A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (209)
第210話 火力アップ
俺は今11階層を探索している。
週末になったのでパーティで再び11階層に挑んでいる。
ミクにはスピットファイアの説明をしてから渡してある。
俺も補修の終わったナノカーボンのスーツを着用した上に魔術鎧ナイトブリンガーを着込み更に黒のニューマントを羽織っている。
以前と比べて防具が間違いなくパワーアップしているのと全身が真っ黒、いや漆黒に彩られたさながら、暗黒騎士の様な出で立ちとなっている。
恥ずかしい気持ちが半分と、結構かっこいいと思う気持ちが半分だ。
10階層のゲートを進んだ時に何時もよりも視線を感じた気もするが、もう気にしても仕方がないので完全にスルーする事にした。
「じゃあ、今日は、ミクのスピットファイアとあいりさんの『アイアンボール』それと俺のナイトブリンガーの効果を確かめながら進んで行こうか。」
新しい要素が3つもあるので、連携も含めてしっかりやって行きたい。
俺のナイトブリンガーの効果も説明はしておいたが、11階層のモンスターに有効かどうかは不明なのでしっかりと検証しておきたい。
「皆様、正面に3体のモンスターです。ご注意ください。」
「それじゃあ、俺とベルリアが前衛に立つから、ミクはスピットファイアをあいりさんも『アイアンボール』を使ってみてください。ヒカリンは状況に応じてフォローを頼む。」
暫く待っていると出現したのは、人面ライオンことスフィンクスが3体現れたので俺とベルリアがそのまま迎え撃つことにした。
スフィンクスがゆっくりと近づいて来たので臨戦態勢に入り2人で剣を構えていたが、後方から高速で鉄球と、小型のファイアボールが飛んで行って、スフィンクスの人面に見事に命中した。
鉄球の命中した方は顔に完全にめり込んでおり、そのまま消失してしまった。
ある意味単純な物理攻撃に近いだけに結構エグい。
そして小型のファイアボールが着弾した方は、消失こそしていないもののかなりのダメージをあたえているのが見て取れた。
もう一体の無傷だったスフィンクスにも既にファイアボールが着弾しており深手を負っているので、俺とベルリアがそれぞれ踏み込んでとどめを刺した。
すっかり忘れていたが、ベルリアも新しいスキル『アクセルブースト』を発動した様で、一撃でスフィンクスの首を刎ねていた。確実に一撃の威力が増している。
自分達のスキルやマジックアイテムで頭がいっぱいでベルリアのスキルまで気が回っていなかったが、確実に強くなっている。
そしてあいりさんとミクも確実に強くなっている。あいりさんは何度かスキルの練習をしていたので分からなくは無いが、ミクに関しては1発目でど真ん中に命中している。しかも2撃目もど真ん中だった。
俺は、しっかり命中する迄に10発ぐらいは要したのにこれが才能というものなのだろうか。
「ミクもあいりさんも凄いじゃ無いですか。パーティの火力が一気に上がりましたね。次は俺のナイトブリンガーの効果も試して見たいんでよろしくお願いします。」
「マイロード、私の活躍も見て頂けましたか?」
「ああ、見たよ。『アクセルブースト』だろ、すごいじゃ無いか。」
「有難き幸せ。これからも頑張ります。ただ、『アクセルブースト』の威力に剣が負けてしまうかもしれません。」
「ああ、そうなんだ。まあ暫くやってみてダメならその時考えような。」
「はい。新しい武器を賜れる様に精一杯頑張ります。」
やっぱりベルリアが時々アピールしてくる。多分魔剣が欲しいと暗に言って来ているのだと思うが、その剣だって100万円してるんだからしっかり手入れをすれば何年でも使えるはずだ。
間違っても魔剣など買えるはずがない。ベルリアには運良くドロップするまで我慢してもらうしかないな。