A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (224)
第225話 成長?
俺は今12階層に潜っている。
朝苦戦してしまったネズミの集団をスナッチを除く全員で倒したところだ。
「まあ、なんとか倒せて良かったよ。みんな怪我も無いし一角コウモリも倒せたし12階層でもナイトスコープがあればやっていけそうだね」
「おいおい海斗、さっきのネズミの戦いでお前は何匹倒したんだ?わたしは3匹倒したけどな」
「お前分かってて言ってるだろ。どうせ俺はゼロだよ。だけどな一応お前達に被害が及ばない様に攻撃を防いでたんだぞ」
「ルシェ、ご主人様も頑張ってくれてるんだから、いじめてはダメですよ」
「分かってるって、ちょっと言ってみただけだって。別に本気じゃ無いって」
「ルシェ、お前のツッコミは本気と冗談の区別がつき辛い。地味にダメージが入るから加減してくれ」
「そうなのか、悪かったよ」
「え!?」
「なんだよ」
「ルシェも少しは成長してるんだな。俺は今猛烈に感動しているよ」
「ふんっ!失礼なやつだな。わたしは十分成長してるよ。なんなら服の中でも見せてやろうか」
「お、おぃ。そう言う意味じゃ無いって。頼むからやめてくれ。そんなに俺を社会から抹殺したいのか?」
「ふふっ、2人とも本当に仲が良いのですね。羨ましいです」
「本当にそうだな。いつか私もその輪の中に入れてもらいたいものだな」
「私もです。シル様とルシェ様と海斗みたいにもっと仲良くなりたいです」
今のやり取りも外から見ると仲が良い様に見えるらしい。まあルシェも以前より心を開いて来た感はあるし、悪態もまあ良い傾向なのかもしれない。
それでもクソ生意気な妹には変わりがないが。
「よかったら私の服の中も見てみますか?」
「シル、本当に勘弁してくれ」
「ふふっ。冗談です」
ルシェだけでも辛いのにシルまで加わると、もう俺では保たなくなってしまいそうだ。
「みんな申し訳ないんだけど、マントがまた溶けて穴が開いてしまったから、今日はこれで引き返して良いかな。ダンジョンマーケットで今日中に買っておきたいんだ」
「もちろんよ」
「そんな事、遠慮せずに早く言えば良いじゃないか」
「装備は大事なのですよ」
みんなの同意を経て今日はそのまま引き返す事となったが、マントの無い状態で10階層のゲートまで引き返すのはかなりきつかった。
暑い・・・
俺はシャワーを浴びてから地上に戻ってみんなと別れてからダンジョンマーケットに向かった。
「すいません。黒色のマントをお願いします」
「あの、失礼ですが先日も黒いマントをお求めになりませんでしたか?」
「はい。この前買ったばっかりなんですけど、モンスターに溶かされて穴が空いちゃったんです」
「その前は茶色のマントを購入されたと記憶しているのですが」
「ああ、そのマントはファイアボールをくらってしまって燃えて穴が空いちゃったんです。それで探索に必要だったんで処分した感じです」
「魔法を使うモンスターと戦われてると言う事は結構奥まで進んでるんですね」
「今12階層です」
「それであればこちらのマントはいかがでしょうか?」
「このマント何か違うんですか?」
「特殊な繊維で作られていますので少々の炎なんかでは穴が空きません」
「それは良いですね。値段は幾らぐらいしますか?」
「価格は15万円になります」
「そんなにするんですね。う〜ん」
「良い物はずっと使い続けることが出来ます。前にお買い上げ頂いた物は3万円ですので既に6万円使われた事になります。今後も探索を続ける上でモンスターも強力になってくるでしょう。そうなれば今までのマントでは、更にハイペースで買い替えが必要になる筈です。それが一度こちらのマントを購入すればずっと使うことが出来ます。しかも今までのマントよりも遥かに高性能な物を装備し続けることができるのです。想像してみてください。安いマントで我慢して買い替え続けるか、この高性能マントで安心して探索を続けるのとどちらが良いと思いますか?もう答えは出ている筈です」
「はい。高性能なマントをください。黒色でお願いします」
「お買い上げありがとうございます。お客様の探索ライフがこのマント1枚で快適になる事間違いありません。本当に良い買い物をされましたね」
「はい。ありがとうございます。早速明日から使わせてもらいます」
今日は本当にいい買い物ができた。値段は少し高かったが値段には変えられないものがある。
明日からの探索がより楽しみになった。