A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (243)
第244話 平面ダンジョン
俺は今初めてのダンジョンを進んでいる。
普段のダンジョンは下に伸びる所謂立体型のダンジョンだったが、このダンジョンは横方向に伸びている所謂平面型のダンジョンだ。
全方向にかなりの広さを持っているので、初めは固まっていたイベント参加者達も徐々にばらけて来て、今目視出来るのは1組だけとなっている。
途中スライムに遭遇したが、殺虫剤で問題無く倒せたのでダンジョンが変わってもスライムは同じだと言う事が確認できたのでよかった。
殺虫剤でスライムを倒すのを見て、真司と隼人が俺の戦闘スタイルについて質問して来たので仕方無しに答える事にした。
「絶対人には言うなよ。俺にも理由はわからないけど、スライムはな、殺虫剤に弱いんだよ。所謂特効的効果があるんだ」
「へ〜っ。そうだったんだ」
「ふ〜ん。あんまり知られてないよな」
「お前ら、それだけ?」
「いやそれだけって、スライムだしな」
「ああ、普段俺たち5階層まではゲート使ってるから、もうスライムに会う事無いし」
「いや、お前らわかってないな。スライムを手軽に狩り放題なんだぞ。すごくないか?」
「スライム狩り放題って、スライムばっかりそんなに狩ってもな」
「そもそも、狩り放題って言うほど会えないし」
確かにシルのようにモンスターを探す手段がなければ、効率よくスライムを狩る事は難しいだろう。
正直俺の中では秘匿しておきたい、とっておきだったのだが、レベルがある程度上がっている探索者には、あまり旨味が少ない内容なのかも知れない。
正直目から鱗だった。
そこからさらに進んでいると突然
「ご主人様、モンスターです。かなりのスピードで移動しています。おそらく3体です」
「よしっ。俺と真司とベルリアが前に、隼人とシル、ルシェが後方に」
エリアもスライムのいたエリアからは既に外れているので、違うモンスターに違いない。
待ち構えているとすぐにモンスターの姿が見えた。馬に2本の角が生えている。
馬に角といえばユニコーンをイメージするが、どちらかと言うと羊の角の大きい奴なのでユニコーンとは大分違う。
ダンジョンが広い為に散開しながらスピードを出して向かってくる。
まず俺がバルザードの斬撃を真司が『アースバレット』を放つが、俺の斬撃は命中して一体は消滅したが、真司の『アースバレット』は、外れてしまった。
敵の動きが思ったよりも早い。
残った二角馬が猛然と突進して来てそのまま俺達を飛び越して後方に抜けてしまった。
「シル、ルシェ頼んだ!」
「消えてなくなりなさい『神の雷撃』」
「馬の丸焼きってうまいのか?『破滅の獄炎』」
2人の攻撃が爆音と共に2体の馬型モンスターに炸裂して消滅に追いやった。
「まあ初戦にしては被害もなかったし良かったんじゃないか?」
「ご主人様、馬型は、初めてなので、やはりモンスターの種類は違うようですが全く問題はありません」
「馬は角が生えても所詮馬だな。わたしの敵じゃないな」
「まあ2人の事は全く心配してないけどな」
「海斗俺やばいかも。『アースバレット』が当たらなかったし、あっさり後ろに行かれた」
「いや俺の方がもっとやばいって。馬が飛び越えてくると思わなかったから咄嗟に動けなかった。シルフィーさんとルシェリアさんがいなかったら俺やばかったよ」
「まあ2人とも初戦だからな。これから徐々に対応できる様になるって。慣れるまでは俺とシル達がフォローするからあんまり気にすんな。俺なんか普段から他のメンバーに頼りっきりだからな」
「おおっ、海斗がかっこよく見える・・・やばい惚れてしまう」
「俺も海斗がかっこよく見える。吊り橋効果で変な扉が開いたらやばい・・・」
「2人とも馬鹿な事言うのはやめてくれ。置いていくぞ」
「すまん。でも一瞬カッコよく見えたのは本当だぞ」
「俺も一瞬カッコよくは見えたけど、変な扉は冗談だ。何があっても扉は開かないから安心してくれ」
「本当に頼むぞ!フォローはするけど、冗談が過ぎると置いていくからな」
モンスターに注意を払わないといけないのに、この2人にまで流石にそっちの気は配れない。
ダンジョンで可笑しな冗談は洒落にならないので控えて欲しい。