A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (249)
第250話 8階層探索
俺は今8階層を探索している。
敵のスピードにも慣れて来たが、やっぱりこのダンジョンとは結構相性がいい。
しかもファンタジー系のモンスターも多いのでなんと無くテンションが上がる。
「ご主人様、モンスターです。今度は5体いますが、今までよりは移動がゆっくりな気がします」
「とりあえずモンスターの数が多いから1人1殺で行こうか」
「おい海斗、わたしたちは6人だぞ。引き算もできなくなったのか?」
「そのぐらいの計算俺でもできてるよ。じゃあルシェは待機な。危なかったら助けてくれよ」
「えっ?わたしが待機?」
「敵が5体だからな。しょうがないだろ。待機してくれ」
そんな話しをしているうちに現れたのは、ゴブリンだった。
ただ普通のゴブリンとは大きく違う。
フル装備のゴブリン。
鎧兜を着込み、剣や槍を持っている。
俺よりは、ひと回り小さいがベルリアよりは大きい。
種類もただのゴブリンとは少し違うのかもしれない。
「ギエェエー!」
5体とも一気には向かって来ず、武器を構えて少しずつ距離を詰めてくる。
これは、明らかに武器を使える感じだ。
力押しのトロールとは、動きがまったく違う。
「みんな防具の隙間を狙って。防具に弾かれたら危ない」
俺も一体の武装ゴブリンに目星をつけて向かい合うが、剣で切りつけてくる。単純な上段からの攻撃にバルザードを合わせようとしたが、急に太刀筋が変化した。
咄嗟にステップバックして避けたが、かなり危なかった。
こいつフェイントを使ってきた。見かけ倒しではなく完全に武器を使いこなしている。
明らかに剣術に近いものがある。
まともに斬り合えば俺の方が劣っているだろう。
俺の戦い方は魔道具込みの剣術だ。
俺は再度斬り合う素振りを見せながらそのままバルザードの斬撃を至近距離からお見舞いしてやった。
流石にバルザードの斬撃は鎧の上からでも効果を発揮して、武装ゴブリンを胴体から切断する事に成功した。
斬り合いは、2合と一瞬の事だったが、このゴブリンは結構手強かった。
「ふ〜っ」
と大きく呼吸してから、周囲を見てみるとシルは既に武装ゴブリンを倒してしまっていた。
神槍に貫けない物はないと言ったところだろう。
残りのメンバーに目をやるとベルリアはゴブリンと斬り合っているが、明らかにベルリアの剣技が上回っており、鎧の隙間を狙って斬りつけて徐々にゴブリンを追い詰めている。
ベルリアの剣技が際立っているが、相対しているゴブリンも、なかなかに剣を使いこなしているのがわかる。
単純にベルリアとの斬り合いを想定した場合、俺ではあそこまでもたない気がする。
残りの2人だが真司は槍を持ったゴブリンと斬り結んでいるが、相手の間合いが遠いのでかなり苦戦している。槍の攻撃をかなり遠目から弾いて応戦しているが、懐に入れずに決定打を出せていない。
逆に隼人は槍で距離を保ちながら確実にダメージを与えているが、そもそも鎧を付けた相手と戦う事はほとんど無かったので、動く相手の隙間を狙う事に苦労している。
どちらかのフォローに入った方がいいかもしれない。
「真司、隼人助けが必要か?」
「俺はまだ奥の手があるから大丈夫だ」
「俺は正直厳しい。ルシェリアさん希望」
真司・・・お前何言ってるんだ。
「ルシェ聞いたか?真司がお前をご希望だそうだ。頼んだぞ〜」
「しょうがないな。そんなにお願いされたらこれで終わりだ『侵食の息吹』」
ルシェなりに気を使ったのか真司に被害が及ばないようにしたのだと思うが、久々に『侵食の息吹』だ。
「グギュgyうー、ウガAa〜」
「お、おい。海斗これって一体?」
「ああ大丈夫だ。精神汚染と共に体が溶けるんだ」
「なんて恐ろしいスキルなんだ。流石ルシェリアさん。素敵・・・」
馬鹿な真司は放っておいて隼人をいつでもフォローできるようにしておく。
槍で突きながらも、なかなか倒しきれない状況が続いたが、片手で槍を突き出して牽制した瞬間『必中投撃』
空いた手で釘を投げゴブリンの眉間に突き刺した。
俺の戦い方に少し似ているなと思ったが見事な物だ。
無事、武装ゴブリンを倒すことができたので良かった。