A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (223)
第224話 再戦
俺は今12階層に潜っている。
俺は全然活躍することは出来なかったが一角コウモリの集団を退ける事が出来た。
敵の特性がわかった今となってはミクがいればもっと簡単に対処出来たと思うが、初見のモンスターだったので仕方がない事だろうと思う。
「ミク、今度コウモリが出現したら頼むな。スピットファイアで撃ち落としてよ」
「もちろんよ。さっきの戦いだけど遠目にしか見えなかったけど、もしかして海斗って全然コウモリに攻撃当てれなかったんじゃない?」
「うっ・・・。まあそうだけど。俺は牽制役してたから」
「良かったら今度一緒に射撃の練習する?コツ教えてあげようか?」
「コツってあるの?あるなら是非教えて頂きたいです」
「じゃあ今度一緒に練習しましょう。きっと当たる様になるわよ」
「先生、是非お願いします」
今までは大きくて直線的なモンスターが多かったので全く気にならなかったが、最近このままでは射撃の腕にコンプレックスを覚えそうだったので本当に良かった。
一角コウモリを殲滅してから更に奥に探索を進める。
「みんな寒さは大丈夫?」
「大丈夫なのです。持ってきたダウンジャケットのおかげで全く問題無しです」
「私もコートと手袋のおかげで問題ない。それにしても鎧はカッコいいが大変そうだな」
「いえ、今日は中の装備が万全なので大丈夫ですよ」
それぞれが防寒対策をきちんと取った事で問題なく進めそうだが、また俺のマントがダメになってしまった。買ったばっかりだったのに本当に惜しいが溶けて大きな穴が開いているので流石に再利用できそうに無い。3万円の出費が確定してしまった。
幸い貼るカイロが活躍してくれているのでマントが無くても何とかこの階層は進めそうだ。
「ご主人様、敵10体が接近してきます。注意してください」
向かってくる10体の群れ。あいつらと同じパターンだ。
「みんな、朝のネズミかもしれないから全員前方に注視して欲しい。見つけたらそれぞれ狙い撃って。シルとルシェも攻撃してくれ」
指示を出した5秒程後にナイトスコープを通して敵影を捉えた。
やはりネズミだ。今回はしっかりと見える。
俺は前に立って魔核銃を連射するが的が素早い上に小さすぎる。
ベルリアもさすがに地を這うネズミを相手にした事はない様で苦戦している。
前衛2人が苦戦している中、活躍が目覚ましいのはミクとシルそしてルシェの3人だ。
流石にミクも的が小さすぎるので百発百中とはいかないようだが、スピットファイアを駆使してかなりのペースでネズミを撃退している。
シルは『神の雷撃』ルシェは『破滅の獄炎』と言うおよそネズミ相手に放つスキルとは思えない攻撃をそれぞれ放って、複数の敵を殲滅している。
残念ながらスナッチ用のナイトスコープは流石に無かったのでスナッチは殆ど役に立っておらずこの階層では完全に俺の仲間だ。
流石に途中からは命中させる事は諦めて後方にネズミを行かさないことだけに専念した。
朝のネズミ同様に魔法を使役して石の刃物の様なものを飛ばしてくるので、それを後方に届かない様に俺とベルリアが壁となって奮闘する。
俺の場合ベルリアの様に剣で撃ち落とす事は出来ないので、頭にだけはくらわない様に注意してナイトブリンガーを頼りにネズミの攻撃を一手に引き受ける。
石の攻撃が金属製の鎧に通用する筈が無いと自分に言い聞かせて恐怖に打ち勝つべく大きく立ち回る。
「ぐぅうう」
攻撃が当たるたびに身体は全く痛くは無いが俺の小さな心臓が跳ねる。早く終わってくれと思いながら頑張った。
実際の戦闘は2〜3分程度で終了したと思うが体感的には10分以上戦っていたと思えるぐらい神経をすり減らしてとにかく12階層のネズミにリベンジを果たす事が出来た。
メンバー全員にリベンジを果たした充実感とネズミに勝ってもな〜と言う微妙な空気が流れたのだった。