A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (203)
第204話 脱出
俺は今隠しダンジョンに降りて来た所に戻って来ている。
シルに紐を用意してくれといわれたので、泣く泣く俺のマントを切り刻んで繋ぎ合わせて1本の紐に仕立てたが、まだ長さが足りないというので、スーツの下に着ていたシャツも切り刻んで長さの足しにした。
「少し短い様ですが、これでやってみますね。」
シルはそう言うと、繋ぎ合わせた紐を受け取ってそのまま翔んだ。
「おおっ!」
文字通り翔んでいる。
背後に生えている羽を動かして翔んでいる。
今まで、翔んでいる姿を見たことがなかったので飾りの様に思っていたが、しっかりと翔ぶ機能を備えていたらしい。流石はヴァルキリーだ。
シルはすぐに穴の上部に到達して抜け出す事に成功した。
「それでは今から紐を垂らしますので、お一人ずつ上がって来てください。」
そう言ってシルが紐を垂らしてくれたが、俺が手を伸ばしても届かない。
仕方がないのでまずは、ベルリアを俺の肩に立たせて上に登らせる事に成功した。
同じ要領でルシェも上まで登ることが出来た。
問題はここからだ。
女性陣3人と俺がどうやって登るかだ。
流石に俺の肩の上に立ってもらう事は難しいだろう。
色々考えてみたが余り選択肢がないので、俺が四つん這いになりその上にあいりさんにも四つん這いで乗ってもらい2人ピラミッドを作って、ミクとカオリンには更にその上に立ってもらい、紐を掴む事に成功した。
力の入り難い紐1本だがレベルアップしたステータスのおかげで2人とも難なく登っていった。
残るは俺とあいりさんだが、あいりさんには俺を台にしてジャンプしてもらう事にした。
「ぐっ!」
いくら女性とはいえ思いっきり背中に踏み込まれるとかなりの圧力がかかってきた。
ジャンプして掴んだ紐が切れないか心配だったが俺のマントから作っただけあってしっかり持ちこたえてくれた。
残るは俺1人となったが、どうやったらいいだろうか。
「お〜い。どうにか紐を伸ばせないかな。」
ジャンプしてみたり色々やってみているがどうしても届かない。
「仕方がありませんね。私の服を繋ぎ合わせましょう。」
シルが鎧を脱ごうとするのが見えたので慌てて
「シル。ちょっと待て。それはやめてくれ。気持ちは嬉しいがそれはダメだ。」
シルの服を脱がせて紐にするのはまずい。ここを乗り切ることが出来ても社会的に終わる可能性があるのでそんな事をさせるわけにはいかない。
「それじゃあ、私が代わりに脱いでやるよ。」
今度はルシェが服を脱ごうとしているのが見えたので
「ちょ、ちょっと待て。ダメだ。それもダメだ。やめてくれ。気持ちは嬉しいから。」
このサーバント達は俺の事を考えてくれているのだと思うが非常に危うい。ルシェのはわざとな気もするが。
「しょうがないですね。それでは私が一肌脱ぎましょう。」
今度はベルリアが脱ごうとしているのが見えたのでそのままにしておいた。
まずはシャツを脱いでつないでくれたが、あと僅か届かない。
「仕方がありませんね。最後の一枚ですよ。」
暫く待っていると僅かばかり、紐が伸びてきて漸く手が届いたので、紐を伝ってそのまま登りきることが出来た。
「ベルリア、助かったよ。最後の1枚ってもしかして。」
「マイロードの為です。全く悔いはありません。今度新しいものを頂ければ幸いです。」
「おおっ。何枚でも買ってやるよ。本当に助かった。ありがとうな。」
「お役に立てて光栄です。またいつでもお申し付けください。」
今度ベルリアには下着を買ってきてやろう。特にパンツは破れに強そうなのを何枚か買ってきてやろうと心に決めた。