A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (221)
第222話 再アタック
俺は今12階層に潜っている。
ダンジョンマーケットでナイトスコープを購入したので性能を確かめるためにもすぐに戻ってきた。
サーバント達にもナイトスコープを一個ずつ渡して使い方の説明をしておいた。
「ふ〜ん。見え方が緑で変だけど結構見えるもんだな。便利な物があるんだな。これでわたしの活躍は間違いない」
「まあ慣れるまでは無理せずにいくからな」
「マイロードこれがあればネズミなどに遅れを取ることはあり得ません。今度こそ、お役に立ってみせます」
「ご主人様、私達の分まで用意して頂いてありがとうございます。必ず使いこなしてみせます。一つ質問なのですが、このまま明るい光を見ても大丈夫なのでしょうか?」
「ああ、明るい光に対しても調整が効くみたいで問題ないそうだ」
「それであれば思いっきり出来そうですね」
サーバント3人共にやる気になってくれたようだ。
俺が役に立たない可能性があるのでその分頑張ってくれると嬉しい。
メンバー全員でナイトスコープを装着して12階層の探索を始めたが、普段見慣れないスコープ越しの映像にどうしても違和感は覚えるが、慣れればなんとか戦闘はいけそうだ。
「ベチャッ!」
突然俺のマントに何か、液体の様な物が飛んできて付着した。
なんだ?
そう思った瞬間、煙を上げながらマントに穴が開いてしまった。
炎ではなく、酸か何かで溶けた様な感じだが、かなりやばいと感じたのでマントをすぐに脱ぎ去った。
流石にナイトブリンガーが溶ける様なことは無かったが、一体どこから飛んできたんだ?
「シル、敵はどこにいる!?」
「申し訳ありません。敵の反応がわかりません。おそらく以前の様に50M以上離れたところからの攻撃では無いかと思われます。」
超遠距離攻撃か。しかもこれは『アシッドボール』か、それに類するスキルか何かだと思う。
鎧をつけていないメンバーがくらうと、かなりやばい。
ナイトスコープを装着したとはいえ遠距離攻撃を見極めるのは至難の技だ。
「シル『鉄壁の乙女』を頼む。俺とシルが一気に距離を詰めるから、ベルリアとあいりさんも一緒に来て下さい。後のメンバーは後方待機で」
俺は『鉄壁の乙女』を発動したシルを抱きかかえて走り出そうとするが、背中に何かが飛びついてきた。
なんだ!?敵か?
いやルシェか!
「ルシェ何してるんだ。離せ!走れないだろ。」
「わたしはおんぶで良い」
「いや、おんぶもダメだ」
「敵が小さいと、わたしが必要だろ」
「・・・うっ。確かにそうだが」
「じゃあ、おんぶだ」
時間も無いので焦っているうちに、ルシェに押し切られる形でおんぶすることになってしまった。
シルをお姫様抱っこしてルシェをおんぶして走る。
幼女2人を抱えている姿はとても戦いに向かう姿とは思えないが、強化されたステータスのおかげで、それなりに走れた。
「ほら大丈夫だろ」
正直そう言う問題では無いがこの際スルーするしかない。
なんとか『鉄壁の乙女』の効果が切れる前に敵前にたどり着く必要がある。
20M程前進すると、アシッド系と思われる液体が、かなりの回数、光のサークルによって弾かれている。
モンスターが複数いるのは間違いないが、俺の体にも一気に乳酸が溜まり始めた。
完全におんぶしているルシェのせいだが、今更どうしようも無いので悲鳴をあげる身体に鞭打って全力で前進を試みる。
更に20M程進んだ所でナイトスコープの視界に何かが横切った。
小さいが地面ではなく空中を横切った。
なんだ?
「はぁ、はぁ、はぁ、シル、敵を感知出来るか?」
「はい、恐らく7体です。空中を飛び回っている感じです」
7体か。結構多いな。出来れば一気に叩きたい所だな。