A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (230)
第231話 スライムスレイヤー再び
俺は今は1階層に潜っている。
昨日は、ドリルもぐらを殲滅した時点で撤収したのだが、シルにハイコストのスキルを連発させた事もあり、魔核を貯める事が全く出来なかったので、今日から放課後はスライムの魔核を貯める事に専念する事にした。
今日も既に8匹を倒しているが、さすがに今のレベルでスライムを倒す事に余裕を感じているので、コストのかからない倒し方を色々研究している。
バルザードや『ウォーターボール』は魔石を消費してしまうので除外している。
ただし、タングステンロッドやノーマル状態のバルザードで切りつけてみたがレベルアップしたステータスを持ってしても倒せない。
通常の剣では斬っても斬っても直ぐに再生してしまい埒があかない。
次に試したのはパンチとキックだ。格闘経験も全く無いのでへっぴり腰だがレベルに任せて思いっきり蹴り上げて見る。
「グチュ、ボヨヨーン」
大きく弾け飛んで、一瞬いけそうな雰囲気はあったが残念ながら修復してしまった。
やって見た感じとしてはもう少し威力が有れば倒せそうな気がする。
その日はそれ以上成果を得られそうになかったので、殺虫剤ブレスに切り替えて合計35個の魔核を回収する事が出来た。
次の日に家からいくつか武器になりそうなものを持ち込んだ。
一つ目はフライパンを持ち込んだ。昨日は攻撃の威力と面積が問題のように思えたので硬くて面積の広いフライパンを試してみる事にしたのだ。
早速スライムを発見したので、近づいて思いっきりフライパンでぶっ叩いて見た。
ジェルっぽい抵抗感があり
「グニュ、ボヨヨーン」
可笑しな音と共にスライムが後方に吹き飛んだが、消失はしていない。続けて何度かフライパンでぶっ叩いて見たが、同じ事の繰り返しで消滅させる事は出来なかった。
フライパンの持ち手は残念ながら、ぶっ叩く時にそこまで力を込めれるように出来ていないようで、武器としての性能は今ひとつのようだ。おまけに手元の部分が少し曲がってしまったので、帰るまでに母親に怒られないよう、こっそり直しておかなければいけない。
次に試したのはテニスのラケットだ。家の倉庫に転がっていたものだが誰が使っていたものか分からない。
振った感じはスピードも出ていい感じなのでこれならいけるんじゃないか?
フライパンでは倒す事の出来なかったスライムに向けて、ラケットをフルスイングして攻撃して見た。
「グチュッ!」
ラケットにジェル状の強い抵抗感を感じだが、そのまま力任せに振り切ってやった。
結果スライムは消失したが
「うっ。いって〜」
軽いラケットの副作用とでも言えばいいのか、スライムへのインパクトの瞬間持っている手と手首に大きく負担がかかってしまったようで少し痛めてしまった。
1匹ならまだいいが、複数を倒すには向いてなさそうだ。
最後に試したのが大きめのショベルだ。
これも家の倉庫で発見したものだが、かなりの年代物のようで金属で出来たショベル部分が結構重い。
すぐに次のスライムを見つけてショベルを両手で持ってフルスイングした。
「グチュ、グニュ、ボヨヨーン」
インパクトの瞬間に結構抵抗感が生まれたが両手で持っているお陰で問題なく振り切れ、いつものスライムの消失音を発生する事が出来た。
「やった!」
「ご主人様も見事です。流石です」
「ああ、ありがとう」
「シル、甘やかしちゃダメだぞ。たかがスライム1匹倒しただけだろ。全然流石じゃない」
「ルシェ、そんな事、わざわざ言わなくても俺が一番わかってるよ」
たかがスライム1匹だが殺虫剤を使わずにコストゼロで倒せた事に意味がある。
その日はショベルを使ってスライムを倒して回ったが、22個の魔核を回収する事が出来た。
明日以降のペースアップに期待したい所だ。