A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (21)
第21話 デジャヴ
俺は額に新しいサーバントカードをあて、『ルシェリア』の名を念じた。
シルの時と同じく カードが閃光につつまれそこには 黒髪の絶世美女・・・・
「え?」
「うそだろっ」
そこには、黒髪の幼女がいた。
容姿はサーバントカードの子爵級悪魔の面影がある。あるが、幼女だ。
シルの時と全く同じ・・・・
「俺の超絶美女が・・・」
「俺の2億円が・・・」
「俺の夢が・・・」
一瞬にして悟ってしまった。
やってしまった。
シルと同じで幼女化したサーバントが顕現してしまった。
「お前がわたしの主人か?」
「ああ、まあ、そう」
「なんか頼りない主人だな。」
「え・・・」
「頭も悪そうだな。」
なんだ? 物凄い違和感が。
本当にこの黒髪の幼女は俺のサーバントなのか?
サーバントって召使いの意味だぞ?
この態度はなんだ?
「なにか食べさせてくれ。お腹が空いた。」
「あ、あのー。ルシェリアは俺のサーバントだよな。」
「ああそうだけど、それがどうした。」
「なんか、態度悪くないか?」
「別に〜」
「それよりお腹空いた。なんか早く食べさせて。」
「なっ」
俺は唖然としながらも、仕方がないので渋々魔核を一個渡した。
なんだ。このシルとの違いは 悪魔はやっぱりサーバントといえども、悪魔なのか?
「おかわり」
「はっ?」
「あるわけないだろー」
「えー、ケチな主人に当たったみたい。さいあく〜」
ギャルか?ギャルなのか?
幼女なのにギャルなのか?
悪魔なのにギャルなのか?
いや ヤンギャルなのか?
なぜかサーバントのはずの、こいつの方が偉そうなんだが。
こいつ苦手だ。
俺の召喚したサーバントだから責任を持たないといけないのはわかっている。
現状を引き起こしているのは全て自分の責任なのもわかっている。
しかし、よりにもよってなんでこいつなんだ。
正直 幼女枠はシルで一杯だ。
もう幼女はいらない。
絶世の美女がパーティに加わると思ってカードを使用したのに、これか。
幼女でもシルは本当に良かった。
それがどうだ。こいつは幼女の皮を被った悪魔だ。
実際に子爵級悪魔なのだが・・・・
正直、シルが素直で従順なので、サーバントとはそういうものだと思い込んでいた。
しかし、このちょっとのやりとりで悟ってしまった。
呪われるぐらいだ。言うことを聞かないぐらい当たり前なのかもしれない。
この際、態度が悪いのはなんとか目をつぶろう。
だが、しかしこいつは、ルシェリアは戦力になるのか?
それが問題だ。
「ルシェリア、お前の力を見せてくれ」
「えー、めんどくせーな。」
「いやいや、やってくれよ。」
「チッ、わかったよ。」
いやいやながら、ルシェリアに了承させ、とりあえず2階層のゴブリンを倒させてみることにした。
すぐに発見したゴブリンに向かって
「ルシェリア、破滅の獄炎 を使ってみてくれ」
「は〜い。『破滅の獄炎』」
「グヴオージュオー」
ゴブリンは跡形もなく消失していた。
「は、はは。」
想像は出来たけど・・・ シルの時と同じだ。
完全なオーバーキルだ。
「おい、なんかくれ。腹が減った。」
「あ、ああ」
俺はその場に残ったゴブリンの魔核を与えた。
「それじゃ次は『侵食の息吹』を使ってみてくれ」
「えーまだやんの?」
「倒したら魔核は、お前にやるから、な。」
「わかったよ。」
2匹目のゴブリンを見つけ
『浸食の息吹』
『グgyウgygーガgygガygー」 「グシュル、ジュル」
は?なんだこれ。 ゴブリンが狂ったように、暴れ始めたと思ったら、そのまま溶けた。
怖い。このスキル 怖すぎる。 絵面的にもやばい。
先ほどの様子を見たうえで、スキルの名前から推測すると、最初精神異常を引き起こし、その状態異常が
体にまで影響をあたえ、溶解してしまう。
こんなところだろう。
まさに悪魔の所業だ。
「おい、早くくれよ」
「ああ、そらっ」
約束通り魔核をあたえながら、改めてサーバントの威力を痛感していた。
シルより劣る?確かにBPは劣っているが、別の方向性で強烈だ。
おまけに、ツンデレ? ヤンデレ?
デレもまだないので単純に ツン とヤン か。
正直 ツンもヤンもいらない。
俺にこいつを従わせることは本当にできるのだろうか?
まかり間違って『浸食の息吹』を俺に使われた時には、地獄に落ちそうだ。
サーバントって主人に攻撃してこないよな。
攻撃できないよな。
大丈夫だよな。
俺は17歳にして今後のことを考えると、ストレスで胃がキリキリと痛んだ。