A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (250)
第251話 空飛ぶゴブリン
俺は今8階層エリアの探索をすすめている。
真司と隼人も敵によって得手不得手があるもののそれなりに順応してきた感じがする。
武装ゴブリンも退けて、パーティのモチベーションも上がって来ているが、初日なのでもう少し頑張ったら切り上げようかと考えている。
「真司も隼人もさっきの戦闘は結構やれてたんじゃ無いか?シルとルシェのサポートが有ればもう少し先の階層も行けそうだな」
「いや、まだ一杯一杯の所もあるから今日はここまででお願いします」
おおっ、真司冷静だな。
「ああそうだな、あせる必要もないから今日は8階層エリアを巡回して引き上げるか」
「ご主人様、モンスターです。4体ですのでご注意ください」
「よし、じゃあ今度は、隼人も前衛に上がってみようか。4人が前衛でシルとルシェがサポートしてくれ」
4人で並んでモンスターを待つが、シルとルシェが後ろに控えているので安心して戦闘に臨める。
「マイロード来ましたよ」
俺よりも視力の良いベルリアが先に発見したが、出現したのは先程と同じゴブリンだった。
ゴブリンだが、飛んでいる。
背中に大きな羽が生えておりさながら天使ゴブリン?のようだ。
ある意味シルに近いシルエットだが、流石にこいつらとシルを一括りにするのは、シルに申し訳なさすぎるので、フライングゴブリンと名付ける事にする。
「真司とベルリアは敵が向かって来るまで引き付けてくれ。隼人は積極的に撃ち落としてくれ」
徐々にフライングゴブリンが近づいて来るが、羽根のついた人型モンスター・・・
やはり違和感がある。
近づいて来たが通常攻撃では届かない結構高い位置にいる上によく見ると手には弓を持っている。
これはまずい
「シル『鉄壁の乙女』を頼む」
「かしこまりました。それにしても不格好な生き物ですね。翼まで生えていて非常に不愉快です。『鉄壁の乙女』」
シルが相手の事を批評するなんて珍しいな。まさか同族嫌悪か?いやシルに限ってそんな事はないな。
「ベルリアは大丈夫だろうから『鉄壁の乙女』の効果範囲から出て戦っても良い。自由にしてくれ、真司は中で待ち構えてしとめるぞ」
指示を出している間にも次々に矢が飛んでくる。上からの矢の攻撃は普段体験する事がないのでかなり厄介だ。
俺はバルザードの斬撃を先頭のフライングゴブリンにお見舞いする。
敵も攻撃が届かないと踏んで、完全にこちらを舐めていたのか無防備な状態で直撃して、そのまま墜落して消えていった。
真司も槍を投げ一体消滅させる事に成功したがあと2体。
ベルリアが敵を引き付けるべく前方で目立った動きを見せているが、フライングゴブリンも警戒して上空からの攻撃に徹しているが矢による攻撃はベルリアがバスタードソードで叩き切っているので膠着している。
「海斗、すまん。敵が近づいてこないから俺役に立てそうにない」
「まあ気にするな。次から俺の魔核銃貸すよ。ちょっと練習してから実戦で使ってみようぜ」
「おおっ。心の友よ」
「大袈裟だな。まあ気を抜かずに行こうぜ」
残りの2体だが俺と隼人で倒すのがベターだと思うので
「隼人、もう一体行けるか?ベルリアを攻撃してる奴」
「ああ任せとけ。師匠が釘付けにしてくれてるから余裕だよ」
隼人に一体を任せて俺も最後の一体に狙いをつける。
左手に魔核銃を構えてカモフラージュに威嚇射撃をしながら右手に持ったバルザードを振るって斬撃を飛ばす。
片手で振るったせいで少し狙いがずれて、片方の翼に命中し、そのまま墜落した。
墜落したゴブリンにとどめを刺そうと構えると同時に前方を炎が覆った。
「ルシェ、指示して無いけど」
「ここに来てから待機ばっかりで疲れた。少しぐらい良いだろ」
まあ気持ちは分からなくは無いけどな。
もう一体は隼人が投げナイフを命中させ、墜落したところをベルリアがしとめていた。
一応師弟コンビが連携した形なので、結果として良かったかもしれない。