A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (207)
第208話 魔術鎧 ナイトブリンガー
俺は今2階層に潜っている。
今日は平日なので放課後に1人で魔核集めと、鎧と魔法銃の能力検証をする為に来ている。
スライム相手ではよくわからないので、永遠の宿敵ゴブリンを相手に検証しようとしている。
まずは、魔術鎧ナイトブリンガーの能力を検証してみる。
今日もずっと着用しているが、それ程重さを感じず、動けないといった事は一切無いので間違いなく軽量化の効果は現れている。
問題はMPを消費して認識を僅かに阻害するという方だ。
現状3点問題がある。
1点目は単純に能力の発動方法がわからない。マニュアルが付いているわけでも無いので色々試してみるしか無い。
2点目はMPの消費量だ。バルザードの飛ぶ斬撃にもMPを使用しているので余りに消費量が多い様だと使い物にならない。
最後に効果だが、鑑定書には僅かに認識を阻害すると書かれているが、僅かって言うのがどの程度の効果を指しているのかわからない。文字通り僅かしか効果がない場合使う意味がないかもしれない。
とにかく11階層より奥で使える物かしっかりと検証しておきたい。
「ご主人様、前方に1体ゴブリンです。ご注意ください。」
今のレベル的にはゴブリン程度であれば問題にならないが、それはあくまでもステータス上の事であり気を抜くと致命傷を負いかねないので、集中して臨む。
目の前におなじみのゴブリンが現れたので、早速ナイトブリンガーの効果の検証に取り掛かる。
発動条件がわからないのでとりあえず
「魔術鎧 ナイトブリンガー!」
と叫んでみる。
そのまま、スーッと横に移動して見るがゴブリンの視線も一緒について来るのでどうやらダメらしい。
「なあ。何やってるんだよ。」
ルシェが話しかけてくるが、第3者からすると今の行動は変に映ったのかもしれない。
ちょっと恥ずかしいが続けるしかない。
再び集中して、今度は理力の手袋の要領で自分が消えるイメージを持って、気配を薄めて見る。
そのまま元の位置まで移動して見るが、なんとなくゴブリンの視線が曖昧な気がする。
今度はそのまま後ろに回り込んでゴブリンを斬り伏せる事に成功した。
「おおっ。結構すごいんじゃ無いか?」
「 すごいって何が?普通に後ろに回り込んで倒しただけだろ。」
鑑定書にもあったように敵意を持つ相手の認識を阻害するだけなのか、ルシェには特に効果がわからなかったようだ。
ある意味ルシェが俺に対して敵意が無い証明になったのでうれしい。
「ベルリア、シルも分からなかったか?」
「何の事でしょうか?」
「特に何時もと変わったところは無いようでしたが。」
当たり前だが2人とも俺に敵意は無いようだ。少しずるいが思わぬ鑑定スキルを手にしてしまったようだ。但し、面と向かって変化があったと言われた時にショックが大きすぎるので余り色んな人に聞いて回るのは控えよう。
俺達はナイトブリンガーの能力を更に検証する為にゴブリンを探して回った。
「ご主人様、今度は2体です。」
前方に現れたゴブリンに向かって、消えるイメージで気配を薄める。徐々に移動して見るが攻撃してくる気配もないので効果が出ているようだ。今度は気を抜かずにステータスを確認しながら時間の経過を待って見る。
MPが1ずつ減っているが、およそ10秒で1ずつ減少しているようだ。ずっと発動していると地味に消費してしまうが、場面場面で使用する分には結構いいかもしれない。
移動している最中に鎧が擦れて音がしたが、音に対してはゴブリン2体とも反応を見せた。
どうやら、視覚的に認識されにくくなるようだが、音は対象外らしい。
おそらく匂いも対象外な気がするので、視覚で認識するモンスターに有効だと思われる。
俺はそのまま後ろに回り込んで2体のゴブリンを順番に斬り伏せて戦闘を終了させた。