A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (266)
第267話 フラグの回収
俺は今24階層エリアを走って逃げている。
どうにか敵モンスターから逃げ切ろうと走っているが完全に挟まれてしまった。
正面に4体、後方には少なくとも3体以上が追って来ている。
このまま、交戦せずに逃げ切るのは、ほぼ不可能だろう。
「みんな、正面突破するぞ、速攻で決める。後ろからのモンスターに追いつかれる前に抜けるぞ。どんなモンスターかわからないけど、目に入ったら速攻しかない。右をシル、真ん中をルシェ、もう一体をベルリア、1番左を俺と真司と隼人で仕留める。仕留めたらすぐに逃げるぞ。出し惜しみは無しだ」
前方に向かって駆けながら敵に攻撃する態勢を取る。
前方から現れたのは大きな亀のモンスター。甲羅から巨大な氷の刃を突き出している。
まずい。シルとルシェは問題ないが、俺達とは相性が悪い。
「必中投撃」
俺が躊躇している間に隼人が槍を前方に投げた。
勢い良く前方に投げられた槍が亀の甲羅に当たり弾かれた。
そうなるよな……
「隼人、ナイフとかでベルリアの相手を牽制してくれ。真司は俺の相手を魔核銃で一緒に攻撃してくれ」
俺はバルザードの斬撃を亀の頭を狙って放つ。
命中と同時に炸裂音が聞こえるが、前方の亀の頭に裂傷を負わせたものの亀は健在だった。
どうやらこの亀は頭にまで装甲を纏っているらしい。
真司も魔核銃を放つがダメージを入れることができない。
思った通り相性が悪い、近距離からバルザードをねじ込むしかないな。
「真司、俺は突っ込むから援護頼む」
前方に向かって駆け出そうとした瞬間、亀のモンスターが口を開いたと思ったら冷気を感じた。
「真司やばい。よけろ!」
危険な感じがしたので、真司にも指示をしてから横に飛び退くが、さっきまでいた所に氷の刃が降り注ぐ。
かなり危なかったが、流石24階層と言ったところだろう。完全に俺の『ウォーターボール』の威力を上回っている。
「おいっ海斗、モンスターが魔法使って来たぞ!こんなのありか?」
「下層に行けば普通に魔法使ってくるんだ。真司はとにかく正面に立たないようにして逃げろ」
俺は即座にナイトブリンガーの能力も発動して前方に向かうが、やはりある程度探知されているようで攻撃をしかけてくる。
先程と同じように口を開いて攻撃をしかけてくるが、口の直線上に攻撃の効果が現れるようなので、大きく避ける。
避けながら隣のベルリアが目に入ったが、近距離から亀のモンスターに斬り付けているが、警戒したのか、甲羅の中に頭を引っ込めているせいで致命傷は与えるに至っていないようだ。
俺も頭を引っ込められる前に仕留める必要がある。
そのまま亀の側面に向かって走り抜けてから魔氷剣を発動させてから、一気に亀の側頭部に氷の刃を突き入れた。硬い装甲に覆われているのでイメージは貫通と切断。
突き刺ささった状態から一気に頭を落とす。かなりの抵抗感があったが、何とか切断しきることが出来た。
周囲を見回すと、シルとルシェは既に相手を葬り去っていたがベルリアはまだ苦戦していた。
頭を引っ込めた状態でも魔法を放てるようで、正面から頭に剣を突き入れる事は出来そうにないのでベルリアが『アクセルブースト』を使って甲羅ごとぶった斬ろうとしている。
流石に大丈夫なのか心配になったが、何度か繰り返してどうにか倒すことが出来たようだ。
これでようやく抜けれると気を抜いた瞬間
「ご主人様、後方から敵が迫っています。7体ですが逃げるには距離が近すぎます」
おいおい、7体ってさっきの2方向の敵が合流してるじゃないか。
真司、隼人、お前らが昨日あんな事を言うから本当にやばくなって来たぞ!
俺は絶対誰も死なせないけどな。