A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (254)
第255話 裸の付き合い
俺は今ホテルダンジョンシティのソファベッドに寝そべっている。
シャワーを浴びたいが3人いるので順番になってしまう。
「俺シャワー浴びたいんだけど順番どうする?」
「海斗、言ってなかったっけ、このホテルな大浴場がついてるんだよ」
「そうなのか。じゃあ折角だからみんなで入るか」
そんなやりとりがあり、俺たちは3人で大浴場に入る事にした。
「あ〜っ。気持ちいいな〜。シャワーもいいけど、風呂もいいな〜」
「このホテル部屋は狭いけど、大浴場があるから結構いいな」
「それはそうと海斗、お前葛城さんとどうなってるんだよ」
「どうなってるって、別にどうもなって無いけど」
「どうもなって無い事は無いだろう。最近どこかに誘ったりしたのか?」
「昨日カフェに行ったけど」
「カフェ・・・」
「海斗、カフェデビューしたのか。大人だな。どこのカフェに行ったんだよ」
「いや学校の近くにあるカフェでクラスの女子に人気らしい」
「それでカフェってどうだった?」
「どうって言われても、まあよかったよ」
「良かったってどう良かったんだよ」
「お洒落で、フランボワーズのケーキとコーヒーが多分美味しかった」
「おいおい、フランボワーズって何だよ。それに多分美味しかったって・・・」
「それはそうと、カフェでどんな話をしたんだよ」
「この遠征の話とか、春香の趣味の話とかだな」
「ところで葛城さんの趣味って何なの」
「料理と写真だそうだ」
「料理と写真か〜いいな〜」
「俺なんかゲームとダンジョンしか趣味ないぞ〜」
「いやまだいい方だろ。俺なんかダンジョンしか無いんだけど」
「今度俺ら3人でカフェでも行ってみる?」
「俺はいいや。来週春香と行く約束してるから」
「海斗。それはデートだよな」
「いや、カフェに行くだけだぞ。オレンジピールのブランマンジェを食べに行くだけだぞ」
「は〜。俺も一度でいいから言ってみたいよ。『オレンジピールのブラマンジェを食べに行くだけだ』く〜っ」
「何だよ一体それは」
「海斗、お前がいい奴だけどバカなのは知ってる。でもな、世の中では、好きな女の子とオレンジピールのブラマンジェを食べる事はデートと認定されるぞ」
「俺はバカじゃないし、デートじゃないぞ。俺だって春香とデートしてみたいんだよ」
「それじゃあ聞くがな、海斗にとってどう言うのがデートなんだよ」
「いやそれは付き合ってる男女が一緒にどこか行く事だろ」
「お前らもう付き合ってるだろ」
「何言ってるんだよ。知ってるだろ、残念だけど俺達はお買い物するだけの仲なんだよ。まあ、たまに映画も行くけど」
「は〜もう海斗の事はいいから、葛城さんに、俺らにも誰か紹介してもらえないか聞いてみてくれないか?」
「聞いてみるのはいいけど、なかなか難しいと思うぞ」
「是非頼むよ」
「海斗、3組でトリプルデートとか最高じゃないか?」
「いや普通に無理だと思うぞ」
「デートを楽しむにしても俺達趣味が少なすぎるよな。3人で何か新しい趣味始めないか」
「いいな。何にする?」
「写真とかやってみる?」
「それは葛城さんと同じ趣味を持ちたいだけだろ。俺は新しい出会いのために役立つ趣味がいいんだ」
「それじゃあ何がいいんだよ?」
「デートで役に立ちそうなカラオケとか女の子と一緒に行けそうなカラオケとか女の子と盛り上がりそうなカラオケとか」
「隼人さっきから、カラオケしか言ってないけどそんなにカラオケ行きたいのか?」
「いやそう言うわけじゃないけど、何って聞かれると俺デートとかした事ないし、何がいいかわからない・・・・映画とカラオケしか思いつかない」
「そうだよな。俺もそのぐらいしか思いつかない。今回の遠征が終わるまでに3人で何が良いか考えとくか」
「そうだな。未だ見ぬデートの日の為に3人で力を合わせて備えよう」
3人での風呂は恋愛談議?で盛り上がったが、モテたことのない3人が集まっても、残念ながら文殊の知恵とはいかず、3人集まっても、ただのモブの知恵だった。