A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (198)
第199話 ラーの能力
俺は今隠しダンジョンでエリアボスと思われる敵と戦っている。
炎により回復した上で羊頭に変身してしまったラーを前に警戒を強めた。
鳥頭から羊頭に変化したが羊頭からもレーザーが発射されるのか?
「ヴェーーーェェェーー!!」
突然ラーが大きな声で鳴き出したのでパーティメンバー全員がビクッとしてしまった。
なんだ?気合いを入れたのか?
次の瞬間、目を疑ってしまった。
先程倒した、イシスとオシリスが再生していく。
嘘だろ。消滅したモンスターの再生。完全な反則技。本物のチートだよ。
見る見るうちにイシスとオシリスは完全な形で復活してしまった。
「海斗、まずく無いか。どうする?」
「とにかくラーを先に倒すしかありません。火力的に今のままでは難しいのでルシェにやらせますが、俺は動けなくなるので、イシスとオシリスはベルリアとあいりさんで足止めを頼みます。スナッチとミクも出来るだけフォローしてくれ。シルはどちらにでも行けるように待機。」
俺は覚悟を決めて
「ルシェ『暴食の美姫』をやってくれ。」
「ふふっ。久々だな。お前大丈夫か?」
「笑いながら言われても全く説得力がないぞ。やってくれ。」
「ふふっ。それじゃあ『暴食の美姫』」
「ぐううっ・・・」
来た。この感じ。きつい・・・
一度経験した事があるのである程度の心構えは出来ていたものの、きつい。
「る、ルシェ。はやく、はやくしてくれ。ううっ。」
俺は目の前の絶世の美女と化したルシェにお願いする。
それにしても俺の新しいスキル苦痛耐性(微)は何か意味があるのか?全く仕事をしてくれている感じがしない。
「それじゃあ、とりあえずさっさと片付けるかな。『爆滅の流星雨』」
来た。
「ズドドドドゥゥウンー」
久々の異常な熱量の大技だ。
どうだ?仕留めたか?
這いつくばりながら、ラーの方を見てみるが、ラーから炎が吹き上がっている。
「ほう。頑丈だな。いや再生したのか?」
ラーを見ると炎の中で無傷の状態で健在だった。
それにルシェ、何が「ほう」だ。余裕ぶってる場合じゃない。
「う、ウプッ。」
「あとどのぐらい大丈夫なんだ?海斗。」
やっぱりこいつ、体と一緒に態度もでかくなってる。だから嫌だったんだよ。
「HPが増えたからな。あと90秒ぐらいはいける。でも大丈夫なわけじゃない。死にそうに気持ち悪い。」
相変わらず2秒にHP1が減り続けている。HPが増えた事で大凡、2分間はいけるようになったがこんな気持ち悪い状態を2分間続ける事が厳しい。
「しょうがないな。私のおかげだからな。あとで何かサービスしてくれよ。」
「わ、わかったから、ふぅ、ふぅ、無駄口たたくな。はやくしてくれ。」
「くたばれ羊の偽物野郎。『神滅の風塵』」
ベルリアを葬り去ったスキルだ。
猛烈な暴風が偽ラーに集約していく。
圧倒的な力に流石の偽ラーもそのまま完全に消え去ったようだ。
「よ、よくやった。はやく次に行ってくれ。」
「まあ、親玉倒したんだから焦らなくて大丈夫だって。ゆっくり行こうぜ。」
出たよ。こいつわざとだ。また俺が苦しむのを見て楽しむつもりだ。
「る、ルシェ。あとでお仕置きするぞ。おしりペンペンするぞ。」
「ふふっ、冗談だって。さっさとやるよ。」
絶世の美女と化したルシェにいじられるのは一部のそう言う趣味を持った人にはたまらないかもしれないが、どノーマルの俺には全く嬉しくない。
むしろこの風貌で優しくしてもらえれば俺のモチベーションも上がるのに、まさに小悪魔という感じのルシェは、極限の状態では、本当に扱いに困ってしまう。
世の中思うようにはうまくいかないものだと改めて感じてしまう。