A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (23)
第23話 シルの気持ち
俺はLVアップした事に、単純に喜んだ。
「やったぜ。」
しかも今回はただのレベルアップではなく『神の祝福』による成長補正ありの スーパーレベルアップだ。
期待に胸をふくらませて、レベルアップしたステータスを確認した。
ん?
あれ??
なんかおかしくないか??
高木 海斗
これがLV9時点のステータス
LV 9
HP20
MP 9
BP 20
そしてこれが前回『神の祝福』により補正されたLV10時点のステータス
LV 10
HP 25
MP 12
BP 25
そして今回のLVアップによるステータス
LV 11
HP 27
MP 14
BP 28
以前、LV1のアップで1〜2程度しか上がらなかったステータスは、前回LV10のレベルアップ時に
スキル『神の祝福』を発現した事により一気に5前後アップしていた。
それが、今回L11へのレベルアップ時のステータス変化は、BPが3 HPとMPにおいては2 のアップにとどまっている。
なぜだ??
どう言うことだ??
LV10の時だけ スキル発現ボーナスみたいな感じだったのか?
「うーん」
もちろんLVアップは嬉しい。
しかも今までにくらべるとステータスの上昇も大きい。
しかし・・・・
期待していたほどじゃない。
『神の祝福』に期待しすぎたのだろうか?
いろいろ考えている最中に、天啓のように思い出した。
思い出してしまった。
ま、まさか・・・
慌てて俺はスキル『神の祝福』の説明画面を確認する。
神の祝福 ・・・神およびその眷属に愛されているものに与えられる。 レベルアップ時にステータス上昇補
正がかかる。上昇率は神およびその眷属からの愛の程度に依存する
上昇率は神およびその眷属からの愛の程度に依存する。
これだ。間違いない。これでしょ。
『でもなぜだー。』
俺はシルとはうまくやっていると思っていた。
呼び方もシルフィーからシルにランクアップした。
愛情もたっぷり注いでいるつもりだ。
もちろんLOVEではなく親愛の情だが。
シルからも好かれていると思っていた。
それがなぜだ。
前回のレベルアップ時よりもシルからの愛が ステータス上昇分 つまり3/5になっていると言うことなのか?
動揺も手伝ってか、何が原因かすぐには思いつかなかった。
しばらく考えてみた。
前回のレベルアップ時と今回のレベルアップ時の違い。
名前の呼び方以外で違うこと。
まさか。
い、いや。
あれか。あれが原因なのか。
それしかない。
思い当たる原因は一つ。
『ルシェリア』の存在しかない。
シルとルシェリアは性格は真逆で存在も真逆だ。
当初は、神と悪魔がうまくやっていけるか心配していたが、お互いに見た目年齢も同じぐらいの幼女同士、性格も真逆なのが良かったのか、最初ルシェリアが、ぶつぶつ言っていた以外は非常にスムーズだった。
シルが包み込んでいるのか、2人とも姉妹のように仲良くやってくれている。
と思っていた。
実際にルシェリアも、俺に対する高圧的な態度と違い、シルには結構優しい感じだ。
それがなぜだ。
シル 本当はルシェリアのことが嫌なのか。 口には出さなだけで本当は嫌で嫌で仕方がないのか?
考えてもどうしてもわからないので、ルシェリアをカードに送還して、思い切ってシルに聞いてみる事にした。
「シル、何か悩みとかないのか?」
「えっ?」
「突然どうされたのですか?特にはありませんよ」
「うーん」
「まどろっこしいのは苦手だからはっきり聞くが、俺のことはどう思っているんだ?嫌いになったのか?」
「えっ?え?何をおっしゃっているんですか?私がご主人様を嫌いになるはずがないではないですか。もちろん
敬愛しています。」
「そうか」
全く嘘を言っているような感じではない。ストレートに敬愛していると言われ、顔と頭が熱くなってきた。
「それじゃ、ルシェリアのことはどう思っているんだ。あまり好きじゃないのか?」
「い、いえ。最初はちょっと怖い子なのかと思いましたが、話してみると優しい、いい子でした。今は仲良しで大好きですよ。」
これも嘘はないように思える。
「そうか。俺はダンジョンではシルが一番大事なんだ。悩みや思っていることがあるなら教えて欲しい」
「特にないですよ」
「いやなにかあるだろう」
「ないですよ」
「あるはずだ」
「うー。それじゃひとつだけあります。」
「なんだ。」
「最近ご主人様はルシェリアにばっかり優しくしているので、私にも同じようにして欲しいです。」
「え・・・」
シルからの言葉は思いもつかない言葉だった。
「別にルシェリアに特別優しいってことはないだろ。むしろシルの方に優しいと思うが」
「最近魔核もルシェリアの方が多くもらえてますし」
「あっ」
「ルシェリアのことは大好きですが、ルシェリアが来る前は、ご主人様ともっとお話しもできていました。
ルシェリアだけじゃなくて、私とももっとお話して欲しいです。」
「あ、ああ わかった。これからはシルにもルシェリアと同じだけ魔核も渡すし、話も、もっとするようにするよ」
「本当ですか?やっぱり海斗様が主人様でよかった。嬉しい。」
その後、家に帰ってベッドに寝転がって
これは、あれか
いわゆる、やきもちか。
やきもちというやつなのか。
考えてもみなかった。
シルは素直でいい子だから問題ないものだと思い込んでいた。
ルシェリアが問題児なので、そちらばかり気にかけていたのは否定できない。
確かに魔核もルシェリアにだけ多く与えていた。
俺は今まで女の子とろくに接点がなかったのだ。
それがサーバントとはいえ 幼女とはいえ
急に2人も一緒にいる事になったのだ。
これからうまくやっていけるだろうか。
分け隔てなく3人でうまくやっていけるだろうか。
「は〜」
今日も俺は17歳にしてストレスで胃にダメージを蓄積させている。