A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (218)
第219話 即席パーティ
俺は今5階層を進んでいる。
「海斗、やっぱり凄いな。なんだよその剣、反則だろ。それとさっきの動き何?なんで普通に背後に回れるんだよ。普通、敵に攻撃されてるだろ」
「2人共俺の事見えてた?」
「??どう言う意味だよ。もちろんずっと見えてたけどな」
「ああ特に変化はなかったように見えたけど、それがどうかしたのか?」
まあ疑ってはいなかったけどホッとした。
「一応、この鎧の特殊能力で敵意を持つ相手の認識を阻害できるんだ」
「おいおい、その鎧って見た目だけじゃ無くて、マジックアイテムだったのか?完全に『黒い彗星』専用鎧だと思ってたぞ」
「認識阻害ってチートじゃないのか?チート。やっぱり、見た目が凄いと能力も凄いんだな。俺らも見た目にこだわって見ようかな」
「それが、この鎧を手に入れる前から気配をある程度消せてたからな。今回も2匹目は使ってないんだよな。だからそこまでチートって感じじゃ無いんだけど。」
「海斗ってそんな特殊能力があったのか?アサシン的な能力があるのか?」
「能力って言うかナチュラルに出来てたんだけど」
「ナチュラルって、普段から存在が薄いって事か・・・」
「海斗に出来るんだったら、練習すれば俺らもにも出来そうだな。俺達分類は同じカテゴリーだろ」
「お前達ならあり得るな。何しろ海斗の友達だからな」
なんか不毛な議論な気もするが、確かにこの2人なら俺と同じ事が出来ても不思議は無いな。
それはそうとルシェがさらっと海斗と呼んでくれた。最近たまに名前で呼んでくれるのが非常に嬉しい。ルシェが心を許して来た証拠だと勝手に思っている。
その後もサーバントと俺達で交互に敵を殲滅させていったので、結構一緒に戦う事にも慣れて来た。
帰る前に交互にではなく連携をとって戦ってみる事にした。
「真司と隼人とベルリアが前衛で時間を稼いでくれ。残りの3人で後方から一体ずつ倒すぞ!」
本来俺は後衛型ではないが、単純なフォーメーションの方がやりやすいだろうと思い、ベルリアと組む事にした。
敵の能力が低めなので確認の為にも少し長めに前衛の3人に頑張ってもらってから後方3人で一気に敵を殲滅した。
シルとルシェの攻撃の威力に比べると俺の攻撃は見劣りするがこの際気にしない。
問題なく敵を倒す事が出来たので、これなら即席パーティとはいえ遠征もなんとかなる気がする。
「まあまあいいんじゃないか?海斗の友達って言うからどんなへっぽこかと思ったけど、それなりじゃないか」
「なぁ、海斗。これって褒められてるのか?」
「まあわかりにくいけどそうだろうな」
「シルとベルリアも今度2人と一緒に遠征に行っても大丈夫かな。」
「このメンバーですと少し魔法によるサポートが薄くなりますが、私がフォローしますから問題ありません」
「マイロード、私がいれば全く問題ありません」
とりあえず2人もそれなりに認められたようで良かった。
今回一緒に潜って2人の成長には目を見張った。以前一緒にゴブリン退治に潜った相手とは完全に別人となっており、なんとなく俺と同じダンジョンジャンキーの匂いがする。寧ろダンジョンジャンキーでなければこの短期間での急成長は説明がつかない。
恐らく、俺同様毎日の様にダンジョンに潜って鍛えていたのだろう。
その気持ちはよくわかるし、同じ趣味の仲間が増えたようで嬉しい。
今回特に気になったのが隼人が『必中投撃』を時々使用していたが、敵の相性が悪くあまり効果的ではなかったものの前回アドバイスした針のような物も使用しており、釘とかを中心に色々使い分けていた。
生物系の敵には地味に効果を発揮しそうだし、投擲する武器によってはもっと有効な手段となり得る気がした。
やはり、魔法やスキルは使い方を工夫すればまだまだ効果を上げれると確信出来たので俺にとっても非常に意味のある時間だった。
今は特に何も思いつかないが、既存の俺のスキルでも、何か出来る可能性はまだ残されているかも知れない。
まあ、『スライムスレイヤー』はその名の通りで工夫のしようはなさそうだが。