A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (186)
第186話 隠しダンジョンの中
俺は今11階層の隠しダンジョンに来ている。
今のところまだモンスターに遭遇していないのでよくわからないが、モンスターがいないと言う事は無いだろう。
「シル、敵の気配って無いのか?」
「ご主人様、向こうに1体気配は感じるのですが、どうやら通常のモンスターでは無いようです。感じが違います。」
やっぱり、この隠しダンジョンも普通ではないらしい。
「みんな、注意してくれ。ベルリア特に頼むぞ!」
「任せてください。」
全員で前方に進んでいると1体のモンスターが仁王立ちしていた。
そこにいたのはワニの頭を持ったワニ男だった。
「みんなワニ男に注意だ。」
「海斗、多分なんだけど、ワニ男じゃなくて、格好からしてセベクじゃないかな?」
「ミク、セベクってなに?」
「あんまりメジャーじゃ無いかもしれないけど古代エジプトの神なんだけど。」
「神・・・やばく無いか?うちにも神がいるけど半分だけだぞ。負けてるんじゃないか。」
「それはなんとも言えないけど外見だけならシル様の圧勝でしょ。」
「いや、今はそこでは無いと思うけど。」
「シル、なんかあれ神っぽいんだけど、大丈夫かな。バチが当たったりしないかな。」
「いえあれは神ではありません。神格ほどの力を感じません。おそらく偽神です。」
「偽神?」
「はい。神の姿と力を模倣した者の事です。神ほどの力はありませんが、かなりの力を持っているのは間違いありません。全力で行きましょう。」
「みんな、一斉にかかろう。ヒカリンは『アイスサークル』ミクは『幻視の舞』ルシェは『破滅の獄炎』、
シルは『鉄壁の乙女』俺とベルリアとあいりさんで仕留めに行きましょう。」
指示を終えてヒカリンの『アイスサークル』が偽セベクを覆った瞬間を見計らって、俺たち3人が飛び出すが、氷漬けの筈が、氷の内部から植物が大量に発芽して氷を砕いてしまった。
慌ててしまったが今更プラン変更の時間は無い。間髪入れずに『破滅の獄炎』が襲いかかったが、植物のバリアとでも言えばいいのだろうか、偽セベクの周りを繭状に包み込んだ植物が燃え上がっただけで、本体にダメージを与える事は出来なかったようだ。
その状況を見計らってスナッチが『ヘッジホッグ』を発動するが、やはり植物のバリアに阻まれてしまった。
後方では『鉄壁の乙女』の光のサークルに沿って植物が大量に発生して覆い隠そうとしている。
「ルシェ焼き払え。ベルリア、あいりさん、近接で3方から攻め立てますよ。」
俺はバルザードの斬撃を相手に向かって飛ばしてから交戦状態に突入した。
バルザードでは長さ的なハンデを感じたので魔氷剣を出現させ、切断のイメージを乗せて斬りかかるが、植物のバリアは突破したものの、偽セベクの持っている剣で受け止められてしまった。
その瞬間武器破壊を試みるがタイミングの問題なのか相手の武器が特殊なのかうまくいかなかった。
俺の攻撃に合わせてあいりさんとベルリアも左右から攻撃する。あいりさんは『斬鉄撃』を発動しているようで、一撃で植物のバリアを斬って落とすが、2撃目を加える前にまたバリアが復活している。
ベルリアは少し威力が足りないのか手数で補い、バリアを取り払っているが本体までは到達していない。
植物魔法とでも言うべきスキルだと思うが、植物なので単体ではそれほど強度を持たないが、群生する事でかなり厄介だ。
偽とは言え神とつくだけあり、俺の魔法とは比較にならない威力だ。
このままでは埒があかない。
ミクの『幻視の舞』も効果は無かったようなのでこのまま3人で押し切るしか無い。
俺は戦いの最中に頭をフル回転させながら現状の確認と戦略を練っていた。