A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (247)
第248話 チームワーク
俺は8階層エリアに到達した。
明確な線引きがあるわけではないのでおおよそだが、恐らくここが8階層エリアなのだろう。
マップさえ有れば階層型のダンジョンより平面型のダンジョンの方が効率よく回れるかもしれないが、ゲートはもしかしたら存在しないのかもしれない。
「ベルリア、投擲の練習はしないのか?」
「私はマイロードの剣です。投擲は隼人様にお任せします」
ベルリア、さっきお前はルシェの剣とか言ってなかったか?
「ご主人様、最近暗いところばかりだったのでここは広くて明るくて本当に良いですね」
「そうだなここは敵も大きいから俺もやりやすいな」
「また時々こちらにも来てみませんか?」
「まあ、時々来るのも良いかもしれないな」
「本当か海斗。その時はまた俺達も誘ってくれ」
「俺は別に良いと思うけど」
「私もいいと思います」
「おお〜流石はシルフィーさん」
「お話の途中ですが、ご主人様、敵モンスターです。3体います」
「よし、じゃあ俺と真司とベルリアは前衛だ。特にベルリアは俺の剣として力を見せてくれよ」
「マイロードお任せください。貴方の剣はオリハルコンを凌駕します」
敵を待ち構えているが、そこに現れたのは小型のオークだった。
俺の知っているオークは動きが鈍いがこのオークは違う。
何やらカンフーのような動きをしている。
小型と言っても俺らよりは随分大きいのでミニ豚のような可愛さは一切感じられない。
すぐに3体が迫って来て俺達前衛と戦闘になる。
俺の相手はヌンチャクのようなものをブンブン振り回してくる。
今までこんなものを武器にした相手と戦った事がないのでやりづらい。
間合いも数撃ごとに変わり、角度もおかしい。
短いバルザードでは応戦するのにも限界があるので、俺はバルザードの斬撃を飛ばして、オークの動きを止めてから合いを測って、大きく後方にステップバックして魔氷剣を発動した。
流石にあの動きに短いバルザードでは対応しきれない。
魔氷剣の効果が切れるまでが勝負だが、相手の攻撃が途切れないので受けに回ってしまい、なかなか攻撃できない。
「隼人、一瞬でいいからこいつの攻撃を邪魔してくれ!」
「任せとけ。『必中投撃』豚の串焼きの出来上がりだ」
隼人が投擲したのは槍ではなく、釘。
オークの顔面に釘が見事に命中した。
「ブヒィーグッヒィ」
いくら脂肪が分厚くても顔に釘が刺さると、相当な痛みだろうと想像はできるが、相手の攻撃が止まったので
そのまま俺は踏み込んで魔氷剣をオークの腹に突き刺して、そのまま爆散させた。
戦闘が終わり、余裕ができたので真司の方に目をやると、真司も同様に押されていた。
真司の相手は無手。所謂体術を駆使して攻撃をかけて来ている。手と足に金属製の武具を身につけており、パンチやキックを繰り出している。
豚のくせに異常に身軽だ。アクションスターばりに旋風脚を繰り出している。
真司も 2刀を使い防いではいるが防戦一方だ。
「真司、その状態から『アースバレット』だ。その距離なら絶対に決まる」
「おおっ、近接戦闘しながら使ったことなんかないぞ!」
「大丈夫だ。やってみろよ」
「わかったよ。やるよ、やってやる『アースバレット』」
流石に細かい照準は無理だろうが、目の前の豚のサイズがあれば流石に外さない。
見事に命中して動きが止まった所を真司が滅多斬りにして勝負は決した。
最後に残ったのはベルリアだが、珍しく苦戦している。
苦戦の理由は間合いだ。
敵オークが武器に槍を使っているからだ。
バスタードソード より遥かに長い槍に苦戦をしているが、相手の豚もかなりの使い手に見える。
「師匠、お手伝いしますよ」
「隼人様・・・・お願いします」
「ベルリア師匠の剣の錆となれ『必中投撃』」
再びオークの顔に釘が突き刺さり、槍の攻撃が止まった瞬間、ベルリアが、残像を残して高速で踏み込みオークの首をはねてしまった。
「流石です。師匠」
「いえ、隼人様のおかげです」
今回の戦闘は、隼人のサポートを受けてかなりいい感じだったのではないだろうか。
連携も向上して来て少しだが戦闘スタイルが見えてきた気がする。