A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (192)
第193話 単純な話
俺は今11階層で古代エジプト神もどきと戦っている。
「海斗、大丈夫か?何か攻撃を受けたように見えたが。」
「あいりさん、ちょっとやばいです。ナノカーボンのスーツが貫通してしまいました。何をくらったのかわからないんですが、とにかく痛いだけです。あいりさんは全く攻撃くらってなさそうですね。」
「ヒカリンが『アイスサークル』を絶えずかけてくれているから今のところ大丈夫だ。」
「いや、でもさっきも『アイスサークル』で氷漬けになってましたよね。」
「そうだな。どうしてかわからないな。海斗だけがターゲットなんだろうか。」
そんな筈はないが、このままではヒカリンが先にダウンしてしまう。
「ベルリア、こっちを手伝ってくれ。」
アヌビス戦ではあまり役に立ってなさそうなのでこちらを手伝ってもらうことにした。
「マイロード大丈夫ですか?」
「いや、だから毎回大丈夫じゃないって。治療を頼む。」
『ダークキュア』によって肩の痛みが取れてきたので、ベルリアに現状を話す。
「どう思う?」
「マイロード単純な話ではないですか。」
「単純な話?あいりさんは大丈夫で俺だけ攻撃くらったんだぞ?」
「はい。月の目と太陽の目の効果範囲の問題ではないですか?」
「効果範囲?」
「恐らく月の目の効果範囲は敵本体全体をカバーしているのでしょう。ですのであいり様の攻撃が通じなかったのでしょう。太陽の目は攻撃ですので恐らく、目のカバーしている範囲、片側半分しか攻撃できないのではないでしょうか?。本来であれば首を動かせば全方位攻撃が可能なのでしょうが、氷漬けになっているせいで首が動かせず片側にいる相手のみに攻撃しているのでしょう。」
言われてみるとそんな気がしてきた。たしかにあいりさんと俺は反対方向から攻めようとしていた気がする。ベルリアやるな。
「じゃあ、試しに月の目の方から攻撃してみてくれるか。」
「かしこまりました。」
ずるい気もするが、防御無効の状態の今、確信のない状態でもう一度突っ込む勇気がない。
ベルリアに全てを任せて様子を伺ってみるが、ベルリアはスルスル近付いて行って敵に斬りつけた。
ただ、月の目が光ってベルリアの攻撃がほとんど効果を発揮していないように見える。
どうやらベルリアの仮説は正しかったようで攻撃を受ける事なく偽ホルスまで辿り着くことができた。
俺もベルリアの通ったルートを辿って近付くことが出来たが、念のため後方に回り込んで、バルザードを突き入れる。
触れる瞬間に大きな抵抗感を感じたがそのまま押し込むと無事突き刺さすことが出来た。
突き刺した瞬間偽セト戦の時と同様に破裂のイメージをのせる。
「ボフゥン」
かなり苦戦したが、なんとか2体目も倒すことが出来た。
偽アヌビスの方を見ると、シルとルシェのコンボスキルを受けて木っ端微塵となり、流石に再生出来なかったようでそのまま消失してしまった。
それにしてもサーバント3体で臨んでこれだけ時間がかかってしまった事を考えると、1番手ごわいのは偽アヌビスだったのかもしれない。
いずれにしても3体ともかなりの強敵だったのは間違いないがやっぱりドロップアイテムは何も無い。
流石にエリアボスまで何も無いとは思えないが、今までの分も上乗せで期待したい。
「海斗、多分次がエリアボスなんじゃ無いかな。だんだんメジャーな神もどきが出てきているからそろそろ1番有名な神もどきが出る頃だと思う。」
「ミク、事前に少しでも対策しておきたいから、出てきそうな奴の特徴と能力を教えておいてもらえるかな。」
それからパーティメンバー全員で情報を共有して作戦を練ってから先に進む事にした。