夫?」
「今日は、この後家族と予定があるから、明日でもいいかな。」
「わかった。じゃあまた明日行こう。」
今年の元旦は今まで生きてきた中で1番素晴らしいものとなった。春香から手編みのミトンをもらったので感動だ。たとえブレスレットのお返しだったとしても貰った事には違いない。春香の振袖姿もスマホで撮ったし永久保存版だ。
1月2日になり、春香と駅前で合流した。
今日は白のロングコートが振袖とはまた違う魅力を発揮しており、可愛い。
お正月に2日続けて春香と何処かに行けるなんて、幸せだ。
「おはよう。じゃあ行こうか。」
「手袋してくれてるんだね。よかった。」
「ああ、もうあったかいし、言う事ないよ。」
そのまま映画館に直行したが、お正月という事でアニメ映画が多いようだ。
「何かみたい映画ある?」
「できたらこれがみたいかな。」
春香がみたいと言ったのは興行収入100億円突破のアニメ恋愛映画『宇宙で会えたら』だった。
普段、あまりTVを見ない俺でも、至る所でプロモーションをしているので知っている映画だ。
春香と何度か映画に来ているものの、アニメ映画は初めてとなるが俺もちょっと興味があったので良かった。
早速チケットを買って2人で見たが、お正月だからか結構空いていて、逆にそれが良かったりした。
映画の内容は高校生がロケットを製作する話だが、その夢を持ち続けて、大人になってからみんなの思いを乗せたロケットの打ち上げに成功して、高校時代の思い人と結ばれるという話だった。
圧倒的な映像美と、設定が高校生だった事もあり、自己投影して感動してしまった。最後がハッピーエンドで、思い人と結ばれたのも良かった。
アニメ映画を今まで敬遠していた節があったが、完全に裏切られた。アニメ映画すごく良かった。
春香を見ると、ラストのシーン泣いていた。映画で泣く春香を見るのはこれで2度目だが、やっぱり可愛い。
「海斗、すごくいい映画だったね。私感動しちゃった。私達も同じ大学に行けるように頑張ろうね。」
「ああ、もちろんだよ。」
正月から春香と会えて、良い映画を見れて、本当に今年はいい年になりそうだ。