A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (196)
第197話 思い通りには
俺は今隠しダンジョンで漆黒のスケルトン5体を相手に戦っている。
半分に減ったとは言え、5体もいるので気をぬく事はできない上に、俺も手傷を負っている。
まだこの戦いを終えていないので低級ポーションは極力控えたい。
対峙している間にも5体のスケルトンがそれぞれにファイアボールを放ってくる。
なんとか避けてはいるが、敵も俺の戦闘パターンを学習したようで距離を詰めずにそれぞれ時間差で撃ってくるので、徐々に追い詰められてきた。
シル達の方に目をやるが残念ながらまだのようだ。
意を決してバルザードの斬撃を1番近くのスケルトンに向かって飛ばすが、一撃目が相殺されるのを見越して時間差でもう一撃放っておいたので、無事に倒す事に成功した。
あと1発。
流石に今の状況で次の敵を1発のみで倒す事は難しいので、左手に魔核銃を携え、連射する。
スケルトンに対して魔核銃の効果は薄いが、連射により注意を引いたところを、一気に距離を詰めて、バルザードで仕留めた。
「ほらっ、こっちだ。来い。お前らなんか相手にならないぞ!」
正直スケルトンに言葉が意味を成すのかはわからないが、僅かでも効果がある事を期待して挑発する。
俺にはもう魔核銃しかないがブラフでバルザードも構えながら、少しずつ後退する。
スケルトンも警戒してそこまで距離を詰めて来ない。
どうにかこのまま本体を倒すまで時間が稼げればいいと思った瞬間、2体のスケルトンがシル達の方を目指して動き始めた。
思った様にいかないもんだなと、どこか冷静に考えながら、向きを変えたスケルトンに向かって理力の手袋による、不可視のパンチ攻撃と魔核銃連射により再び注意をこちらに向ける。
下手に逃げたり手を止めると、シル達の方に行ってしまう。
とにかく弾が尽きるまで攻撃し続けるしかない。
無駄撃ちに近いのはわかっているが、注意を引くためにとにかく撃ち続けながら、シル達から遠ざかっていく。
それにつられて3体のスケルトンも俺の方に向かってくるが、ファイアボールによる攻撃は継続している。
「シル、ルシェ、まだかっ?そろそろやばい。急いでくれ!」
「任せてください。これで終わりにします。『神の雷撃』」
「余裕だって。これで終わりだ。『破滅の獄炎』」
俺の言葉に呼応してシルとルシェが雷炎のコンボでラッシュをかけて遂にオシリスを撃破した。
「シル、ルシェ、俺もう弾切れだからこっちも頼む。」
「かしこまりました。ご主人様は下がっておいてください。」
「弾切れってダサいな。問題ない。わたしに任せとけって。」
2人のありがたいお言葉に、俺は急いで戦線を離脱してバルザードに魔核を補充するが、その間にスケルトン3体はシルとルシェの攻撃によって消失してしまった。
流石、半神と悪魔、俺は死ぬ気で頑張って、7体倒したが、彼女達にかかると3体が一瞬だった。
わかってはいるが、彼女達と自分の距離を再認識してしまう。
落ち込んでいる暇など無いので、ラーの方に目をやると、あいりさんとベルリアが前線に立ち、ミクとスナッチが後方から攻め立てているのが見えたが、よく見るとベルリアの左腕が無い。
「シル、ルシェ、ヒカリン、ラーを速攻で撃破するぞ。」
そのまま俺はベルリアの位置まで走って行って、スイッチする。
「ベルリア自分に『ダークキュア』をかけろ。俺が時間を稼ぐ。」
ベルリアにこれほどの手傷を負わせる相手に俺がやりあえる自信はないが、時間ぐらいはかせいでみせる。
初見殺しとでも言うべき理力の手袋の力で足首を掴んで一気に引き倒す。
引き倒したところにバルザードの斬撃を目一杯浴びせかけてやった。
どうだ?仕留めたか?
完全に俺のパターンにはめてやったぞ。