A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (263)
第264話 ダンジョンナイト
俺はダンジョンの下層で野宿している。
現在21時だがこの時間までダンジョンにいた事は今まで一度もない。
夜のダンジョンは明るかった。昼間の明るさと何も変わらないので目が慣れた今は普段よりも明るく感じるぐらいだった。
ただし床は固くて冷たいので敷いたのがマント1枚では心許ない。
「なあ海斗起きてるか?」
隼人が声をかけて来た。流石にこの状況で眠るには早すぎるのだろう。
「ああ、起きてるぞ」
「ダンジョンで野宿した事ある奴ってあんまりいないよな」
「そうだな。普通に考えてほとんどいないだろうな」
「俺さ、こんな状況だけどちょっと嬉しいって言うかワクワクしてるんだ」
「嬉しい?」
「これが終わったら、俺はダンジョンで野宿した事があるんだって人に言えるだろ」
「まあ、そうかもな」
「海斗にダンジョンの潜り方教えてもらって、今回ここにもついて来てもらってさ、俺の人生変わったんだ」
「そんな大袈裟な」
「いや、俺中学でもあんまり友達いなかったし、髪の色も高校入るタイミングで張り切って茶髪にしたけど海斗と真司ぐらいしか友達出来なかったんだ。それが今友達2人とダンジョンで野宿だぞ。ちょっと前なら考えられなかった事だよ。俺こう言うのにちょっと憧れてたんだ。友達とパーティ組んで冒険する。今俺達冒険してるよな」
「俺もだぜ、海斗。俺も今の状況大変なのはわかってるけど、ちょっと嬉しいんだ。なんか友達とダンジョンで冒険して青春ドラマみたいじゃないか?俺も中学で怪我して部活辞めてから今まであんまり変化のない生活してたから、今が楽しくてしょうがないんだ。海斗ありがとうな」
「急になんだよ。俺だって友達少ないんだからお前らと一緒に潜れてよかったよ。なんか急に感謝されると照れるし、よくある死亡フラグみたいだろ。リアルで死んだら洒落にならないからやめてくれよ」
「いや、そんなつもりじゃないって。話は変わるけど海斗って王華学院受けるのか?」
「ああ、受けるって言うか絶対行くんだけどな」
「葛城さんが行くからだよな」
「まあ、そうだ」
「俺も頑張って受けてみようかと思うんだ」
「えっ?隼人も受けるのか?」
「実は俺も受けようかと」
「真司も?一体どうした」
「俺達の偏差値だとちょっと頑張らないといけないから迷ってたんだけど、やっぱり大学もこの3人で一緒だと面白いだろうなと思って」
「俺も今の所決まった目標とかないけど、ダンジョン潜ってて、将来もこれが続くといいなと思ってな。俺と一緒に潜ってくれるのは隼人しかいないし、これだけサポートしてくれるのも海斗しかいないだろ。あと1年しか続けられないのはもったいないからな。お金もそこそこ稼げて来たし学費ぐらい自分でなんとかなりそうだし」
「そうなのか。そりゃあ俺は2人がまた一緒だと嬉しいけど」
「それに海斗のパーティメンバーの2人も王華学院だろ」
「多分な」
「あの2人もすごく可愛かったしな。王華学院って可愛い子が多いな〜ってオープンキャンパスの時思わなかったか?」
「おお、俺もそれは思った」
「お前ら、そんな事考えながら回ってたのか。俺はあの時はそんな余裕はなかったな。なんでか冬でもないのに雪景色が見えたしな。あの時は本当に不思議体験だったよ。今考えてもあれは一体なんだったんだろうな。あれ以来俺、不思議体質になってしまったのか時々、雪景色が見えたり、灼熱の光景が見えたり、急に調子崩したりがあるんだよ。お祓いでも行ったほうがいいのかな」
「海斗、お前まだ気付いてなかったのか・・・」
「海斗お前は将来絶対大物になるよ。間違いない」