A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (241)
第242話 初遠征
俺は今電車に乗っている。
朝7時に真司、隼人と駅で待ち合わせをしてから遠征先のダンジョンに向かっている。
一旦、ダンジョンの近くにある探索者ギルドで今回の参加者全員で集合することになっている。
「海斗、本当にフル装備で来たんだな」
「それはそうだろう。装備無しってわけにはいかないだろ」
「しかもその大きなトランクは何?2泊3日だぞ。海外にでも行くつもりか?」
「いやいや、このぐらいは必要だろ。カップラーメンとかトランプとか装備とか」
「俺達も装備は送ったけど、俺たち2人分よりも多いぞ。女の子でもそんなにないんじゃないか?」
「お前ら、遠征イベントを舐めてるな。備えあれば憂い無しだよ」
「海斗、多分備えすぎてるぞ」
「まあ、どっちでもいいだろ。それにしても楽しみだな。今回は何人ぐらい参加するんだろうな。2人共イベント参加は初めてだろ」
「ああ。初めてだから緊張してるんだよ。変な人とかに絡まれたりしたらどうしようかって真司とも話してたんだ」
「イベントだと一応登録制だから、やばい人は少ないんじゃないかな」
「そうかもしれないけど、申し込んだときは出逢いに期待してたんだけど、だんだん不安になってきてな。俺達もが出逢いに期待してるって事は、他にも期待してるパーティがいっぱいいるだろうからな。よくよく考えたら結構難易度高いと思ってな」
「いや、何の難易度だよ。多分他のパーティは出逢いを求めてじゃないと思うけどな。そもそも男女ペアのパーティとかもいるかもしれないしな」
「くっ。リア充かっ」
「何だよそれ」
「海斗、お前変わったな」
「いやいや、別に何も変わってないだろ」
「お前には春香ちゃんもいるしな。パーティメンバーも可愛い子ばっかりだしな。しかもサーバントまで超可愛いしな。お前がリア充じゃないか〜!」
「いやそんなんじゃないって。春香とは残念ながら何も進展はないし、メンバーはそんなんじゃないし、サーバントなんか幼女だぞ」
「以前のお前なら絶対俺たちと同じ反応をしたはずだ。ダンジョンに男女ペアで潜ってるのを見たら、絶対に呪いの言葉を吐いていたはずだ。それが今はどうだ、仏様か菩薩様にでもなったかのような穏やかな表情。それこそ勝者の表情じゃないか。俺もあやかりたい。海斗と一緒にいると恩恵があるかもしれない」
「恩恵って・・・俺そんな凄い存在じゃないぞ。それよりせっかくトランプ持って来たから、着くまで遊ぼうぜ」
「わかった。リア充とモブゲームをするか」
「そんなゲーム知らないんだけど」
「大富豪のことだよ。大富豪イコールリア充だろ。それ以外はモブなんだよ」
「ああ、まあ間違っては無いかもな。じゃあそれやるか」
それから電車が目的地に着くまでの1時間俺たちはリア充とモブゲームに勤しんだが、普段特にトランプゲームに強いわけでは無い俺だが、何故かこの日は、ほとんどひとり勝ちしてしまった。
「くっ。リアルのリア充はトランプまでリア充なのかっ。世の中何て不公平なんだ。俺達もこの遠征でリア充になるぞっ!」
俺が変な風に勝ちまくったものだから、真司と隼人の心におかしな火がついてしまったようだ。
俺は全く悪く無いが、少しだけ責任を感じてしまうので、機会が有ればしっかりサポートさせてもらおうと心に誓った。
電車が目的の駅まで着いたら今度はバスでの移動となったが、結構距離があって30分以上揺られて移動した。
そこからは徒歩で15分ぐらいで目的地のギルドまで到着した。
初めてのギルドだが、いつものギルドと作りがよく似ているのですぐにわかった。
今の時間は9時10分。待ち合わせの時間まであと50分あるので中で待つ事にした。