A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (193)
第194話 エリアボス戦
俺は今11階層で最後の戦いを迎えようとしている。
目の前に今までとは違う光景、石造りの大きな扉が出現している。
「ご主人様、間違いありません。中から3体の気配を感じます。先程までのモンスターよりも強力な力を感じます。その中の1体は特に大きな力があるようです。」
3体という事はミクの予想通りのようだ。
「みんな覚悟はいいね。打ち合わせ通り行くよ。」
俺はパーティメンバーの顔を見回してから、石扉に手をかけた。
「ん!?」
形状的に押し扉だと思うが動かない。
再び全力で押し込んでみるが全く動かない。
スライドする可能性も考えて横に向けて力を加えてみたがやっぱり動かない。
「海斗、どうしたの?進まないの?」
「いや、それが動かない。」
「えっ?」
「石だからか全く動きません。ベルリア手伝ってくれるか。」
「かしこまりました。」
「んんっ!」
今度はベルリアと力を合わせて押し込んでみるが動かない。
「あー。申し訳ないけど、全員で押してもらっていいかな。」
再度メンバー全員で押してみると今度はわずかに動いたが、全く開くところまではいかない。
純粋に重すぎるだけのようだ。
これを考えた奴は何を考えているのかわからないが重すぎて扉として機能していない。
人間だけだと数十人で押し込むしか無いのでは無いだろうか。明らかに攻略難度が高すぎる。
「ご主人様、お任せください。」
まあ、それしか無いよな。
「我が敵を穿て神槍ラジュネイト」
「ズガガガーン」
爆音と粉塵を巻き上げながら石扉の片方が吹き飛んだ。
「みんな行くよ。」
出足でつまずいてちょっと締まらないなと思いながらも打ち合わせ通りベルリアを先頭に扉の中に駆け込んで臨戦態勢を整える。
目の前には予想通りの特徴を備えたラー、オシリス、イシスを模倣した3体が玉座と思しき椅子に座っていた。
俺達のとった作戦はとにかく数的優位を最大限に生かして速攻で敵の数を減らす事。
ラーとオシリスは死を司っている為アヌビス同様すぐには倒せない可能性が高いので俺達のターゲットはイシス集中だ。
先程の戦いでも結構一杯一杯だったので打ち合わせ通りシルに『戦乙女の歌』を発動してもらう。
ラーとオシリスをミク、スナッチ、ヒカリン、ベルリアに足止めを頼み、俺とあいりさんとルシェでイシスを撃破する。
『戦乙女の歌』の効果で体が軽い。注意しながらも時間をかけるわけにはいかないので、速攻で向かっていくが、あいりさんも俺と並走する。
ルシェが俺達の移動に合わせて『破滅の獄炎』を発動するが、明らかに火力が上昇している。
これで仕留められたら言うこと無しだと思ったが獄炎がイシスに襲いかかる瞬間イシスの周りに氷の壁が生じて炎を阻んでいる。
氷系の能力を有しているのは分かったが、俺達の足元から植物の蔓のようなものが次々に発生して足に絡みついてこようとする。
上昇したステータスの恩恵で素早くステップを踏んで移動を繰り返すが、流石エリアボスの一角だけあって2属性以上のスキルが確定した。
止まると蔓が絡まって捕まってしまうので動き続けながらも、接近を試みる。
あいりさんが先に射程に入りなぎなたの一撃を見舞い、すぐに氷の防御壁に阻まれるが『斬鉄撃』効果で氷の壁を突破する。
その瞬間を見計らって俺もバルザードの斬撃を飛ばすが、今度は植物の繭に攻撃を阻まれてしまった。
どうやら2属性での防御が可能のようなので恐らく攻撃も同じくだろう。
とにかく他の2体の足止めできる時間にも限りがあるので、速攻しかない。
俺はそのまま、偽イシスの正面まで突進していった。