A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (25)
第25話 ドロップアイテム
シルのレベルアップに伴う魔核問題に頭を悩ませ、今日は探索を休んでいる。
考えに考えて一つの結論に達した。
達したというよりも他に選択肢がない。
俺の結論は一度3階層から撤退して、1階層でスライム狩りをするということだった。
3階層以降の探索を諦めたということではなく、魔核が不足して身動きが取れないのであれば、先に魔核を大量に集めて、それを切り崩しながら探索を進める。ちょっと非効率にも感じるが、それが唯一の道だと思う。
スライムの魔核は最小だ。
最小ではあるが、ヘルハウンドの魔核2個とスライムの魔核3個が大体同じサイズである為、大量に集めればシルとルシェリアが摂取する分には全く問題がなくなるレベルだ。
決めたからには、とことんやる。
俺はまた1階層でスライムスレイヤーとして活躍し、スライムを狩って狩って狩りまくる。
それから俺は毎日の様に1階層に潜っている。
実は、スライムの処理数が 1ヶ月の間に500に達しようとしている最中、気がついてしまったことがある。
スライムを狩りながら、結構余裕と時間があるので、今までのことをあれこれ考えていたのだ。
通常スライム以外のモンスターを倒すと1〜3パーセントの確率でドロップすると言われている。
しかし俺はなぜか、通常のモンスターからアイテムをドロップしたことがない。
最初は運がないだけかと思っていたが、100匹を大きく超えても一向にドロップする気配がないのだ。
おかしい。
絶対におかしい。
何かがおかしい。
俺が取得したことがあるのは、ドロップアイテムを落とさないはずのスライムからの2枚のサーバントカードのみだ。
サーバントカード2枚だけでも物凄いことなのだが、探索者は普通、魔核とドロップアイテムで稼いでいる。
特にドロップアイテムはドカンと稼げる可能性のあるボーナスのようなものなのだと思う。
思うというのは、一度も手に入れたことがないので、はっきりとは分からないからだ。
とにかくこれは異常なことだと思う。
普通、よくあるのは、ポーションとか素材とかのはずで、俺も是非手に入れたい。
しかし俺の手元には一つもない。
たまたまでは、説明がつかない。
おかしいと思いながらもどうしようもないので、せっせとスライム狩りに励んで、遂に
1000匹に到達しようとした時
「あれは・・・」
「まさか・・・」
今度はブルーメタリックな色のスライムに遭遇した。
「シル、ルシェリア 絶対に逃がすな」
「はい」「ああ」
間違いない。あれは3度目となる特別なスライムだ。
念には念をいれ
『神の雷撃』『破滅の極炎』のオーバーキルコンボをお見舞いした。
『ズガガガガーン』『グヴオージュオー』
いつも通り轟音ど衝撃がおさまった跡にはスライムの姿はなくなっていた。
俺は、またスライムの消え去った跡を凝視した。
『お、おお !!』
『ま、まさか !?』
『あ、あれは !!』
そこに残されていたのは3枚目のサーバントカード
ではなく、青色の球が残されていた。
俺のテレビ経由の情報によるとあれは、夢の『マジックオーブ』 ではないだろうか。
『マジックオーブ』はサーバントカード等と同じく、レアアイテムだ。
使用することで、なんと魔法スキルが使えるようになるという夢のアイテムだ。
手に取ったマジックオーブは、青色で野球の球ほどで一見ガラス玉のようだった。
俺は初めてサーバントカードを手に入れた時と同じように、手が震えてきてしまった。
やばい。
これを使うと魔法使いになってしまう。
夢の魔法使いに・・・
いや、もしかしたら大魔法使いや、賢者になれるかも。
探索者の夢、いや人類の夢とロマン。
それが魔法だ。
マジックオーブは色によって種別が大別される。
このオーブは青色なので水か氷系の魔法が使えるようになるはずだ。
水系魔法を使う俺。
やばい、かっこいい・・・
もはやモブとは呼べなくなるな。
本当にやばい。