A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (201)
第202話 戦利品
俺は今、ドロップアイテムを目の前にしている。
1つ目は漆黒の鎧だった。
残りの2つだが1つは銃だ。
しかし魔核銃とはなんか違う。バレットを装填する箇所がないのと、結構小型だ。
もう一つは、マジックジュエルだ。茶色なので恐らく土系ではないだろうか。
銃と鎧はギルドで鑑定してみないと性能はわからないがマジックジュエルは誰が使っても有用なのは間違いない。
「みんな、マジックジュエルなんだけど、あいりさんに使ってもらおうと思うんだけどいいかな。」
「いや、私は別にいらないぞ。」
「いえ、パーティのバランスを考えた時に近接戦闘の出来るあいりさんが魔法も使えた方が、戦力アップすると思うんです。」
「わたしもそう思うのです。あいりさんが使うのがいいと思うのです。」
「私もいいと思う。」
みんなの同意も得る事ができたので早速あいりさんにマジックジュエルを使用してもらう。
「あいりさん、どうですか?」
「ああ、おかげで私も無事魔法使いになれたよ。ふふっ。」
とても嬉しそうだが、魔法使いになれた時の感覚は今でも覚えているので、気持ちはよくわかる。
「どんな魔法ですか?」
「思ってたのとはちょっと違ったが、『アイアンボール』だ。」
『アイアンボール』か。土系だからてっきり壁とか穴とか土が出てくる魔法だと思っていたが確かにアイアンも土系といえば土系だ。
「あいりさん、試しに1発撃ってもらってもいいですか?」
「わかった。じゃあやってみるぞ。『アイアンボール』」
あいりさんが魔法を発動すると、俺の水玉同様の野球の球ぐらいの大きさの鉄球が出現してそのまま勢いよく壁に激突してめり込んだ。
俺の『ウォーターボール』とあいりさんの『アイアンボール』同じボールなのにこの違いは何だ?
俺の『ウォーターボール』は殺傷能力がほぼゼロだったのにあいりさんの『アイアンボール』は完全に殺人兵器だ。野球の球の大きさの鉄球が高速で飛んでいく。
正直恐ろし過ぎる。
魔核銃が豆鉄砲に思えるほどの威力だ。
「あいりさん・・・すごいじゃないですか。遠距離攻撃もバッチリですよ。モンスターも頭にこれをくらったらタダでは済みませんよ。羨ましい・・・」
「海斗?」
「いえ、なんでもないです。」
「じゃあ、この鎧は海斗さんですね。」
「いや、無理かもしれないな。前にプレートメイルを装着したら重くてまともに動けなかったんだ。」
「海斗、どうせ持って帰る時には装着しないといけないんだから、装着してみれば。」
「ちょっと待ってくれ。俺が持って帰る前提か。」
「他に誰もそんなに大きくて重い鎧を運べないでしょ。」
「いやベルリアとか。」
「海斗、せっかくだからつけてみてよ。」
ミクがあまりに勧めるので装着してみる事にしたが、そもそもこの鎧真っ黒だけど呪われたりしてないよな。
「シル、この鎧って大丈夫?呪われたりしてないか?」
「多分大丈夫だと思います。特に邪悪な感じはしません。」
俺はシルの言葉を信じて鎧を装着してみる事にした。
こんな全身鎧なんか、ほぼ初めて装着するので、結構苦戦しながらもどうにか装着できたので試しに歩いてみる。
あれ?
なんか普通に歩ける。
多少の重さは感じるが、妙に軽く感じる。
試しに走ってみるが、普通に走れる。
もしかしなくてもマジックアイテムっぽいな。
漆黒の鎧にマント・・・
俺大丈夫だろうか。
「ミク、これ大丈夫か?」
「まあ、結構いいんじゃないかな。コスプレイヤーみたいじゃない。」
「冒険者とか勇者のイメージはあるけど、探索者ではあんまり見ない格好だよな。」
「その鎧、黒いから勇者って感じじゃなくて、どっちかというと悪者じゃない。」
「ご主人様、私も鎧姿ですので、お揃いです。いいと思います。」
まあ、ギルドで鑑定してもらうまでは何とも言えないのでとりあえずこのまま着用して帰ろう。