A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (27)
第27話 魔法の使い方
次の日俺はダンジョンギルドに来ていた。
きっかけ作りに、スライムの魔核を10個だけ売り、いつものように 日番谷さんに世間話ののりで話しかける。
「ちょっと興味があって。マジックオーブってレアアイテムなんですよね。」
「そうですね。滅多に売りに出されませんね。」
「値段ってどのぐらいするんですか?」
「そうですね。不人気の風、水系でも5000万円以上しますね。 火や、雷なら1億円以上しますね。」
「や、やっぱり高いんですね。 」
「とてもじゃないけど高校生に手が出る代物じゃないですね。」
「いえ、中には高校生探索者の方でも、成功されてマジックオーブを購入されている方もいます。」
「高木様も是非目指されてください。」
「い、いやあ。俺には無理ですよ。ちなみに水系とかの不人気オーブって何かの役に立つんですか?」
「マジックオーブで発現する魔法は、千差万別、いわゆるガチャみたいなものですから、当たりを引けば大きな力になってくれるのです。」
「そうなんですか。じゃあ、もしハズレを引いたら諦めるしかないんですか?」
「いえ、同じ魔法でも探索者の能力や適性で大きく威力が変わってくるので、一概にはそうとも言えません。」
「そうですか。わかりました。 ありがとうございました。」
俺はいつものように、そそくさとダンジョンギルドを後にした。
日番谷さんの話だと、魔法の種類は運。
これは正直 ウォーターボールは、ハズレだろう。
5000万円とハズレ魔法。
やってしまったかも・・・
でもどうしても魔法を使ってみたかったのだ。
この厨二夢だけは誰にも止められなかったのだ。
それよりも、俺が気になったのは、同じ魔法でも能力や適性で威力が変わるという部分だ。
俺のしょぼい ウォーターボール 。これは俺の能力や適性が低いということだろう。
しかし、能力で威力が変化するということは、魔法は画一的なものではなく、変化するということではないだろうか?
都合よすぎるかもしれないが、俺の能力がアップすれば威力もアップするはず。
もしかしたら、現状でも威力以外の部分は、変化させることができる可能性があるということだろうか?
一条の光が差し込んできた。
俺はまだ大魔法使いになることを諦めきれない。
時間はある。可能性があるなら、とことん試してやる。
さっそく、ダンジョンに潜った。
ただし2階層ではなく1階層の片隅に来ていた。
検証、改良する気満々ではあるが、流石に今のウォーターボールの威力でモンスターと戦うのは、無謀なので、片隅で一人で自習することにした。
まず一番出来そうなのは、飛んでいくスピードを変えることだろう。
『ウォーターボール』
倦怠感と共に現れた水玉に集中し壁に向かって飛ばしてみる。
『べチャッ』
初めて使った時と全く同じだ。
『ウォーターボール』
今度は更なる倦怠感と共に、現れた水玉に集中する。
意識を集中させ、分かりやすいよう、スピードを遅くなるようイメージしながら壁に向かって放つ。
できた。
目に見えて遅いスピードで飛んでいき壁にぶつかった。
『バシャッ』
遅い分多少威力は落ちたようだが、俺の考えは間違っていないようだ。
『ウォーターボール』
今度は立っているのも辛くなるような、倦怠感と共に現れた水玉に、なんとか集中して、スピードアップをイメージする。
かなりのスピードで水玉が飛んでいって壁にぶち当たる。
『バチャン』
スピードが乗っているぶん今までで一番の威力を発揮したようだ。
やった。これは、練習すればなんとかなるかもしれない。
この瞬間。大魔法使いへの道が少しだけ開けた・・・・
ような気がした。
その後あまりの疲労感に倒れそうになりながら、なんとか家までたどり着くことができたが、
ベッドへとフルダイブして朝まで意識を手放してしまった。